2025.02.04
2×4工法(ツーバイフォー工法)とは?特徴、メリット・デメリットを紹介

住まいを買うことに関心を持つ前から「ツーバイフォー」という言葉はよく耳にしてきたかと思います。しかし、それがどんな意味があるのか知っている人は少ないかもしれません。
海外から取り入れられ、従来の日本の木造工法とは構造も特徴も異なっているのがツーバイフォー工法です。
本記事では、2×4工法(ツーバイフォー工法)とはどのようなものか、特徴・メリット・デメリット、注意点をご紹介し
INDEX
2×4工法(ツーバイフォー工法)とは

2×4工法とは、1974年に日本に導入され、三井ホームを中心に普及が進んだ施工方式・建物構造です。住宅性能の向上と建築コストダウンが可能な工法として、普及が進んできました。
2×4工法の大きな特徴は以下の2点といえるでしょう。
- ● 面で建物を支える
- ● 統一規格で工場加工
面で建物を支える
2×4工法は、断面が2インチ×4インチの角材と合板を接合した壁面や床を、面で組み合わせて建物を建てる工法です。
2×4工法を建築基準法上は『枠組壁工法』と呼びます。2×4材を組んで枠組を製作し、これに『構造用面材』=壁の基本となるものを接合して剛性の高いダイアフラムに組みます。
さらにそれらを専用金具・金物などで接続することで、丈夫な六面体構造の建物の完成です。
面で建物を支えるため、外部から力が加わったときの歪みや揺さぶり、ねじれなどに強く、頑強な建物を作ることができます。
統一規格のもとで工場加工を行う
2×4の工法は、建材のサイズだけでなく釘打ちのピッチ(間隔)、その他さまざまな規格や施工手順が統一されており、期待通りの性能を発揮させるためのマニュアルもあります。
工場での精密な加工(プレカット)で、精度の高い建材を生産し、建築現場では無駄やばらつきのない作業が可能です。
精度が高く、組み立てが容易なことから、DIY用に2×4工法のキットガレージが販売されています。
2×4工法の木材のサイズ照合
資材の名称 | ミリメートルのサイズ |
---|---|
2×4材 | 38mm×89mm |
2×6材 | 38mm×140mm |
2×8材 | 38mm×184mm |
2×10材 | 38mm×235mm |
2×12材 | 38mm×286mm |
4×4材 | 89mm×89mm |
2×4工法という名称は、構造材としておもに2インチ×4インチの木材を多く用いることからきていますが、使用する部位別で2×6、2×8、2×10、2×12などの規格材を使い分けが必要です。
たとえば強度が必要な二階以上の床には2×10材を、断熱性を持たせたい部分の外壁には2×6材を用いるケースもあります。
2×4工法の割合はどのくらいでしょうか。2019年度の全新設住宅着工に占める2×4住宅のシェアは12.1%、木造住宅着工の全数に占める割合は20.9%でした。総建設戸数は2000年に100万戸、は2011年に200万戸を達成しています。
ツーバイフォー住宅が戸数300万戸達成 全木造住宅着工に占める割合

ツーバイシックスや在来工法との違い

木造住宅の工法として、ほかにツーバイシックスや在来工法(軸組工法)があります。この項は、2×4工法とこれらの工法との違いについてのご説明です。
ツーバイシックスとの違い
前述のように、2×4工法でも数種類のサイズの材を使用します。しかしツーバイシックス工法では、外壁に2×6インチの木材を使用します。2×4工法では文字通り2×4インチの木材です。
木材は長編を水平になるように組むため、ツーバイシックス工法では壁の厚さが1.5倍となり、約5cm厚くなります。耐久性や断熱性で有利となるでしょう。垂直方向の強度が増すことで、耐震性もアップします。
反面、2×4工法よりも建築コストは高くなるので、要注意です。
在来工法(木造軸組工法)との違い
下図は在来工法(木造軸組工法)と2×4工法との違いを単純化して表しています。

在来工法(軸組工法)は、壁が建物の強度を受け持ちません。在来工法は垂直方向に柱、水平方向に梁(はり)、斜めに筋交い(すじかい)を入れて建物を支えます。
地震や風などの揺れに対し、在来工法は「線と点」で建物を支える方式です。
在来工法は柱と梁で何もないところから構造を組み立てていくため、現場での作業が多く、2×4工法に比べて非効率になりがちでしょう。また、作業者の力量が建物の出来を左右する要素が大きくなります。
反面、日本の気候風土に合っているほか、施主の希望でミリ単位のオリジナル間取り作成が可能で、改築などのリノベーションの際も、制約なく工事が可能です。
工法にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、比較検討する場合は、それぞれの特徴を把握したうえで家族の希望と照合しましょう。
2×4工法の6つのメリット

