2021.07.15
2021年9月末までの契約なら利用可能 最大50万円のすまい給付金
住宅を購入すると年収に応じて最大50万円の給付金が受け取れる、すまい給付金という制度があります。消費税が5%から8%、10%へと増税される中、その負担軽減を目的に作られた、期間限定の制度で、2021年9月30日までの工事請負契約、2022年12月31日までの入居が必要です。今回は注文住宅を新築する場合に使えるすまい給付金について解説します。
- 住宅購入者は最大50万円のすまい給付金を利用可能
- 住宅の新築では2021年9月末までに工事請負契約が必要
INDEX
住宅購入者は最大50万円のすまい給付金を利用可能
すまい給付金は住宅購入者が利用できる給付金で、最大50万円を受け取れる可能性があります。図表1のように年収に応じて金額が変わります(厳密には図表1にある、都道府県民税の所得割額によって決まります)。
図表1:消費税10%時のすまい給付金
住宅ローンを利用する場合
年収の目安※1 | 給付基礎額 | ||
---|---|---|---|
政令指定都市以外 | 政令指定都市(さいたま市など) | ||
450万円以下 | 7.60万円以下 | 3.800万円以下 | 50万円 |
450万円超 525万円以下 | 7.60万円超 9.79万円以下 | 3.800万円超 4.895万円以下 | 40万円 |
525万円超 600万円以下 | 9.79万円超 11.90万円以下 | 4.895万円超 5.950万円以下 | 30万円 |
600万円超 675万円以下 | 11.90万円超 14.06万円以下 | 5.950万円超 7.030万円以下 | 20万円 |
675万円超 775万円以下 | 14.06万円超 17.26万円以下 | 7.030万円超 8.630万円以下 | 10万円 |
住宅ローンを利用しない場合 ※すまい給付金の対象となるのは50歳以上の人のみ
年収の目安※1 | 都道府県民税の所得割額※2 | 給付基礎額 | |
---|---|---|---|
政令指定都市以外 | 政令指定都市 (さいたま市など) |
||
450万円以下 | 7.60万円以下 | 3.800万円以下 | 50万円 |
450万円超 525万円以下 | 7.60万円超 9.79万円以下 | 3.800万円超 4.895万円以下 | 40万円 |
525万円超 600万円以下 | 9.79万円超 11.90万円以下 | 4.895万円超 5.950万円以下 | 30万円 |
600万円超 675万円以下 | 11.90万円超 13.30万円以下 | 5.950万円超 6.650万円以下 | 20万円 |
※1 年収の目安は、夫婦及び中学生以下の子どもが2人のモデル世帯(妻は収入なし)において、住宅取得する場合の夫の年収額の目安です。
※2 政令指定都市の場合や神奈川県の場合、都道府県民税の所得割額の数値が異なります(年収の目安は同じです)。
住宅を共有する場合のすまい給付金
住宅を共有する場合、給付基礎額にその持ち分を掛けた金額が給付額となります。
たとえば住宅を夫婦共有にするとして、年収500万円の夫の持ち分が3/5、年収300万円の妻の持ち分が2/5だったとします(ともに、住宅ローンを利用すると仮定)。
この場合のすまい給付金は以下の通りです。
夫分:40万円×3/5=24万円
妻分:50万円×2/5=20万円
※給付基礎額は厳密には都道府県民税の所得割額で判断しますが、説明を分かりやすくするために「年収」の数値を使っています。
なお、「都道府県民税の所得割額」は、住民税特別徴収税額決定通知書(毎年6月頃勤務先経由で交付される)や住民税課税証明書(市区町村役場で取得できる)などで確認できます(これらの資料は住宅ローンの審査で必要になってくることが多いです)。
すまい給付金の受け取り方
すまい給付金を受け取る方法はふたつあります。
ひとつめは、住宅購入者自身が申請して受け取る方法。
住宅が完成して入居後、住宅購入者が給付金の申請手続きを行なうと数か月で自分自身の口座にお金が振り込まれます。
ふたつめはハウスメーカーが給付金を受け取る方法(代理受領)です。
たとえば住宅建築工事代金が3000万円ですまい給付金が30万円だった場合を考えます。ハウスメーカーが受け取る代理受領だと、3000万円から給付金の分を差し引いた金額の2970万円を払えばいいことになり、資金計画は楽になります。そのため一般的には代理受領が使われることが多いです(デメリットもありますし、利用できない場合もあるのでハウスメーカーに確認してみることをおすすめします)。
2021年9月末までの工事請負契約が必要
すまい給付金を利用するにはスケジュールに注意が必要です。
注文住宅を新築する場合は、2021年9月30日までに工事請負契約を結び、2022年12月31日までに入居することが条件になっています。
注文住宅を建てる場合、検討開始から実際に工事請負契約を結ぶまでには3ヶ月~6カ月程度の時間は必要です。
土地探しから始める場合はもっと時間がかかる可能性もあります。すまい給付金の利用を考えている方はスケジュールに注意するようにしましょう。
なお、本来の減税期間は10年の住宅ローン減税も、今は特別に減税期間が13年になっています。
消費税率が10%になったことの負担増を軽減するための措置なのですが、この減税期間13年、という措置も、すまい給付金と同様に、2021年9月30日までに工事請負契約を結び、2022年12月31日までに入居する必要があります。
図表2:すまい給付金と住宅ローン減税13年の期限
制度 | 工事請負契約 | 入居 |
---|---|---|
すまい給付金 | 2021年9月30日まで | 2022年12月31日まで |
住宅ローン減税の減税期間13年 | 2021年9月30日まで | 2022年12月31日まで |
すまい給付金や住宅ローン減税をフルに活用したい場合には、2021年9月30日までに工事請負契約を結ぶことを目標に、家づくりを考えていくといいでしょう。
今回はすまい給付金について解説しました。
もともと、すまい給付金は2021年12月31日までの入居が必要でした。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、その期限が延長されたという経緯があります。
新型コロナなどの状況によっては、再度、期限が延長される可能性もゼロではありませんが、今のところは2021年9月30日までの工事請負契約、2022年12月31日までの入居が必要、となっています。最新の情報は住宅展示場にてハウスメーカーに確認するようにしましょう。
※2021年5月25日時点の情報を基にしています。
執筆・情報提供:アルトゥルFP事務所 代表
ファイナンシャルプランナーCFP® 井上光章
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