2024.12.03
ディスポーザーのメリットとデメリットは?戸建てやマンションでの設置も解説!
ハウスメーカーのオプションでも選択できるディスポーザーは、ごみ捨ての負担を軽減してくれる優れものです。しかしアメリカなどに比べてまだまだ知名度が低く、利用者数は少ないようです。
そこで今回は「ディスポーザーのメリットとデメリットは?」と題し、戸建てやマンションでの設置方法なども解説します。家づくりを検討中の方のほか、既存のキッチンに増設をお考えの方も、参考にしてみてください。
INDEX
ディスポーザーとは?
ディスポーザーは、台所の排水口に取り付けて生ごみを処理する家電製品です。生ごみを細かく粉砕して水道水と一緒に流すことで、下水から排出します。
アメリカでは1927年代末から普及を開始し、洗濯機や掃除機と同じくらい普及していますが、日本では生ごみ処理への考え方の違いや、下水施設の関係から、あまり知られない存在のまま今日まで来ています。
しかし近年その性能は向上し、生ごみの処理を大幅に軽減することが可能です。また、既存のキッチンへの後付けやメンテナンスも比較的簡単である点も魅力です。
排水処理の違いによって生物処理、機械処理、単体タイプと3種類のタイプがあります。
ディスポーザーと従来のごみ処理の違い
ディスポーザー | 従来の生ごみ処理 | |
---|---|---|
処分経路 | 下水処理 | ごみ収集 |
捨て方 | 都度処分 | 決まった曜日に燃えるごみとして出す |
処分方法 | 宅内処理 | 人の手で搬出 |
ディスポーザーを使うとどのくらいきれいになる?
前述のように、調理の際や食べ残しで生じた生ごみを、ごみ収集の際に出すのではなく、直接下水に流せるようにするのがディスポーザーです。
ごみが腐敗する前に処理してしまうため、臭いや害虫の発生が起きることがありません。したがってシンクやごみ箱などキッチン回りを気持ちよく、衛生的に保つ効果があります。三角コーナーを使わなくなる人も多いようです。
ディスポーザーのメカニズムは?
生ごみを直接水に流すといっても、実感がわきません。どんな仕掛けになっているのでしょうか。
ディスポーザーの動作原理はモーターで高速回転する刃がごみを粉砕し、水に流せるようにします。使い方は以下です。
- 1. 排水溝に適量の生ごみを落とす
- 2. 水道の水を流す
- 3. スイッチを入れる
下図のように、高速回転している円盤の上に落ちたごみは、遠心力で外側に叩きつけられる際に2種類の刃で粉砕されて細かくすりつぶされます。円盤に開いた穴から、細かくなったごみが下水に向かって排出される仕組みです。
原理はジューサーの機械によく似ていますが、ジュースの搾りかすのように円の外側に付着するのではなく、下に向かって流れていくようにできています。
また、処理しきれないごみが刃を傷めないように、嚙んだり固着したりしないでスルーする構造です。
ディスポーザーのメリット3選!
ディスポーザーのメリットをまとめると、大きく以下の3点でしょう。
- ● 生ごみを捨てるのが楽になる
- ● 悪臭や害虫対策
- ● 環境への負荷の軽減
生ごみを捨てるのが楽になる
家庭で出るごみのうち、生ごみが4割を占めるといわれています。ディスポーザーでは生ごみの80%を処理できるため、家庭ごみの約3分の1の処理がなくなるでしょう。
4割とはいえ、水分の多い生ごみは、重さでいえばもっと多くの割合を占めると考えられます。ディスポーザーで処理が難しい生ごみも、最近話題となっている乾燥させるタイプの生ごみ処理機 や、家庭菜園の肥料を作るコンポストなどと併用すれば、ごみ処理の負担はとても軽減することが可能です。
家事の負担を和らげるために、ディスポーザーは有効な手段となります。
悪臭や害虫対策
ディスポーザーの使用によって、生ごみが発する悪臭や害虫の発生を大幅に減らすことができます。
生ごみを都度処理することで、雑菌の繁殖や腐敗を抑えることができ、キッチン回りを清潔に保てます。食べ物の臭いに釣られて集まる害虫も減らせ、繁殖も抑えられるでしょう。
なお、ディスポーザーを取り付けた排水管は従来通り水をためておくトラップがついているため、排水溝から悪臭や害虫が入ってくることはありません。
2021年の富山県黒部市の調査 によると、95%の人が「ディスポーザーの使用で台所が衛生的になった」と回答しており、導入による効果は大きいと考えられるでしょう。
環境への負荷の軽減
収集されたごみは、焼却処理されますが、生ごみは水分が多いため、燃やすために多くのエネルギーを消費します。生ごみの回収量が減ると、回収容量が減るだけではなく、焼却のエネルギーも少なくて済むため、環境への負担軽減が可能です。
また、行政のごみ回収の負担も軽減できるため、注目を集め始めています。
自治体によってはディスポーザーの使用を認めないケースがあります。下水道や浄化槽に負担がかかるのがおもな理由です。そこで、下水道配管への負担を実証実験したり、ディスポーザーの処理水専用の浄化槽 を設けたりなどの動きが始まっています。
以下はディスポーザー使用中の方に、使っている理由を聞いたデータです。捨てる労力・臭いや衛生面が上位を占めています。
ディスポーザーのデメリット・後悔3選!