この項では2×4工法のメリットをさらに詳細に見てみましょう。以下のような点がメリットとして挙げられます。
- ● 耐震性に優れている
- ● 耐火性に優れている
- ● 工期が短い
- ● 省エネルギー性
- ● 戸外との遮音性
- ● 小屋裏空間が活用できる
耐震性に優れている
前述のように剛性の高いダイアフラムで構成する強固な構造の2×4工法は、地震で発生する縦ゆれ・横ゆれなどの外力を建物全体で受け止めて、荷重を分散させます。
この構造のおかげで、阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震など震度6~7の大震災でも、ツーバイフォー住宅の被害は比較的少なく済んでいました。
たとえば、2011年の東日本大震災でのツーバイフォー住宅の被害状況は、以下の調査結果が示すように全壊・半壊の要因は地盤の影響が多く、地震による建物変形の全壊はゼロ、半壊は2件でした。
全体で98%以上が「被害なし及び多少の被害」という結果となっています。
2×4工法の住宅 東日本大震災の被害状況(津波の被害を除く)
被害の程度 | 合計 | 強震変形 | 地盤崩壊 | 液状化 | 類焼他 |
---|---|---|---|---|---|
全壊 | 7 | 0 | 6 | 0 | 1 |
半壊 | 69 | 2 | 33 | 34 | 0 |
半壊 | 413 | 319 | 61 | 16 | 17 |
小計 | 489 | 321 | 100 | 50 | 18 |
多少の被害有り 及び被害無し |
19,633 | ||||
合計 | 20,122 |
一般社団法人ツーバイフォー建築協会 「東日本大震災被害調査報告会」アンケート調査より
耐火性に優れている
2×4工法は枠組材が延焼を一定時間抑える防火壁のように機能します。また、木材は表面が炭化すると内側が燃えにくくなる性質があるため、建物の構造材が約260℃の着火に達するまでの前に、避難するための時間を確保できるのです。
さらに2×4工法では通常、各居室の壁、天井の内側全面に石膏ボード(厚さ12.5mmが基準)を張るのが基準です。石膏ボードは加熱されると熱分解を起こし、約20分間にわたって水蒸気を蒸散し続け、石膏の難燃性が防火壁となる以外に、燃焼を遅らせる働きがあります。
工期が短い
前述のように精密な寸法の規格材使用や工場でのプレカット、マニュアルの規定通りの施工などがあるため、ほかの工法に比べて工期は短く、かつ品質のばらつきの少ない施工が可能です。(後述)
在来工法では現場の天候や現場での加工作業の多さ、職人の力量によって工期の長さがより大きく左右される点に、注意が必要となります。
以下は建築基準法で定められている技術基準の一部です。
2×4工法 技術基準(抜粋)
構造耐力上主要な部分の防腐措置 | 腐⾷、腐朽、摩損のおそれのあるものに腐⾷等防止の措置 | ||
---|---|---|---|
階数 | 地階を除く階数は3以下 | ||
アンカーボルトの種類 | 土台と基礎はサイズM12以上、長さ35cm以上、またはこれと同等以上の引張耐力を有するアンカーボルトで緊結 | ||
床根太、端根太、側根太の寸法 | 206、208、210、212、306の何れか、または38×140mm以上 | ||
床根太間隔 | 65cm以下 | ||
準耐力壁等の存在壁量 | 必要壁量の1/2未満 | ||
外壁の耐力壁線交さ部 | 交さ部に90cm以上の耐力壁を1以上配置 | ||
開口部の幅と幅の合計 | 開口部の幅は4m以下かつ開口幅の合計は耐力壁線長さの3/4以下 | ||
まぐさの設置 | 幅90cm以上の開口部の上部にまぐさを設置(たて枠と同寸法以上の断面のまぐさ受けが必要) | ||
たるきの間隔 | 65cm以下 | ||
小屋の屋根 または外壁に設ける開口部 |
開口部の幅は2m以下かつ幅の合計は当該屋根または外壁の下端の1/2以下 | ||
地面から1m以内の防腐措置 | 構造耐力上主要な部分(床根太、床材を除く)には防腐措置を講じている |
説明 | 特徴 | |
---|---|---|
空気伝播音 | 話し声やテレビのスピーカーなどから伝わる | カーテンや吸音材などで防ぎやすい |
固体伝播音 | 振動源から発生した振動が床やスラブを通して伝わる | 工法によって伝わり方が異なり防ぎにくい |
固体伝播音とは具体的には、2階の居室の足音や床に物を落としたときの音、二階水まわりのシャワー音やトイレの排水音、洗濯機の音などが挙げられます。また、固定伝播音は周辺の施設などの環境に左右される場合もあるでしょう。
固定伝播音の対策や、竣工後の音を抑える方法は、以下の防音対策も参考にしてください。
ツーバイフォー住宅の防音対策
施工時の防音対策 | グラスウールを施工 | グラスウールを一階と二階の間に入れて、下の階に伝わる伝播音を吸音させる。
グラスウールは壁面の中にも充てんできるので、部屋間に入れるのも効果が期待できる。 |
---|---|---|
二階の床に吸音ボードを敷く | 二階床根太の上に石膏ボードなどの吸音ボードを敷くことで、床衝撃音の対策ができる。 | |
一階の天井下地と二階の根太とを切り離す | 下地と床根太を切り離して独立させる「独立天井」という工法。
独立天井で直接振動が伝わりにくくなり、床の衝撃音の遮断性能が向上する効果を期待できる。 |
|
天井を斜めにすることで反響音を抑える | 天井と床が平行の場合は共鳴しやすい=天井に勾配を設けることで反響音を抑えられる。 | |
施工後の防音対策 | マットやカーペットを敷く | 吸音性の高いフロアマットやカーペットを敷くことで、軽いものを落としたとき、スリッパの歩行時に聞こえる軽量の衝撃音を抑える。 |
インテリアや家具の配置によって音量や響きを抑える | 大型の家具を壁から近いところに配置するだけで、隣の部屋に対する遮音性を高めることができる。
テレビなどの音の出る機器は、壁から少し離すだけで反響音を抑えられる。 |
|
部屋間に遮音カーテンを使用する | 遮音カーテンで本格的に部屋間の音漏れを防ぐことができる。 単に厚手のカーテンでも、ある程度の効果はある。 |
小屋裏空間が活用できる
2×4工法の住宅は、屋根裏に柱を立てる必要がなく、構造物が少ない関係で、小屋裏のスペースを活用しやすいのもメリットです。
屋根の勾配をそのまま活かし、二階の居室の天井高を高くしたり吹き抜けにしたりすることができます。また、ロフトや小屋裏収納など、利用方法はさまざまです。
なお、小屋裏を収納にする場合は、屋根にドーマー(三角子屋根に窓が付いたもの)を作って採光・通風などカビ対策をしておくのがおすすめでしょう。
また、夏季の酷暑期には小屋裏は非常に高温になることがある点には、注意が必要です。
2×4工法のデメリットとは

