2024.10.11
工務店とは?メリットは何?選び方を徹底解説!
工務店は地域密着型の会社が多く、家づくりの希望への細やかな対応や、住み始めてからのフォローに期待ができます。しかし、あらためて工務店とハウスメーカーの違いは何でしょうか。また、どのような点に注意して建築を依頼すれば良いのでしょうか。
本記事では、工務店がどのような存在なのか、依頼するメリットや選び方を解説します。工務店への依頼が向いている人の特徴や、建築を依頼する流れなども説明しますので、家づくりの参考にしてください。
INDEX
そもそも工務店とは?
工務店とは、全国展開せずにエリアを比較的限定して営業する建築会社です。(工務店と銘打って全国展開する会社もありますが、工務店の本来の定義には該当しません)地域密着によるメリットがあり、根強い人気があります。
以下は家づくりの依頼先を調べたアンケートです。依頼先として設計事務所という選択肢もありますが、工務店とハウスメーカーが2強として、特色やメリットを競っています。工務店はハウスメーカーに次ぎ、3割強の方に選択されています。
工務店を選ぶメリットとは?
工務店といっても、規模や会社のカラーはさまざまですが、共通の傾向として、以下のメリットがあります。
- ● コストパフォーマンスが良い
- ● 設計の融通が利く
- ● 担当者との距離が近い
- ● アフターケアも頼みやすい
コストパフォーマンスの良さは、全国展開のハウスメーカーに比べて広告宣伝費や人件費が控えめであるためです。
また、建材の大量発注や、セミオーダー的なラインナップを持たないことが多いため、施主の希望に沿って融通の利く設計が依頼しやすいでしょう。
さらに、地域密着なことで担当者とも長い付き合いがしやすく、アフターケアも安心です。
反面、ハウスメーカーは会社の規模による経営安定の安心感や、品質が均一で、新築・修繕共に工期が短めなどのメリットがあることも念頭に置きましょう。
以下は工務店を選んだ理由の割合を、複数回答で調べた結果です。担当者との距離の近さと答える方の数がもっとも多いようです。
工務店が向いている人の特徴とは?
工務店で家づくりをするのが向いている人は、以下のような方でしょう。
- ● 細かいところまで相談しながら注文住宅を建てたい
- ● 地域の特性に根ざした家づくりをしたい
- ● 竣工後も継続的にコミュニケーションを取りたい
これまで挙げているメリット以外にも利点があります。工務店は地域密着である分、エリアの気候や地形に応じた暮らしぶり、街の情報などが蓄積されており、その場所にもっとも則した設計や建材選びに長けているでしょう。もちろん、フルオーダーなのにコストが安い点も見逃せません。
家を維持していく中で、修繕を比較的安く、柔軟に行いたい方にも、工務店が向くでしょう。
工務店の選び方・ポイント
建築を希望するエリアの中に、魅力的な工務店が複数ある場合、どのように選ぶか、ポイントをご紹介します。
対応エリアと施工地からの距離
「距離の近さ」が工務店のメリットにもなるため、候補の会社の対応エリアは確認しておきましょう。お気に入りの会社でも、対応エリア外では依頼がしにくくなり、断られることもあります。
会社の安定性
ある程度以上の会社規模のあるハウスメーカーに比べて、工務店は中小規模がほとんどです。そのため、受注がかさんだために持ち出しが増えて資金繰りが悪化し、黒字倒産というケースもあります。
建築中の場合、工事はストップし、完工後でもアフターメンテナンスは受けられなくなります。
経営状態や、倒産時に前払い金や工事費用の一部を保証される「住宅完成保証制度」に加入しているかを確認しておきましょう。
自社施工か
工務店に依頼する場合は「自社施工」にこだわりましょう。理由は、下請けに多くを任せている場合に、施工マニュアルや建材が均一化していないためです。
工務店に工程をすべて把握して責任を持ってもらえ、細かいオーダーが直接伝わるためには、下請け業者の施工では難点がある工程もあります。アフターメンテナンスも含め、自社施工の会社がおすすめです。
プランの提案力
設計・施工に柔軟性があるだけではなく、施主の知識量を補うプランの提案力や、説明する姿勢が良い家づくりにつながります。
提案のさまざまな引き出しや、施主の意見をよく聞いたうえで、それを受け止めた案や代替案、修正案も期待できる会社選びを目指しましょう。まずホームページの施工例をチェックするのがおすすめです。
技術力
技術力の違いをプロではない方が見分けることは難しいですが、厚生労働省の技能検定や、建築士資格などを持つ人の在籍数などを見ると、技術力の目安になります。
施工例を見たり、現場の整理整頓具合などを見たりするのも、施工に対する姿勢の確認となります。
こだわりがあるか
「ここはこのようにしたい」というこだわりは、お客様第一主義や、会社運営のポリシーからくることが多いです。
耐震性などの防災性能、気密や断熱などの性能、アレルギー対応の天然素材使用、オール電化などのエコ性能、長期優良住宅などが主な例でしょう。
施主と施工者で家へのこだわりポイントが一致すれば、良い家づくりにつながります。
社長や担当者の人間力
人間力で求められるのは、施主の立場に立って家づくりの希望をヒアリングする力だけではありません。経営理念を営業方針に反映させる社長や、施主の言葉をうまく職人に伝える担当者は、良い家づくりに欠かせないでしょう。
言葉や想いがスムーズに伝達できないと、打ち合わせ結果の伝達に支障が出ることもあります。たとえば洗濯パンの蛇口の高さやコンセントの位置など、希望と違う形で進んでしまうことがあるので、良好なコミュニケーションが可能な工務店選びも大切です。
施工例
ホームページやSNSなどで確認する施工例を通じて、さまざまな情報を得られますが、まずは建物の傾向が気になるところです。
