2024.06.07
内壁とは?素材の種類や選ぶ際の注意点、素材ごとの事例を紹介!
内壁の素材は外壁以上にたくさんの種類があり、どのように選ぶか困ってしまうでしょう。そこで本記事では、内壁の素材の種類や特徴、素材ごとの施工事例をご紹介します。機能や好みを知って、住まい作りの参考にしてください。
INDEX
内壁とは?
内壁とは、建物の内側に設ける壁のことで、読み方は「ないへき」です。内壁材にはさまざまな種類があり、どれを選択するかによってデザインや雰囲気に大きな影響があります。また、壁材ごとに調湿や断熱など、お部屋に提供する機能も同じではありません。
内壁と外壁との違い
内壁と外壁は、同じ壁でも果たす役割は別のものです。
内壁は外壁の裏側に張られた壁を指すほか、家の構造を担わない、内部の間仕切り壁も含めて内壁という名称です。インテリアを構成する要素になるほか、部屋と部屋を区切る役目を果たします。
対して外壁は建物の外側の壁を差し、家の内部の建材や家財、暮らす人を日光の紫外線や雨風から守ります。
内壁と外壁はどちらも耐火性や断熱性が求められますが、防水と紫外線対策は外壁のみに必要な機能です。したがって、外壁材は内壁にも施工することができます。
内壁の構造とは?
内壁の基本的な構造について、木造住宅を例に解説します。
木造の工法
在来軸組工法の住宅の基本構造は、屋根と屋根を支える小屋組(こやぐみ)と、鉄筋コンクリート製の基礎を、垂直の柱が結びます。柱の間を覆っていく壁は、間柱(まばしら)や石膏ボードなどの壁下地材(かべしたじざい)を介しながら、外壁材や内壁材を固定します。
内壁材を固定する際の方法の違いで、内壁の作り方は「真壁(しんかべ)」と「大壁(おおかべ)」の2種類に分類されます。
内壁の作り方には「真壁」と「大壁」がある
真壁も大壁も、柱の間に間柱を設け、その間に断熱材やライフラインの配管を通すまでは同じです。
真壁は、柱と柱の間を壁下地材と内壁材で埋めていくように作ります。したがって柱は上の写真のように、内壁側に露出した形になります。
これに対して大壁は、柱の上から壁下地材を固定し、その上から内壁材を施工します。大壁の方式では、柱は室内から見えません。現在は軽量鉄骨やツーバイフォーなどの工法でも、大壁の方式で内壁を作ります。
真壁は和風のデザインアクセントとなり、木のぬくもりも楽しめる反面、外見良くきれいに仕上げた柱が必要になります。
大壁はその点が不要でコストを下げられるほか、施工性が良く、壁内部の空間が大きいことで吸音材・断熱材の充実した施工ができます。しかし壁の単一面積が大きく、施工のしかたによっては外観が単調になりがちです。
内壁の素材の種類は?
内壁の素材として代表的な建材は、以下の4種類が基本です。下地材の上から塗ったり張ったりすることで施工します。
- ● クロス
- ● 塗り壁
- ● タイル
- ● 羽目板
クロス
クロスは壁や天井の下地の上から糊で貼る壁紙です。ビニール製のほか、布や和紙などの素材を使ったクロスもあります。
メリットは材料費も施工も安価なうえ、色や質感など、非常に種類が豊富で、この後ご紹介する塗り壁やタイル、羽目板をそっくり模したものもあります。ビニール製クロスは水濡れや汚れにも強く、気軽に張り替えられる点が魅力です。
消臭や防カビ効果を持ったクロスもあるので、キッチンや水回りなどにはおすすめでしょう。
デメリットとしては、ほかの素材に比較して耐久性が低く、洗浄などのクリーニングで間に合わない場合もあり、定期的な張り替えを必要とすることです。
塗り壁
塗り壁は珪藻土や漆喰ほかの自然素材を、下地の上から塗って施工します。メリットは自然で温かみのある風合いの魅力で、施工の際にさまざまな模様を付けてアクセントにすることも可能です。
最近注目されている珪藻土は、調湿性や消臭性などの機能性が高いです。また、クロスに比べて厚みがあり、防火、吸音、断熱などの性能にも優れています。
デメリットとしては、汚れや傷、衝撃によるひび割れなどが起こりやすく、小さい子どもやペットのいる家庭では、扱いに注意が必要です。また、部分補修が難しく、全面塗り替えとなる場合があります。
タイル
タイルは粘土を焼き固めて作る壁材で、吸水率によって磁器質、せっ器質、陶器質(Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類)に分かれ、水回りは吸水率の低い磁器質のタイルが定番です。内壁では水回りに良く使用されますが、色や柄も豊富なため、壁面のおしゃれなアクセントとしても利用されます。
メリットは、水や汚れに強く、掃除が簡単なことと、経年劣化が少なく寿命が長いことが挙げられます。
デメリットとしては施工費用が高いことと、水回りでは目地や下地にカビが生えやすいことなどでしょう。
羽目板
羽目板は木製の無垢板や合板、化粧板を張り合わせて壁面を構成します。メリットは木材の自然の風合いの良さと、外観のぜいたくな印象でしょう。
スギやヒノキの天然素材の場合は、香りの良さや調湿効果も魅力です。
