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住宅展示場利用者600人に聞いた
2024年注目される
家づくりのトレンド -
解説:
川道恵子
一級建築士
僕らのマイホーム計画に
活かせる
今年の
トレンドはなんだろう?
昨今の景気や社会動向を考慮して、
どんな住宅を求めているのか。
住宅展示場利用者へ調査を行ったところ、
多くの人が「耐震性能」や「エネルギー問題」へ
関心を持ち、重視したいと
考えていることがわかりました。
それぞれ押さえるべきポイントや、
聞きづらいけど重要な「お金」の話について
ご紹介していきます。
▼ 注目のトレンドはコチラ ▼
第3位以下のトレンドはコチラ
耐震性の高い
設計・構造
- アンケート結果では、多くの方が「耐震性」に注目していることが明らかとなりました。新年に発生した能登半島地震をはじめ地震が多い日本では、安全性を重視した住まいづくりがさらに重要となりそうです。
- 地震に備える
住まいづくりに
必要なポイント
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「耐震基準」について
考えよう -
3種類の「耐震工法」
を理解しよう -
耐震性能の「等級」
を確認しよう
でも、やっぱり気になるのは
お金の話…
地震に強い家の実際のところ、
聞いてみました。
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耐震性能を高める費用は
どのくらいかかるの?数十万〜数百万円に
なることも。しかし…耐震性能を高めるためのコストアップは建物の規模や形状などによって異なり、数十万~数百万円に、また構造計算や申請費用も数十万円必要になります。しかし、地震が起きて大きな被害が出てからの補修費負担などと比べると、初期投資として決して高くはないでしょう。
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建てる際に助成金などは
なにかあるの?助成金・減税・割引など
複数あります!質の高い長期優良住宅の認定を受ければ、所得税や固定資産税の特例、住宅ローンの金利引き下げ、地震保険料の割引きといった、間接的なコストメリットがあります。
さいごに
能登半島地震での被害の大きさの原因の1つが、「繰り返しの揺れ」と言われており、耐震と制震の両方の工法を使った耐震等級の高い住宅の必要性が改めて注目されています。どの耐震等級にするかは、建築主ご自身の選択…。耐震性能の高い技術を持つハウスメーカーを選んで相談するとよいでしょう。
創エネ設備
(太陽光発電・蓄エネ設備)
- アンケート結果により、創エネ(エネルギーを創ること)が注目を浴びています。2025年にはすべての新築住宅に省エネ基準の適合が義務となり、今後の住まいづくりでは、持続可能性や省エネ・創エネ・蓄エネがさらに重要視されることでしょう。
- 創エネ設備の
メリットと考慮
すべきポイント
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省エネ・創エネ・
蓄エネを理解しよう -
ZEH・NearlyZEHを
取り入れる
でも、やっぱり気になるのは
お金の話…
創エネ設備の実際のところ、
聞いてみました。
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太陽光発電の設置コストは
どのくらいかかるの?初期投資ゼロで導入できるケースもある!
太陽光発電の設置コストは、2023年が1kW当たり平均28.8万円(経済産業省資料)で、住宅用は一般的に3~5kWが多いので戸当たり86.4~144万円になります。初期投資はかかりますが、一方で減税制度や助成金制度があります。また、初期投資ゼロで導入できる方法(第三者所有モデル、リースモデル)もあります。長期契約で自由に交換処分ができないなどの制約や特徴がありますが、購入の場合と比較検討するとよいでしょう。
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お得に導入できたらな…。
優遇制度などはあるの?税制・金利の優遇や
助成金制度などがある!- ■「フラット35の金利の優遇」
- ■東京都独自の省エネ住宅助成金制度
「東京ゼロエミ住宅」 - ■国土交通省の「子育てエコホーム支援事業」
さいごに
大きな自然災害や物価高が心配されるこれからの時代に、耐震性とエネルギーの自給自足は、最も重要な家づくりの要素と言えます。そのためにも、各性能の技術力、優遇制度のアドバイス力、そして確かな施工とアフターサービスの面でも安心できるハウスメーカーを選びましょう。
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●執筆・情報提供
川道恵子(一級建築士)
株式会社住まいと街設計事務所 代表取締役。
住宅メーカー設計部にて戸建住宅の設計業務。デベロッパーにて、マンション等の企画・監理業務を経て設計事務所において不動産開発業務に携わる。2011年より現職。土地の活かし方、住宅の間取り提案等、幅広い実績多数。
「家づくり」で
重視したい機能
出典:総合住宅展示場来場者アンケート2023 調査報告書
「耐震基準」について
考えよう
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建物の地震に対する強さを確保するために耐震基準があります。過去には、全国各地で大きな地震が起きるごとにこの基準は改正されていますが、大きくは、1981年以前の旧耐震基準、1981年以降2000年までの新耐震基準、そして木造は2000年以降現在に至る新・新耐震基準(2000年基準)に分けられます。現在の建築基準法は、新・新耐震基準です。
新・新耐震基準では、新耐震基準に加えて新たに下記が定められました。
- ①地盤調査の規定の充実
- ②地耐力に応じた基礎構造
- ③耐震壁の配置バランスの考慮
- ④筋かい金物使用や柱頭柱脚接合
金物の使用規定
3種類の「耐震工法」を
理解しよう
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耐 震