メリットがある半面、ディスポーザーにもデメリットや、使用した際の後悔の声もあります。この項では以下のようなデメリットを解説します。
- ● コストがかかる
- ● 利用時に音が出る
- ● 処理できないものがある
コストがかかる
ディスポーザーは単体の家電製品のため、次項でご紹介するような初期費用やランニングコストが必要になります。また、専用の浄化槽を持つ場合、そのメンテナンスの際に費用がかかるでしょう。家事の負担を減らし、臭いや衛生面が良くなるなどのメリットとの比較が必要となります。
利用時に音が出る
モーターの回転や破砕の際の動作音が気になることがあります。動作は数秒と短時間とはいえ、子どもの就寝中や深夜などでは、気を遣うこともあるでしょう。マンションでは隣接の住戸への影響が気になるケースも考えられます。
ディスポーザーの音が問題となったケースはあまり確認されていませんが、使用する時間帯を考える、お隣や階下に動作音が聞こえるか聞いてみるなどの気遣いをしておくと良いかもしれません。
処理できないものがある
動作が止まったり故障の原因となったりするため、処理ができないものがあります。以下をご参照ください。
処理できるもの | 処理できないもの |
---|---|
残飯・麺類・野菜類・果実類・肉類・魚類・ 茶葉・小さな骨・魚の骨・鶏の骨・ アサリ、しじみ等の貝殻・卵の殻・梅干の種・ スイカ・グレープフルーツの皮 | カニの殻や貝殻・肉や魚の大きな骨・タコやイカ・鶏の皮・生魚の皮・果物の固い種・トウモロコシ・玉ねぎの皮・パイナップルの芯・油・コーヒーかす・生米・大量のご飯・熱いもの など |
固さが適度で、細かく粉砕できるもの。 | 繊維分が多く固さがあるもの、伸縮性があって粉砕できないもの、刃にからんでしまうもの、その他故障の原因となるもの。 |
このほか食物以外のものを入れることや、一度に大量に入れるなどの行為も禁物です。
処理できないものがある点も、やや普及の支障となっている可能性があります。しかし、たとえば食洗器を使い慣れた人が食洗器の洗浄で傷むものの洗い分けや、使用前の予洗いを普通に行うことを考えれば、慣れの問題かもしれません。
ディスポーザーの値段は?
この項では、ディスポーザーのお値段にまつわる項目を取り上げます。
- ● 初期費用
- ● ランニングコスト
- ● ディスポーザーの耐久性やメンテナンス方法は?
初期費用
ディスポーザー使用の初期費用は、後付けかつ処理システムを含んだ価格 で、数十万~100万円程度と考えましょう。もっとも安価な、排水を処理なしで流すタイプは、日本では一部の地域を除いて自治体の許可が下りないことが多いです。
ランニングコスト
ディスポーザーの使用にかかる電気代や水道代は年間で数百~1,000円程度、そのほかにシステムの維持管理費用として年間数万~数十万円程度を要することがあります。
また、故障の際には修理や交換の費用も考えられるため、正しく使用してなるべく故障を防ぎたいものです。
ディスポーザーの耐久性やメンテナンス方法は?
ディスポーザーの本体は、7~10年ほどが寿命といわれています。それ以上使える場合もありますが、事故や故障のリスクなどを考えると、交換が望ましいようです。
自分でできるお手入れは、多めの水を流して洗浄したり、氷を入れて作動させたりして、シャーベット状にした汚れを流し取るなどの方法で行います。毎日使用するものなので異音が出る、流れが良くないなどの問題がないか、日ごろから見ておくようにしましょう。
ディスポーザーの設置方法は?
ディスポーザーは、新築の際だけでなく、後付けでも設置可能で、交換工事も行えます。下記のケースそれぞれの内容をご覧ください。
- ● 新しく設置する場合
- ①戸建て
- ②マンション
- ● 交換する場合
新しく設置する場合
①戸建て
シンク下に電源・給水を引く作業が必要です。(工事自体は難しいものではありません)また、排水管とディスポーザーをつなぐために、既存の排水管に合わせ、直径合わせのアダプターを使って取り付ける場合があります。
シンク下が引き出し型の収納となっている場合は、加工を行うなどして、ディスポーザー本体と引き出しが干渉しないようにしましょう。
シンク上にディスポーザーのスイッチを取り付けて工事完了です。
②マンション
工事の方法は戸建ての場合と同じですが、生物処理や機械処理の設備が利用できるか、ディスポーザーの使用自体が管理組合規定で可能かどうかなどの確認を経て、導入する必要があります。
また、隣接住戸への、音や振動の影響についても、事前に業者に相談しながら検討しましょう。
交換する場合
前述のように、使用期間約7年から10年で交換工事を行います。
メーカー保証の例として、引き渡し後2年間の保証、製造後7年の部品供給=修理期間という設定となっています。新機種等の交換工事は、必要な箇所だけの交換となるため、90分程度 で完了です。
まとめ
ディスポーザーのメリットとデメリットは何か、戸建てやマンションでの設置方法などを解説しました。
「ちょっと試しに使ってみる」という値段のものではないため、導入を検討する際には口コミや自治体の対応などの確認が必要です。しかし、使いこなせばメリットの多い設備なので、検討する価値はあります。ご家族でよく話し合ってみましょう。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。