デメリットは日焼けで変色しやすい点と、温度・湿度の影響で、反りなどの変形を起こす場合がある点です。
内壁の素材の種類を選ぶ際の注意点
内壁の素材は、どのような点を基準に選んだら良いかを解説します。それぞれの素材の特性や、家族の好みも大切ですが、統一感やコーディネートの考え方も反映しましょう。
デザイン性
デザイン性とは、好みに合わせて統一感や組み合わせを重視する考え方です。たとえば北欧などのデザイナー家具や照明を配置したお部屋にしたい場合、それに合った内壁素材のチョイスは、ある程度絞り込まれてくるでしょう。
空間の雰囲気
そのお部屋をどんな雰囲気にしたいかで、壁面の素材選びの方向性も決まってきます。たとえばリビングや寝室は、くつろげる、やわらかい雰囲気の色や、天然系の素材が向くでしょう。
逆に玄関などの公的なスペースは、清潔で硬質なイメージのタイルや、渋めの色彩のクロスをあしらうと、締まった雰囲気となります。
部屋によって変える
お部屋の用途によって、壁面の材質にもセオリーがあります。たとえばトイレや洗面などの水回りは、ビニール製のクロスや磁器質のタイルで水回りとしての防汚・防水などの機能性を高めるのが一般的です。
壁が汚れにくく、温かい雰囲気を求めたい寝室などは、布系のクロスがおすすめでしょう。
DIY・注文住宅の参考に!内壁の事例を種類ごとに紹介
この項では、おしゃれや、部屋の目的に合わせた雰囲気を高める内壁の事例をご紹介します。
【クロス】:色の組み合わせで深みと奥行きを感じるリビング
和風の小上がりのみ、周囲のお部屋とは天井や壁面のクロスの色を変え、さらに木製のルーバーを設けて、空間の深みや奥行きを演出しています。
落ち着いた色と質感選びが功を奏して、色遣いが多いのに、仕切り扉の解放時も煩雑な印象が一切ありません。
【クロス】:柄模様の壁紙で高級感と落ち着きを
最近は使用が控えめな印象の柄物のクロスですが、窓のデザインや家具調度とうまく組み合わせると、コストをかけずに効果的に高級感をかもし出せます。
柄物のクロスは落ち着いた感じにしたい場合は濃いめの色をあしらうと良いです。しかし、派手にすると品がなくなりやすいため、くれぐれも「やりすぎ」には注意しましょう。
【塗り壁】シックな塗り壁と間接照明で安らぎの空間
クリーム・オフホワイト・ベージュなどの色彩の塗り壁には間接照明が良く映え、落ち着いた中に、クールな印象の空間作りとなります。リビングだけでなく、リモートワークのスペースなどにもおすすめです。
塗り壁は珪藻土のほか、モルタルに塗装することもできます。断熱塗料を施工して、お部屋に冬温かく夏涼しい機能を追加するのも良いでしょう。
【タイル】:清潔感あるホテルライクな浴室
タイルの浴室は寒い、滑りやすい、やや施工コストが高い などの難点にもかかわらず、根強い人気があります。機能的には補修が簡単で傷が付きにくく、寿命が長い点が長所です。
また、写真のように白いタイルをうまくあしらうだけで、ホテルの雰囲気をたたえた清潔で高級感のある浴室にできる点は、検討の価値があります。
【タイル】:キッチン壁面とアイランドにポップな色彩を
キッチンの壁面にタイルを配置する方法は、油汚れの掃除が容易で、調理の水蒸気にも強いなど、実用的なメリットも大きいです。このようにシンクやコンロのアイランドやカウンターまでコーディネートすることもできます。
タイルの色によってキッチンの印象は、多彩な方向付けが可能です。写真では窓枠や家具とも色調を統一して、少しやわらかい印象にしています。
【羽目板】:塗り壁と組み合わせて装飾が映えるお部屋に
羽目板の壁と塗り壁を組み合わせて、まるでレストランのような、非日常的な空間の演出に成功しています。
壁面のディスプレイや観葉植物が良く映えて、楽しさが満載のお部屋となりました。
ここで挙げたのは新築時の参考事例ですが、DIYではリフォームの際などに、現在の内壁の上からクロスやタイルの張り替えをする以外に、塗料や塗り壁材などで塗り替えを行うことも可能です。
以下は、リフォームでやってみたい箇所に関するアンケートです。家を直したいと感じたときに、半数近くの方が壁紙の張り替えを希望しています。
続いて、住まいのDIY経験者の方がリフォーム・修繕を行った箇所の経験についてのアンケートでは、約4分の1の方が部屋の壁紙やクロス、タイル等の修理と答えています。
ともに、内壁を模様替えしたい希望が強いことを示すデータです。
まとめ
内壁の素材の種類や特徴、素材ごとの施工事例をご紹介しました。内壁材は選びきれないほど豊富な種類の素材が流通しています。
そんな場合、選択の助けになるのはWebサイトや建築雑誌の施工事例です。真似をしたくなるような内壁写真をたくさん見つけることができるので、施工会社のサポートを受けながら予算やお部屋に求める機能、家族の好みなどに合わせて選びましょう。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。