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住宅のマネーと制度

2020.05.13

コロナ時代、どのような家が理想・最適なのか?プロが解説

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狭いマンション住まいではテレワークに苦労する

新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長引き、私たちの生活にも大きな変化をもたしています。外出の自粛、学校の休校、テレワークの増加などはライフスタイルの変容につながる可能性があります。
ライフスタイルの変化は、住まいのあり方、住まい選びの考え方にも大きなインパクトとなるはずです。すでに、本欄の2020年3月12日の記事、「テレワークを効率的に進めるための環境整備とは?」で、テレワークするに当たって、自宅の環境が整っていないために苦労している人が多いことを紹介しました。特に、都心近くの狭いマンションに住んでいる人たちは、テレワークの場の確保に苦労しています。夫婦ともにテレワークで、子どもたちも休校となれば、狭い空間で家族間の軋轢が生じ、それがDVや児童虐待などにつながりかねません。

テレワーク増加が一戸建てを見直すキッカケに?

これまでの日本人は、通勤時間短縮のために、住まいの広さを犠牲にしてきましたが、それではいけない、住まいには一定の広さが必要だということを、テレワークの浸透によって、改めて認識するようになるのではないでしょうか。
幸い、テレワークが中心になれば、住まい選びにおける都心までの時間距離という軛がはずれるというメリットがあります。基本は在宅勤務で、たまに出社が必要になっても、通勤時間帯をはずして出かけることが可能になれば、勤務先まで1時間以上かかる場所であっても、全然問題になりません。通勤時間よりは、広さを求めてもいっこうにかまわないわけです。
その広さを求めるとなると、住まいの形態はマンションよりも一戸建てということになります。

注文住宅は分譲マンションより50㎡以上も広い

図表1をご覧ください。これは、国土交通省が毎年実施している調査から、2018年度中に住宅を取得した人たちの延床面積の広さを、取得した住宅形態別に比較したものです。
当然のことですが、一戸建てとマンションでは相当に広さが異なっています。分譲マンションの平均は75.8㎡に対して、分譲戸建住宅、いわゆる建売住宅は110.3㎡で、34.5㎡も広くなります。さらに、注文住宅(建て替え)だと、128.9㎡ですから、何と50㎡以上広いのです。
これだけの広さがあれば、住まいのなかに夫婦の仕事部屋を設置できますし、子どもの遊び場もつくれるでしょう。テレワークが恒常化しても、家族が仲良く過ごせる環境をつくりやすいといっていいのではないでしょうか。

図表1 取得した住宅の延床面積

広い一戸建てなら感染症対策を徹底しやすい

いまひとつ、広い一戸建てならマンションに比べて感染症対策を徹底しやすいというメリットもあります。
マンションでは、エントランスやエレベーター、共用廊下など2m以上のソーシャルディタンスを取りにくい空間がありますし、キッズルームなどの共用施設が多いのも、平常時なら嬉しいものの、こんな事態になると不安です。
それに対して、一戸建てには原則的に共用部はありませんし、住まいのなかでも感染対策をとりやすいのではないでしょうか。
たとえば、厚生労働省では感染が疑われる家族が出た場合には、図表2のような注意を行っています。それも、一戸建てであれば、感染が疑われる人は2階の個室で生活、他の人は1階で生活と完全に隔離、食事や洗面、トイレなども完全に分離して、いわゆる「清潔ゾーン」「不潔ゾーン」にゾーニングできます。

図表2 家族の感染が疑われたときの家庭内の注意事項8ポイント

  1. 部屋を分けましょう
  2. 感染者の世話はできるだけ限られた方で
  3. マスクをつけましょう
  4. こまめに手を洗いましょう
  5. 換気をしましょう
  6. 手で触れる共用部分を消毒しましょう
  7. 汚れたリネン、衣服を洗濯しましょう
  8. ゴミは密閉して捨てましょう
    (資料:厚生労働省ホームページより)

一戸建ての本質的な価値が見直される可能性も

最近は、新築マンション価格の高騰によって、マンションを買えない人が一戸建てに回帰する傾向がみられるようなっているといわれますが、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大は、そうした動きを加速させる可能性がありそうです。
価格面だけではなく、住まいの快適性、そして安全・安心という点から、改めて一戸建ての価値が見直されることになるのかもしれません。

著者

山下和之(やました・かずゆき)

新聞・雑誌・単行本の原稿制作、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『よくわかる不動産業界』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プラントと税金対策』(学研プラス)、『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)などがある。

・山下和之の良い家選び ・Business journal ・現代ビジネス ・ARUHIマガジン

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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