建築スタイルやデザインのほか、間取り、使用している建材、照明、色彩の選択、外観のまとまり、内装のテイストなど、何例か確認しながら、ご自身の好みとの相性を確認しましょう。
評判
施工した人の評判は、工務店のホームページやSNS、地図アプリなどで確認することができます。担当者の対応や、施工に対する満足な点、不満だった点などを参考にしましょう。
住宅の建築会社の口コミは信ぴょう性の低い、中傷に近い書き込みもありますので、特定の意見をうのみにせず、なるべく幅広い意見の総意を取るようにしましょう。
見積もりの細かさ
プランの提案と見積もりは、複数の工務店に依頼して、内容や価格を比較しましょう。家づくりの費用は、本体工事費・付帯工事費・その他諸費用の3つで構成されますが、工務店の見積もりは本体工事費、付帯工事費とその他諸費用の一部が含まれます。
確認の基準としては価格の比較以外に、項目が細かく分かれ、具体的な内容が記載されているのが、良い見積もりです。
なお、具体的で精度の高い見積もりをもらうために、家族の希望はしっかりまとめておき、予算や資金計画も、なるべく具体的に決めておきましょう。
工務店選びのステップ
この項では、依頼する工務店を選ぶためのステップをご紹介します。前項での選び方のポイントを踏まえた進め方は、以下を参考にしてください。
施工希望エリア内で探す
前述のように、施工を希望するエリアが営業対象となっている工務店をリストアップしましょう。それぞれの会社の良い点や気になる点、特徴などを表にして比較するのもおすすめです。
希望エリアだけ決まっている場合は、土地探しもしてもらえる会社があるので、その可否も調べておきます。
ホームページを確認する
各社のホームページで基本的な情報を確認し、会社の規模や事業内容などをチェックします。施工事例やブログがある場合は、気に入った写真を集めておいて、打ち合わせするようになった際に使うのも良いでしょう。
得意な工法や強味、施工のうえでのこだわりや、営業担当者の人柄なども分かる場合があるので、余すところなく情報を拾うのがポイントです。
イベントやセミナーに参加する
資料請求などと同時に、工務店が主催するイベントやセミナーを催す予定があれば、参加してみましょう。家づくりのための勉強になると同時に、その会社の特徴やこだわりなども分かるので、一石二鳥です。
会の参加を通して会社のカラーも伝わってくることが多いので、その点も依頼するうえでの参考となるでしょう。
打ち合わせで希望を伝える
3社くらいに候補が絞り込めたら、見積依頼の打ち合わせにのぞみましょう。工務店の場合は既成の商品ラインナップからセミオーダーするのではなく、打ち合わせを通して設計プランをまとめます。
前述のように、しっかり予算と希望をまとめたうえで、立地や土地の特徴もプラン検討の大切な材料です。各社からどのような提案が得られるか、楽しみな部分です。
見積内容のチェック
プランの提案とともに、見積書の提示があります。以下の点を確認し、複数社の見積もりを確認します。
- ● 打ち合わせの内容が反映されているか
- ● 内容が細かく表記されているか
- ● 建材や工法の記載があるか
- ● 費用の区分(本体工事・付帯工事・その他費用)の記載があるか
価格面だけでなく、信頼できる見積内容かが、大切なポイントです。
工事請負契約の締結
見積書の内容を比較した結果で、1社の工務店と建築工事請負契約書を締結します。
契約書でチェックしたい基本的な部分は、以下の項目です。
- ● 発注者氏名
- ● 請負者氏名
- ● 工事内容
- ● 請負代金の額
- ● 支払方法
- ● 工事着手の時期
- ● 工事完了の時期
- ● 完成引き渡しの時期
工事完了の時期は、遅延により違約金が発生する場合もあるため、現実的な期日をよく確認しましょう。契約書の内容に間違いがなければ、署名・捺印を行い、着工に向けてスタートです。
理想のお家探しなら、ハウジングステージ
工務店やハウスメーカーの施工例は、ホームページや建築雑誌などではつかみづらい部分もあります。実寸の家でサイズ感や仕様を確認することで、新たなアイデアがひらめくこともあるでしょう。
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【おまけ】相談中の工務店を断りたいときの対処方法
見積もりに向けた、あるいは相見積もり後の打ち合わせが進んでいる途中で「やはりここ以外に依頼したい」と感じることがあります。
相手もこちらの要望を真剣に消化し、提案をしてくれているところです。何度か打ち合わせを重ねていて、ここで断ると勝手な行為だと思われないか、不安になります。工務店の場合、比較的近いエリアを選んで依頼していることが多く、気まずさがあるでしょう。
しかし、一生に2度はないかも知れない家づくりです。妥協するわけにはいきません。
「今回の提案は見送らせてほしい」とはっきり伝えることが大切です。工務店側も慣れているので、通常こじれるようなことはありません。
断りの理由は質問されるでしょう。答えにくい場合は、知り合いや親類のつながりでほかに依頼することになったなどと伝えると良いでしょう。
まとめ
工務店がどのような存在なのか、依頼するメリットや選び方を解説しました。本記事に取り上げたようなセオリーを使っても、どこの工務店にしようか迷ってしまうことがあります。
その場合は、家族の希望する住まい像にもう一度立ち返って、検討内容や優先順位に目を通してみましょう。そのうえで再度候補選びをすると、うまく決められることが多いです。良い工務店との出会いを願ってやみません。
執筆・情報提供
滋野 陽造
マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産投資に従事。
実務経験をもとに、不動産の購入・売却、住まいの知恵、暮らしの法令などのジャンルを中心に記事の執筆を行う。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。