つづいて、2×4工法のデメリットも以下でご確認ください。
- ● コスト削減に限りがある
- ● 調湿効果に注意が必要
コスト削減に限りがある
同じ木造でも、軸組工法に比べて構造材のコスト削減ができません。前述のように、構造体の部材は建築基準法でJASやJISの適合品を使用するよう定められていて変更はできないことになっています。予算内に建築費を抑えるために、構造体でコスト調整することは不可能なのです。
ただ、逆に坪単価が100万円でも、40万円でも、坪数が同じなら構造材のコストは同じとなります。
また、規格が決まっている分、設計の際、間取りのカスタマイズも制限を受けたり、リノベーションを行う際も、以下のような場合に制約が生じたりするため、要注意です。
- ● 壁を取り払って間取りを変更する
- ● 新たに壁を設ける
- ● 窓の大きさを変える
しかし、上からの荷重を支える横材=まぐさの下の箇所は自由に間取り変更ができます。
また、マニュアル化された安定した工事で工期が短い点では、コストダウンになっているという考え方もあるでしょう。
きめ細かいマニュアルは木造枠組壁工法、住宅金融支援機構などが監修している『枠組壁工法住宅工事仕様書』によって作られています。
部材それぞれは日本農林規格(JAS)による品質チェックを受け、また、使用する箇所ごとに木材の品種などの種別が定められています。構造材以外に釘や金物に関しても、サイズや使用方法、使用する箇所、施工手順まで細かい指定があるのです。
これら規格部材の使用や厳密にマニュアル化された施工基準によって、高品質のまま建物価格を抑えられているでしょう。
構造にかかるコストは抑えながら、内装や設備などを優先しやすいといえます。
調湿効果に注意が必要
2×4工法は気密度が高い分、室内の湿度を逃がしにくいため、防湿の機能はとても大切です。
また、建築時の仕様によって結露の発生が起こりやすくなります。2×4工法では、壁面内側に防湿気密シートが使用されないことで、透湿バランスが悪くなって壁内結露が発生し、壁の中にカビや傷みが発生します。
正しい施工で、壁内に侵入した水蒸気を外へ排出させる必要です。
2×4工法の工期の目安はどれくらい?

