2023.07.25
坪単価の計算方法は?平米単価との違いや価格の出し方の注意点を解説
最終更新日:2024/08/13
住宅を建てる際に、どの程度の費用がかかるのか気になっている方も多いでしょう。資金計画を立てるうえで、重要となるポイントが坪単価です。
坪単価を把握していないと割高なことに気づかずに住宅建築を依頼してしまう恐れがあるため、必ず坪単価を加味して依頼先を比較検討する必要があります。
本記事では坪単価の計算方法や相場、注意点について解説します。
INDEX
坪単価とは?
坪単価とは、住宅を建築する際の1坪(約3.3平米)あたりの価格を意味します。計算式は以下の通りです。
坪単価 = 本体工事費 ÷ 延べ床面積(坪数)
例えば、本体工事費が2,500万円で延べ床面積が40坪の場合、「2,500万円 ÷ 40坪 = 62.5万円」となります。
坪単価を用いることで、比較しにくい物件の価値を算出できます。例えば、30坪で1,800万円の住宅と、40坪で2,000万円の住宅がある場合、どちらの価値が高いかを判断するのは難しいでしょう。しかし、坪単価になおすと1,800万円の住宅は1坪あたり60万円、2,000万円の住宅は1坪あたり50万円となるため、1,800万円の住宅のほうが価値は高いと判断できます。
坪単価の考え方はマンションと戸建てを検討する際にも有効であるため、住宅購入時の参考にするのがおすすめです。
なお、住宅では坪数や畳数、平米(㎡)など複数の単位が使用されるため、単位が混在すると広さの目安が分からない方も多いでしょう。
坪数、平米、畳など違いについて知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
関連記事:
建坪とは?延床との違いや坪単価との関係を解説!|住宅展示場のハウジングステージ
坪単価と平米単価はどのように違う?
「坪」は、日本で昔から使われている尺貫法の単位で、1坪は1辺が6尺(約1.81818178m)の正方形です。平方メートルで計算すると3.30578m2。畳の大きさは種類がありますが、大体畳2畳分の広さです。
つまり1坪=約3.3平米(m2)、1平米は1m2です。建築費用を延べ床面積(m2)を割ったものが、建物の延べ床面積1平米あたりの建築費用で、これを平米単価といいます。
換算する際は例えば、延べ床面積が30.25坪となっていた場合、平米になおす際には3.30578を掛けると、99.99m2=約100㎡と分かります。逆に平米数から坪数を計算する場合は、1平米に0.3025を掛けて行います。
関連記事:
一平米の広さ、坪数は?家を購入する際に知っておきたい、家の大きさの把握|住宅展示場のハウジングステージ
坪単価の計算方法は?
家の平米数をもとに坪単価を計算するには、いくつかの方法があります。下記を参考にしておおよその数字の感覚の違いをつかんでください。
公式を用いて、家の本体価格を坪数で割る
坪単価は、家のお値ごろ感やグレード感を知る指標として、広告などでもよく表示される数字です。建物の価格を他と比べる際に、それぞれ面積が異なる状態を解消して、分かりやすくする効果があります。賃貸住宅の家賃を、坪単価で比較することもできます。
坪単価の出し方は建物の本体価格を延べ床面積(坪)で割って計算しましょう。
家の本体価格 ÷ 坪数(延べ床面積) = 坪単価
例えば建物の本体価格が2,400万円で、延べ床面積が40坪だった場合の坪単価は「2,400万円÷40坪」となり、坪単価60万円です。
平米単価から坪単価を計算するには?
