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今どきの住まい・暮らし

2023.03.04

ルームスタイリスト・整理収納アドバイザー 安藤秀通さんの「気持ちが上がる収納&インテリアの極意」

―スタイルを作る“収納”-

自宅の収納を全公開して、部屋を整えるポイントやテクニックを教えるルームツアーを開催しているルームスタイリスト・整理収納アドバイザーの安藤秀通さん。たとえ部屋が狭くても、必要以上にお金をかけなくても、工夫次第で気持ちの上がる空間で快適に暮らせる――そんな安藤さん流の整理収納術をご紹介します。

INDEX

【1】限られたスペースを有効活用する工夫の数々

オンラインセミナーなども行う自宅のワークスペース。
仕事に必要なものは背面の手近なボックスにすべて整理収納されているので、
準備も片付けもスムーズ。

東京都内にある築35年のリノベーションマンションで、3年前からパートナーと暮らしている安藤秀通さん。前職のVMD(ヴィジュアルマーチャンダイザー)※の実務経験を自宅のインテリアにも活かした部屋づくりを大切にしているといいます。
※商品を視覚的に見せるスペシャリストのこと

「私が目指しているのは、見ためも使い勝手もいいインテリア空間です。わが家は47㎡しかありませんが、整理収納のさまざまな工夫を凝らすことで、気分が上がる居場所を作ることが可能です。その際に欠かせないのは、ベーシックな素材と色味のバランス。たとえば、内装にコンクリート壁や木材、金属などの素材が使われているので、それらの素材感や色味をインテリアにも取り入れています。でも、同じ白でも内装に近いホワイトグレーなら合いますが、純白だと浮いてしまう。つまり単に素材や色を統一すればおしゃれに見えるわけではなく、内装の素材や色味とのバランスが大切なのです」

画像(左):収納棚の上段にはIKEAの紙製ケース、中段は無印良品の引き出し、下段はトタンケースを。異素材の収納ケースを2つずつ並べることで、洗練された印象に。

画像(右):頻繁に見ることのない資料などが収納された可動棚は、使う時だけ引き出す。

リビングダイニングに隣接するキッチンスペースにも、安藤さんの収納やディスプレイの工夫が随所に見られます。

キッチンに吊り下げたボリュームの異なる植物も、家電類も三角形を意識して配置。

「複数の物は、3つ並べたり、三角形を描くようにディスプレイすることで、まとまった印象になります。また、調理器具や食器、食材なども、収納用具を開ける・取り出す・閉めるという一連の動作が3アクション以内にできる配置にしています。効率よく動ける動線を意識することで、料理も片付けもすごくラクになりますから」

画像(左):黒を基調としたコンロまわりとのバランスを考慮して、家電も黒で統一。お気に入りの食器やスパイスは見せる収納に。

画像(右):よく使う食器は、サッと取り出せるようにニトリのファイルケースに収納。

コンロの五徳を使用しないときは壁に掛けて収納することで、コンロまわりの掃除がスムーズに。

【2】植物が美しく映える照明&色使い

照明はルイスポールセンなど北欧系アイテムが中心。照明と植物の配置を考え、
テーブルや収納キャビネットの高さをそろえることで、奥行きのある印象に。

リビングダイニングには、大小さまざまな植物がレイアウトされていますが、空間全体にゆったりと心地よい抜け感があります。

「種類の異なる植物を美しく見せるポイントの1つはライティングです。室内には天井以外にも複数の照明器具がありますが、どれも植物と重ならないように配置することで、部屋の奥までスッと気持ちよく見渡せるようにしています。また、足元や壁に照明を当てることで、植物の陰影が美しく投影されて、室内全体を広く見せることができます。わが家のインテリアはインダストリアルなデザインをベースにしていますが、植物と照明は空間に温かみをプラスする役割も担っています」

画像(左):食事のときに使用するランチョンマットやキャンドルなどは、ダイニングテーブル側のキャビネットにまとめて収納。

画像(右):伸縮性ポール式のラックを植物や照明のディスプレイに活用することで、空間に軽やかさを演出。

ほかにも、雑然と見えないようにするために家具の高さをそろえたり、使う色を決めることも大切だと話す安藤さん。

「色は季節によって変えますが、今は内装のコンクリートや木などのベースカラーに対して、緑系と赤系をファブリックなどに使い、アクセント的に青系を入れています。色数を増やすと空間がばらばらな印象になるので、決めた色以外の物は収納して見せないようにしています」

【3】お気に入りの愛用品は飾って見せる収納に

IKEAのウォールシェルフとドールハウスを洗面所の見せる収納に活用。

使用頻度の高い愛用品は、しまい込まずに見せる収納にするのが安藤さんの主義。洗面所も例外ではありません。

「愛用品の中でも容器やラベルのデザインが気に入っている物は、IKEAのドールハウスに飾って収納にしています。特に毎日使う洗面アイテムは、開け閉めしや出し入れするより、ぱっと使えるほうが便利ですしね。眼鏡のコレクションもウォールシェルフにディスプレイしています。お気に入りのデザインは眺めているだけでも楽しいですから」

タオル類は1人10枚と決め、バスタオルやバスマットも兼ねて黒無地のフェイスタオルに統一することで、水まわりがスタイリッシュに。

見せる収納とは逆に、ベッドはウォークインクローゼットに“収納”して寝室にしています。

「引っ越してきた当初は今のリビングの一角を寝室にしていましたが、ベッドが目立つ印象だったので、思い切って模様替えしました。狭いのでは?…と思われるかもしれませんが、穴で冬眠するみたいな感じで、かえって落ち着いて眠れます」

玄関側にあるウォークインクローゼットを改装した寝室。

驚くのは寝室兼クローゼットに収納された洋服の少なさ。けれど、意外にもかつては大量の洋服や物に埋もれて暮らしていたそう。

「以前は収納が雑然としていて、Tシャツだけでも数百枚あるのに着たい服が見つからないという状態でした。でも、整理収納で本当に必要な物を見極めていくことを学び、生き方が変わったし、今の活動を始めるきっかけにもなりました。物との付き合い方を変え、インテリアを変えることは、人生を変えることでもあるのだと実感しています」

そんな安藤さんの収納の極意とは、物と向き合い、自分の気持ちが上がる物を見極め、見ためも使い勝手も妥協しない収納&インテリアを楽しむことのようです。

住宅展示場にも収納やインテリアを楽しむヒントがたくさん用意されています。皆さんの具体的なイメージづくりの参考に、ぜひお近くの住宅展示場をチェックしてみてください。

取材協力

ルームスタイリスト・整理収納アドバイザー
安藤 秀通さん

1988生まれ。千葉県出身、東京都杉並区在住。47㎡のリノベマンションに男性パートナーと2人暮らし。電力会社勤務を経て、ディズニーシーでアトラクションキャスト、ディズニーストアで販売やVMDを務めた後、美術館や水族館のミュージアムショップ運営会社にてディスプレイや企画営業を担当。2020年に独立してルームスタイリスト・整理収納アドバイザーとして活動中。

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取材・執筆:轡田 早月
撮影:小島 沙緒理
編集:石倉 夏枝

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コラムはネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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