2019.09.18
フラット35の金利がいよいよ過去最低水準に低下
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全期間固定金利型の安心して利用できるローン
フラット35というのは、独立行政法人の住宅金融支援機構が民間金融機関などと提携して実施している住宅ローンです。大手銀行、地方銀行をはじめ、信金や信組、農協など全国の民間金融機関のほとんどが取り扱っているので、誰でも、どこでも利用できるというメリットがあります。
金利タイプは全期間固定金利型です。変動金利型や固定期間選択型は、借入後に金利が上がると適用金利も上がって、返済額が増えるリスクがありますが、全期間固定金利型は当初の金利が完済まで確定しているので、安心して利用できるのも大きなメリットです。
ただ、その分、変動金利型などに比べると若干金利が高いのですが、それでもこのところの長期金利の低下によって、随分と利用しやすくなっています。
9月の金利は過去最低水準金利に近づく
このフラット35には、「買取型」と「保証型」がありますが、合わせて月間1万人前後、年間では10万人以上の人が利用しています。
そのフラット35の金利が今年に入って急速に低下しています。グラフにあるように、18年11月には返済期間21年~35年の金利は1.45%だったのが、19年9月には1.11%まで下がりました。これは、過去最低水準の金利です。図表1にある通りです。
フラット35の金利表示は、17年10月から団体信用生命保険(団信)の保険料を含む金利に改められたのですが、それ以前の最低金利は16年8月の0.90%でした。これは団信保険料を含まない金利で、団信保険料は0.20%の上乗せですから、現在の表示形態に合わせると0.90%+0.20%で1.10%に相当します。19年9月の1.11%というのは、限りなくその過去最低水準に近づいたことになります。
図表1 フラット35最低・最頻金利の推移(単位:%)
35年間の総返済額は205万円も軽くなる!
この過去最低に近い金利を利用できるメリットを、借入額3000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしで利用するケースで試算してみましょう。
直近で最も高かった18年11月の1.45%で借りたとすれば、図表2にあるように毎月返済額は9万1122円です。それが、19年9月の1.11%だと8万6232円に減少します。毎月にすれば4890円とほぼ5000円近い減額です。
年間では6万円近く、そして35年間の総返済額では何と205万円以上も負担が軽くなる計算です。
図表2 金利低下でこんなに負担が軽くなっている
設定条件:借入額3000万円、35年元利均等・ボーナス返済なし
毎月返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|
金利1.45%① | 9万1122円 | 3827万1240円 |
金利1.11%② | 8万6232円 | 3621万7440円 |
①-② | 4890円 | 205万3800円 |
フラット35Sなら当初の金利が0.25%下がる
このフラット35には、当初5年間または10年間の金利が0.25%引き下げられる「フラット35S」と呼ばれる制度があります。耐久性、耐震性などの一定の水準を満たせば利用が可能で、実際にはフラット35の利用者の9割前後の人たちが、このフラット35Sの適用を受けているので、決してハードルは高くありません。
19年9月の返済期間35年の金利は1.11%ですが、フラット35Sなら当初5年間または10年間の金利は0.86%まで下がることになります。
それに対して、変動金利型住宅ローンの金利はこのところほとんど下がっていません。メガバンクでは0.5%台から0.6%台からです。変動金利型は政策金利である短期金利に連動するのですが、それがこの数年、ほぼ据え置かれているため、これ以下に引き下げることは難しいためです。
その一方で、長期金利の低下によってフラット35のような全期間固定金利型の金利が低下、変動金利型との金利差が縮小しています。変動金利型と遜色ないレベルで全期間固定金利型を利用できるようになっているのですから、このチャンスを活かさない手はないでしょう。
著者
山下和之(やました・かずゆき)
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。