不動産業界も、徐々にメートル法に統一する方向にあり、平米単価が記載されていることもあります。しかし他のメーカーの坪単価と比較する場合に、不便な場合もあるでしょう。
「1平米=0.3025坪」なので、坪単価の出し方の計算式は「平米単価÷0.3025」です。
例えば、平米単価が18万1,500円だった場合、「181,500÷0.3025=600,000」
この場合、坪単価では60万円に相当するという計算になります。
ExcelやWebサイト、計算ツールも活用しよう
どうやって計算するかを覚えていなくても、各ハウスメーカーの坪単価ほかのスペックを比較するような場合、Excelの表にまとめると一覧できて便利です。
その際に、平米単価と坪単価のセルを作っておき、坪数を平米(m2)に換算する場合は「=坪数*3.30578」、平米を坪数に換算する場合は、「=平方メートル*0.3025」と数式を埋め込んでおけば、自動で計算してくれるでしょう。
また、Webサイト上や計算ツールのアプリなどで、入力するだけで簡単に換算してくれるものがあります。
坪単価の計算方法や価格表示で気を付けること6つ
平均的な坪単価が分かったところで、坪単価に関する注意点を6つ紹介します。
- ①本体工事費は総額工事費とは別
- ②施工床面積と延べ床面積のどちらで計算するか
- ③坪単価はハウスメーカーによって異なる
- ④建物が小さくなると坪単価は高くなる
- ⑤家の形状によって坪単価は異なる
- ⑥坪単価の算出方法は会社によって異なる
上記の注意点を把握せずにハウスメーカーを選ぶと、表面的な坪単価でしか判断できなくなるため、本質的ではありません。それぞれの注意点について見ていきましょう。
本体工事費は総額工事費とは別
本体工事費とは建物そのものにかかる費用です。一方で、住宅を建てる際にハウスメーカーに支払うトータルの費用を総額工事費と呼びます。しかし、坪単価を算出する際に使用するのは本体工事費であり、総額工事費とは異なる点に注意しましょう。
総額工事費とは本体工事費に付帯工事費を足したものです。本体工事費と付帯工事費の内訳は以下の表を参考にしてください。
本体工事費 | ● 仮設工事 ● 基礎・土台工事 ● 木工工事 ● 屋根工事 ● 建具工事 ● 仕上げ工事 ● 設備工事 など |
付帯工事費 | ● 外構工事 ● 水道管やガス管の引き込み工事 ● 造園工事 ● 屋外電気工事 ● 照明器具工事 など |
総額工事費のうち、本体工事費が7〜8割、付帯工事費が2〜3割を占めるのが一般的です。そのため、ハウスメーカーなどが提示する坪単価だけで総額工事費を算出すると、実際の支払額と差異が生じます。住宅を建てる際は、必ず総額工事費を確認しましょう。
なお、上記の費用は住宅ローンに組み込めますが、住宅購入時には住宅ローンに組み込めない、もしくは諸経費ローンとして別途ローンを組まなければならない費用があります。具体的には以下の通りです。
- ● 印紙税
- ● 登録免許税(登記費用)
- ● 不動産取得税
- ● 仲介手数料
- ● 引っ越し代
- ● 火災保険 など
住宅を購入する際は、総額工事費の他に諸費用も含めて資金計画を立てる必要があります。
住宅の建築費について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:建築費とは何を指す? 注文住宅の家づくりにかかるお金
② 施工床面積と延べ床面積のどちらで計算するか
坪単価計算は、延べ床面積以外に施工床面積で計算する場合があります。
延べ床面積は建物全体の床面積の合計で、2階建家屋なら1階と2階の床面積を合わせたものですが、そこに含まれない玄関ポーチ、クローゼット、押し入れ、ベランダ、地下室、吹き抜けなどを含んだものが、施工床面積です。
施工床面積のほうが大きい=坪単価は下がるため、比較の際には注意が必要です。
たとえは同じ本体工事費2,400万円でも、延べ床面積が30坪、施工床面積が40坪の違いがあった場合、坪単価は80万円と60万円の違いとなってしまいます。
③坪単価はハウスメーカーによって異なる
本記事では平均的な坪単価について紹介しましたが、ハウスメーカーによって坪単価は異なります。また、同じハウスメーカーでも建物や設備のグレードによって坪単価は変わるため、あくまでも目安として考えましょう。
実際にハウスメーカーを選ぶ際は、住宅展示場でモデルハウスを内覧したり、パンフレットを取り寄せたりと総合的な観点で選ぶ必要があります。
④建物が小さくなると坪単価は高くなる
住宅は建物が小さくなったとしても、浴室やキッチン、トイレなど最低限必要な設備は変わらないため、坪単価が高くなる傾向にあります。
そのため、建物を小さくして総額工事費が下がったとしても、坪単価は高くなっているケースが多いです。坪単価が高いか安いかだけで判断するのではなく、理想の生活を実現できるかどうかで判断しましょう。
⑤家の形状によって坪単価は異なる
一般的に建物の形状が複雑になるほど、工事費が高くなり坪単価も上がります。具体的には凹凸のあるデザインです。
L字型やコの字型の住宅は外壁の面積が増え、使用する木材や外壁材が多くなります。同じ延べ床面積であっても、家の形状が複雑になるほど坪単価は高くなると考えましょう。
なるべく費用をおさえたい方は、キューブ型の住宅などフラットなデザインの住宅がおすすめです。
⑥坪単価の算出方法は会社によって異なる
坪単価は「本体工事費 ÷ 延べ床面積(坪数)」で求められるとお伝えしましたが、ハウスメーカーによっては施工床面積で坪単価を算出しているケースもあります。