建物を支える構造躯体そのものを強くし、かつ躯体同士を強く結び付けることで地震の揺れに耐える工法です。柱や梁を太くしたり、壁の筋交いを多くしたり、それらをつなぐ金物を強靭なものにします。
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制 震
地震の揺れを躯体の一部に集中させ、そこで地震力を吸収することによって、建物の他の部分への負荷を減らす工法です。壁の筋交い部分にダンパーを設ける方法が代表的です。
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免 震
地震力が建物に伝わらないよう地盤と建物の間を分離し、免震装置を介して揺れを抑えて建物に伝わらないようにする工法です。家具の揺れも防げるメリットがあります。初期コストや維持コストも含めて検討しましょう。
耐震性能の「等級」を
確認しよう
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地震の揺れに対する建物の強さは、等級1、2、3の3段階に分けられています。【下図】
右にスクロールできます▶︎
なお免震工法は地震力そのものを建物に伝えないため、この「等級」という分け方には該当しません。
耐震性能に対する
助成金や減税制度
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東京都内区の
建て替え助成区によっては、旧耐震基準の木造住宅の建て替えに対する助成制度を設けています。一定の条件に該当する必要がありますので、地元の行政窓口に問い合わせてみましょう。
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東京都23区内固定資産税
都市計画税の減免1982年(昭和57年)1月1日以前からある家屋を取り壊して新築された住宅は、新築後新たに課税される年度から3年度分について全額減免されます。
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耐震等級別地震保険料
の割引き割引率
耐震等級1:10%
耐震等級2:30%
耐震等級3・免震建物:50% - ※各種優遇制度、補助金、助成金については、適用期限や年度ごとの予算制度があり、2024年度については未発表のものがあります。具体的には各管轄HPで、或いはハウスメーカー等にご確認ください。
※各種優遇制度、補助金、助成金については、適用期限や年度ごとの予算制度があり、2024年度については未発表のものがあります。具体的には各管轄HPで、或いはハウスメーカー等にご確認ください。
省エネ・創エネ・
蓄エネを理解しよう
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住宅における省エネルギーとは、使うエネルギー量を減らし無駄にしない状態のことをいい、設備や仕様によって可能になります。
使うエネルギーを減らす
(一次エネルギー消費基準)節水節湯の水廻り、LED照明、高効率給湯器(エネファームなど)などの導入
エネルギーを無駄にしない
(断熱性能)断熱性能の高い窓や玄関ドア、高性能の断熱材を使った壁、屋根、基礎等によって、熱をのがさない(冬)、熱を入れない(夏)
この断熱性能と一次エネルギー消費基準との組み合わせで省エネ基準のレベルが計れるようになっています。
さらに太陽光発電や風力発電で再生可能エネルギーを創ることを「創エネルギー」といい、創ったエネルギーを蓄電システムで蓄えて自家消費の機会を広げることを「蓄エネルギー」といいます。
ZEH・NearlyZEHを
取り入れる
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創エネルギーと蓄エネルギーの設備を設けることで、使うエネルギーが、創るエネルギーを下回りマイナス以下になる家をネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)といいます。【図】
ZEHのメリットと特徴
- ●自宅で電気を創り出して自分で
使うので、
高騰する光熱費を
抑えることができる - ●停電が起きても、自宅で電気を
創れるので安心 - ●蓄電した電気で生活できれば、
災害時に避難所生活をする
心配も減る
環境にやさしく、安心、そして家計にも優しいという、3拍子が揃うのがZEHです。
ただし、東京都内など狭小地に建てる住宅は、太陽光パネルの設置面積や日照時間が限られる場合が多いのが現実。創エネルギーと消費エネルギーが±0以下にならなくてもエネルギー消費削減率が基準の75%~100%未満の場合はNearly ZEHといい、これもZEHと同様に補助金の対象となります。 - ●自宅で電気を創り出して自分で
創エネ設備に対する
助成金や減税制度
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ZEH住宅は
「フラット35の
金利が最も優遇」経済産業省と環境省によるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金は、ZEH内容に応じて戸当たり最大で140万円です。
フラット35Sの詳細はこちら -
東京都独自の
省エネ住宅助成金制度
「東京ゼロエミ住宅」東京ゼロエミ住宅は省エネ住宅助成金制度。2024年10月1日からは太陽光発電設備等の設置が必須条件になります。助成額は、省エネ性能レベルによって40万円、160万円、240万円です。
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国土交通省の
「子育て
エコホーム支援事業」子育て世帯や、夫婦のどちらかが1983年4月2日以降に生まれた世帯は、ZEHやNearly ZEH住宅に対して戸当たり80万円(市街化区域の場合)の補助金が受けられます。エコホーム支援事業登録住宅事業者との工事請負契約が必要です。
- ※各種優遇制度、補助金、助成金については、適用期限や年度ごとの予算制度があり、2024年度については未発表のものがあります。具体的には各管轄HPで、或いはハウスメーカー等にご確認ください。
※各種優遇制度、補助金、助成金については、適用期限や年度ごとの予算制度があり、2024年度については未発表のものがあります。具体的には各管轄HPで、或いはハウスメーカー等にご確認ください。