2019.08.30
「住まいるダイヤル」の住宅相談件数が再び増加傾向に
公益財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、「住宅品質確保法」「住宅瑕疵担保履行法」に基づいて、消費者の利益保護や住宅紛争の迅速・適切な解決を図るため、住宅相談、紛争処理の支援などの幅広い業務を行っています。
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建築士などの専門家が無料で電話相談に対応
公益財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、「住宅品質確保法」「住宅瑕疵担保履行法」に基づいて、消費者の利益保護や住宅紛争の迅速・適切な解決を図るため、住宅相談、紛争処理の支援などの幅広い業務を行っています。
その中心業務のひとつである電話相談は、「住まいるダイヤル」として、技術的問題、法律的問題などに関して、一級建築士の資格を持つ相談員が専門的な知見から相談に当たっています。
住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、その結果に関して、毎年『住宅相談統計年報』として集計・分析して公表しています。このほど、その2018年度の相談に関する結果が公表されました。
新築等住宅に関する相談は年間2万件超に
その電話相談が増加しています。相談の内容は「新築等住宅に関する相談」と「リフォームに関する相談」に分類していますが、その相談件数は図表1にある通りです。
2018年度新築等住宅に関する相談が2万0509件で、リフォームに関する相談が1万1744件の合計3万2253件でした。17年度は16年度に比べて若干の減少でしたが、18年度は再び増加しています。
住宅に関する相談だけでも、年間2万件を超えているのですから、これからの住まいの建築、取得などを考えている人は注目しておいたほうがいいでしょう。
図表1 電話相談件数の推移
トラブルが発生してからの相談では遅いのが現実
そのトラブルの内容を、「住宅のトラブルに関する相談」と「知見相談」に分けると、図表2のようになっています。
新築等住宅に関する相談では、65.6%が「住宅のトラブルに関する相談」で、「知見相談」は16.3%という結果でした。つまり、事前に知識を広めるための相談は少なく、現実には、トラブルが発生してしまってからの相談が大多数を占めているわけです。
住宅トラブルは、発生してしまってからでは解決に時間がかかり、不愉快で不便な思いをしなければなりません。相談員などの専門家によると、反対に「事前に相談した人の場合には、トラブルに巻き込まれる確率が極めて低くなります」としています。皆さんも、ぜひトラブルが発生する前に相談していただきたいものです。
図表2 2018年度の相談の内容
不具合事象の内容をみると「ひび割れ」がトップ
参考までに、トラブルの相談で不具合事象が発生している場合、どんな事象が多いのかうみると、トップは図表3にあように、「ひび割れ」でした。以下、「雨漏り」「性能不足」「はがれ」「変形」などが続いています。
「ひび割れ」は外壁や基礎、「雨漏り」は外壁や屋根、「性能不足」は設備機器、外構、「はがれ」は屋根や外壁、そして「変形」は床、開口部・建具などに多くなっています。
住宅の建築中にはできるだけ工事現場を見学し、こうした点を中心にチェックするのが安心です。また、竣工検査でも入念に確認しておけば、入居後にトラブルが発生する確率を下げることができるはずです。
図表3 新築住宅等相談の不具合事象の割合 (単位:%)
著者
山下和之(やました・かずゆき)
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。