施工床面積とは、ベランダやロフト、地下室など、通常は延べ床面積に含まれない箇所を含む面積のことです。施工床面積は延べ床面積よりも大きいため、延べ床面積で算出した坪単価よりも安くなります。
坪単価が安いと思って依頼したにも関わらず、総額工事費が想定よりも高くなる恐れがあるため、事前に坪単価をどのように算出しているかを確認しましょう。このような見方をすることで、ハウスメーカー選びの失敗を避けられます。
坪単価の平均【構造別】
国土交通省の建築着工統計調査によると、2022年度の居住専用住宅の構造別坪単価は以下の通りです。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
---|---|---|---|
約58万円 | 約89万円 | 約91万円 | 約86万円 |
参照元:建築着工統計調査
単価は地域によっても変動しますが、上記の価格を参考にして適正価格かどうかを判断しましょう。
坪単価の平均【ハウスメーカー別】
坪単価の目安はハウスメーカーによって異なります。具体的な違いは以下の表を参考にしてください。
大手ハウスメーカー | 70〜90万円 |
ローコストメーカー | 30〜50万円 |
工務店 | 50〜60万円 |
設計事務所 | 90万円~ |
それぞれの詳細について解説します。
大手ハウスメーカーの坪単価は70~90万円
大手ハウスメーカーは、基本的に日本全国を対応エリアとしており、テレビCMなどで数多くの顧客に認知されています。大手ハウスメーカーの坪単価は70〜90万円程度であり、なかには坪単価100万円を超えるようなハイグレードな住宅も建築しています。
大手ハウスメーカーの坪単価が高い理由は以下の通りです。
- ● 多くの広告宣伝費をかけている
- ● 会社の規模が大きく人件費がかかる
- ● 快適な住まいを作るために多くの研究開発費をかけている
- ● 長期保証がありアフターサービスが充実している
- ● 住宅の選択肢が豊富にある
本来の工事費以外に上記のような価格が上乗せされていると考えましょう。しかし、必ずしもネガティブなことではありません。豊富な実績や提案力、充実した保証内容など、大手でなければ実現できないことも数多くあります。
大手ハウスメーカーに依頼することで、長期的に安心して生活できるでしょう。
以下は大手ハウスメーカーの平均坪単価データです。
ローコストメーカーの坪単価は30~50万円
ローコストメーカーとは、注文住宅でありながら建物の価格をおさえたローコスト住宅を建てるメーカーのことです。ローコストで住宅を建築できるのは、住宅の規格や設備を均一化しているためです。
住宅の規格や設備を均一化することで、建材の大量生産が可能となり材料費を削減できます。また、施工内容が似ている住宅が多くなるため、作業の効率化が図れ人件費の削減にも繋がっています。
ただし、オプションをつけると費用が割高になるケースが多いため、仕様変更の自由度は下がると考えましょう。同じローコストメーカーの建物は外観なども似たデザインになるため、他の住宅と差別化を図りたい方は、似ている住宅がないエリアで建てるなどの工夫が必要です。
工務店の坪単価は50~60万円
工務店とは、一般的にハウスメーカーよりも狭い地域で住宅建築を請け負う会社です。ハウスメーカーが全国展開だとすれば、工務店は地域密着型と考えましょう。
工務店はハウスメーカーほど大々的な広告費用をかけていないケースが多く、その分坪単価もおさえられている傾向にあります。また、ハウスメーカーのように住宅規格が統一されていないため、比較的自由度の高い設計が可能です。地域に密着していることもあり、困りごとが発生した際にすぐに相談しやすい点も特徴です。
ただし、工務店によって技術力にバラつきがあるため、施工実績や地域での評判をもとに慎重に検討する必要があります。アフターサービスも大手ハウスメーカーほど充実していない傾向にあるため、長期目線で検討しましょう。
設計事務所の坪単価は90万円~
設計事務所とは、住宅の設計を専門に請け負う会社です。住宅の施工は設計事務所から依頼を受けた工務店が行うため、設計事務所では建築しません。
設計事務所とハウスメーカー・工務店の大きな違いは、完全オーダーメイド設計で独自の住宅を作れることです。ハウスメーカーや工務店でもオーダーは可能ですが、いくつかの決められた型に沿って住宅を建築します。
そのため注文住宅とはいえ、ある程度均一化されたデザインの住宅になってしまいます。一方、設計事務所に依頼することでオンリーワンの住宅を建てられるため、他とは違う住宅を建てたい方は設計事務所に依頼しましょう。
ただし、オンリーワンの設計であるため、坪単価は高額になる傾向にあります。
まとめ
本記事では坪単価の計算方法や相場、注意点について解説しました。坪単価とは、住宅を建築する際の1坪(約3.3平米)あたりの価格です。
しかし、坪単価を算出する際に使用するのは本体工事費であり、総額工事費とは異なる点に注意しましょう。総額工事費のうち、本体工事費が7〜8割、付帯工事費が2〜3割を占めるのが一般的です。
また、ハウスメーカーによっては延べ床面積ではなく、施工床面積で坪単価を算出しているケースもあります。適正な価格で住宅を建てるためにも、本記事で紹介した坪単価の相場や注意点を参考にして、ハウスメーカーを選びましょう。
執筆・情報提供
岡﨑渉(おかざきわたる)
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。