ほかの工法に比較して工期が短く、安定している点は前述の通りです。2×4工法ほか、各主要工法の工期の目安は以下です。
2×4工法 | 木造軸組工法 | 鉄骨造 | RC造 |
---|---|---|---|
約100~120日 | 約120~140日 | 約140~170日 | 約240~260日 |
※現場の施工状況によって違いがあります
木造軸組工法よりも20日、鉄骨造よりも40~50日、RC造と比べると140日も工期が短縮可能であることが分かります。
2×4工法のメンテナンスの注意点

2×4工法は、維持管理の際もいくつかの注意が必要です。以下を参考にしてください。
メンテナンスの周期
木造住宅の寿命は、メンテナンスを正しく行った場合で60年といわれています。この寿命を維持するためには、15~20年周期のメンテナンスが必要なほか、定期的なチェックで早めの部分補修を行うことが推奨されるでしょう。
2×4工法で作られた家も、構造体の腐食やシロアリの食害に注意が必要です。シロアリのチェックや防蟻処理は、5~10年周期で行います。
また、住宅設備や内外装は築15~20年からの周期で屋根・外壁の張り替え・塗り替え、設備類の交換などを行うのが標準的な管理です。
現在使われている壁材や屋根材、塗料の種類、家の立地(海の近く・寒冷地)などによって修繕の周期には違いが出るので、専門家と相談しながら事前に修繕計画を立てておきましょう。
換気量の維持
経年変化の汚れなどで、換気システムの性能が落ちていることがあります。換気量の低下は結露や建物の傷みにつながり、注意が必要です。
換気システムのフィルターの汚れや、ダクトの詰まりなどがあると、初期の換気性能を発揮できなくなっている可能性があります。
依頼するハウスメーカーや工務店と相談しながら、必ず正しいメンテナンスの方法を確認しておきましょう。
リノベーションの方法
2×4工法の技術上の基準では、前述の使用する構造部材のほかにも、建物を支えるための耐力壁、開口部などの寸法にも規定があります。しかし、この部分でも基準内であれば、間取りの変更や増築などは行うことが可能です。
これらの基準から外れない範囲内で改築を行うか、部屋を小さく使いたいなどの場合は、間仕切りを活用することをおすすめします。
廊下や玄関の間口については、新築時にバリアフリーの基準に沿うように考えておくと良いでしょう。
家を買うなら、モデルハウスを見学しませんか?

2×4工法をご検討の際は、実物の建物で構造や室内の居心地などを体感するのをおすすめします。Webサイトの情報や口コミだけではつかみづらい点も、展示場で実物を見学することで、新しい生活の良さを知るための助けとなるでしょう。
東京・埼玉・群馬など首都圏を中心に、多数の住宅展示場を開催するハウジングステージでは、最新の機能や構造を持つ一流ハウスメーカーのモデルハウスをご見学可能です。
見学WEBご予約で2×4工法の相談が可能です。WEBご予約は特典プレゼントもご用意しております。(実施期間と実施展示場)
まとめ

2×4工法(ツーバイフォー工法)とはどのようなものか、特徴・メリット・デメリット、注意点をご紹介しました。
高い住宅性能と安定した品質を持ち、日本の気候との親和性も年々高まりつつあるツーバイフォー工法。
施主の間取りに対するこだわりとの折り合いが当面の課題ですが、家づくりの際は、柔軟な姿勢でメリット・デメリットを比較することをおすすめします。
暮らしへの希望があり、それを実現させるためのこだわりがあるとすれば、実現方法は、ひとつではないかもしれません。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。