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家づくりの雑学

2020.06.30

健康は睡眠から 光のコントロールが快眠への一歩

健康意識が高まる昨今、睡眠に関心を持っている方も多いのではないでしょうか。
なかなか寝付けなかったり、眠りが浅く夜中に目が覚めてしまったり、朝の目覚めが悪かったりと、誰もがこのような睡眠にまつわる経験を一度は持っていることでしょう。睡眠の質が落ちると日中の活動に影響があるばかりではなく、肌の不調やがん、糖尿病、高血圧などの生活習慣病、さらにはうつ病などの精神疾患や認知症など、さまざまな疾病の発症リスクが高まることが各方面の研究結果から明らかになってきています。
そこで、私たちの生活と健康に密接な睡眠について、今回から3回に分けてご紹介していきます。初回は「光のコントロール」についてお伝えしましょう。

INDEX

快眠へ導く光の効果

睡眠ホルモンである「メラトニン」という言葉を聞いたことはありますか。夜に多く分泌される「メラトニン」は、快眠に欠かせないホルモンです。昼間、陽の光を浴びることで分泌されるホルモン「セロトニン」を元にメラトニンは作られています。

また、このメラトニンによって調整されるのが「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼ばれる体内時計で、体温やホルモン分泌などを調整しています。この「サーカディアンリズム」は25時間周期のため、メラトニンがないと体内時計は少しずつ狂いが生じてしまうので、その調整を日光が行っているというわけです。


これらのメカニズムからも分かるように、朝、規則正しく起きて陽の光を浴びるということは、快眠のための大切な要素であるといえます。
もともと人間は日の出とともに起き、日没とともに休むというサイクルで生きてきましたが、現代は夜でも照明の灯りで外は明るく、テレビの放送やコンビニの営業も24時間行われているので、昼夜逆転の生活をしている人も多くいます。
しかし、日光とともに生活することは睡眠や健康にとってはとても大切なことなのです。

照明器具やカーテンの活用方法

快眠には不可欠な光の効果ですが、照明器具やカーテンでも工夫することができます。
たとえば、ホテルのように光源の位置が低いスタンド照明を寝室のベッドサイドに置くことで、サーカディアンリズムを調整することができます。
これは太陽の位置と関係しているのですが、間の太陽と同じく光源が高い位置にあるほど昼交感神経は優位に立ち、心身ともに活性化されていきます。
反対に光源の位置を低くすると、夕方の太陽と同じ役割を果たし、副交感神経が優位になってスムーズな睡眠が得られます。
この時に気をつけたいのはランプの色。日没の太陽の色と同じ暖色系の色、いわゆる「電球色」にするのがポイントです。

次にカーテンですが、朝日とともに起きる方は、遮光カーテンなどはできるだけ避け、程よい透け感のあるカーテンにすると陽の光を感じて起きられます。
そうではない方は、遮光カーテンを取り付けてしっかりと熟睡できるようにしましょう。
また電動で開け閉めできるカーテンのなかにはタイマー付きもあるので、これらを利用すると陽の光で心地よく目覚めることができます。

寝室に光を取り入れる間取りのコツ

寝るだけだから寝室の窓なんてあまり気にしない」という方もいるかもしれませんが、既にお伝えしたように朝日は睡眠にとって大切な要素であり、そのためには窓の大きさ、取付位置や方位なども重要なポイントになってきます。

朝日をなるべく多く取り入れるためには、東側に大きな窓を付ければよいと思われるかもしれませんが、そう単純なことでもありません。
ベッドの頭が窓に向いていると冬は冷気がダイレクトに伝わりますし、窓の開け閉めもしづらいというデメリットがあります。
また窓が道路に面していると車の音がうるさいかもしれないですし、隣家と近ければプライバシーが気になるかもしれません。
このように寝室の窓は、家具のレイアウトや真夏・真冬の気温、騒音やプライバシーなどに配慮して決める必要があります。
換気の観点からも対角線上に窓を2カ所設けるのが望ましいです。

また、寝室にバルコニーがある間取りは多いと思います。

その場合はバルコニーに面して掃き出しの窓がついていることがほとんどなので、家具のレイアウトに配慮しながら、別の場所に窓を1,2カ所設置するとよいでしょう。
その際は家具の邪魔にならないように、縦長のスリット窓、または高い位置に取り付けるハイサイドライトであれば、光を感じながらもプライバシーが保てるのでおすすめです。

このように睡眠と住宅の関係性は密接であり、質の高い睡眠を得るためには「光のコントロール」がとても重要になります。
展示場ではさまざまな寝室の実例を見ることができますので、「光のコントール」という視点で照明や家具の配置、窓の位置や大きさなどじっくりご覧になってみてください。
そして、理想の住まいの実現に向けてイメージを膨らませてください。

 

執筆・情報提供

吉田美帆(一級建築士)

SUNIHA UNIHA 代表 吉田美帆
一級建築士/グリーンライフプロデューサー/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士/LOHASスタイリスト(NPO法人ローハスクラブ認定/花育インストラクター(NPOフラワーハートセラピスト協会認定)武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業、大手設計事務所にて小学校・保育園等の設計、マンションディベロッパーにて企画等を経て、2010年SUNIHA UNIHA(サニハユニハ)設立。
執筆やセミナー、講演会など幅広く活躍する。
・1996年 武蔵工業大学卒業設計蔵田賞受賞
・2011年 国際森林年間伐材利用コンクール審査員賞受賞。
・2016年 フランス国際映像コンペ(MCSD)受賞

Ⓒ2020 Next Eyes.co.Ltd

この記事はネクスト・アイズ(株)が提供しています。

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