2020.03.18
家事動線の良い間取りとは?ポイントと具体例を紹介!
最終更新日:2024/05/16
これから家づくりをする際にとても気になるポイントとして、調理や洗濯などの家事のしやすさがあるでしょう。持ち家の場合、毎日の積み重ねが数十年に及ぶので、ちょっとした配慮の差が大きな差になり、家族全員の暮らしやすさにもつながるでしょう。
今回は家事を品質よく効率よく終わらせるために、動線を意識した間取りを、実例を交えてご紹介します。家事スペースの確保や水回り、荷物の搬入など、ご自身の理想の家づくりの参考にしてください。
INDEX
間取りを決める際の動線の考え方
まず家事動線に対して、何を配慮する必要があるかを見てみましょう。以下は屋内の生活動線についての悩みの集計結果です。
家の中では食事と、洗濯に関わる動線についての悩みがとても高いことを示しています。
つづいて、動線の悪さで受ける影響についての回答結果です。
動線が良くないことで生じる悩みは、家事と整理整頓に集まるほか、来客の対応もそれなりに高いことが伺えます。
これらの悩みの解決策を立てるうえで、家中での動線を分類してみましょう。
家事動線
まず料理、洗濯、掃除など家事に関わる動線は重要です。子育て期間中は、ここに子どもの世話や見守りというタスクが横入りするでしょう。
たとえば物干しが2階、洗濯機が1階という場合、毎日洗濯物を2階まで持ち運ぶという仕事が発生します。
洗濯物の階段の往復は、時間と稼働の大きな負担といわざるを得ません。しかも2階への移動中は、1階に寝かせた子どものケアは手薄になります。
洗濯から干す、たたむ、しまうなどの1セットの動きをなるべくコンパクトにまとめるのが、動線設計の基本です。
帰宅動線
朝の外出の支度や、逆に帰宅してから洗面手洗い、着替え、シャワーなどの一連の動きがスムーズでない場合、特定の場所に人の滞留が起きます。
たとえば家族の朝の支度や、夕方の帰宅時間が集中している場合、キッチンや洗面回りを塞ぐような動線で家族が行き来する状況は、食事の支度にも支障をきたすでしょう。
子どもたちの状態を気にかけながら洗濯物をたためるかなど、家事動線とも関わりが出てくるでしょう。
来客動線
コロナ禍の終息で個人宅の行き来も回復しました。親の来訪や、ちょっとした来客時の対応のしにくい家は、ストレスとなりかねません。
迎えたお客さまをリビングの奥の部屋に通したり、トイレに行くのにリビング経由だったりする場合、その動線を事前にすべて片付け、掃除しておく必要が生じます。
「うちにはお客さまはほとんど来ないから」とも考えがちです。しかし居住して年数を経るうちに、家族の家に対するニーズは変化するので、お客さまの出入りも変わってくる可能性があるでしょう。
家事動線、帰宅動線、来客動線の3つが交錯するため、それぞれのシーンも想定しながら、今回は家事をメインとした間取りについて解説します。
家事動線が良い間取りにするためのポイント
家事動線に着目して、良い間取りのポイントをご説明します。
水回りは集中して配置しよう
家事を楽にしたいときに1番に考えるべきは、家事動線の長さです。
家事動線が長いと、台所からキッチン、キッチンから洗面台への移動に時間がかかりすぎてしまいます。
家事動線を極力短くすることで、家事をする際の移動距離が短くなるため、家事を楽にこなせます。
家事動線の長さを考えるだけでも、家事の作業効率が変わるので、よく考えましょう。
では、家事動線を短くするためにはどうしたらよいのでしょうか?
家事動線は、水回りを1カ所に集中して配置することで、短くできます。
家事動線を短くして、家事が楽に終えられるようにしましょう。
買い物から調理までの動線を整える
買い物からの帰宅後、食材を収納し、調理の際に必要な食材を取り出して調理をするタスクの中でも、コンパクトな動線は最重視する問題です。
パントリー(食材庫)を設け、冷蔵庫とともに食材管理を行うと、収納が早いうえに在庫が見渡せて、買い物の見通しもすぐに立ちます。
食器を出し、片付けて洗い、収納する動線も同様です。食器棚がキッチンから離れた場所にあるのは考えにくいでしょう。
収納と家事スペースを考える
さまざまな家事の終着点は、必ず収納です。洗濯はクローゼットやチェスト、調理は食器棚、掃除は道具収納で完結します。つまり収納の位置も動線の考慮の対象です。
必要な分の収納が、短い動線の中に合理的に設けられているかを確認しましょう。
家事のもう一つの重要要素である掃除についてはどうでしょうか?
収納によって片づけるものの定位置が決まっていて、ものが散らからない状態こそ、もっとも掃除が効率よく品質良く終わる点はいうまでもありません。
また、家事を行ううえでちょうどいい高さで、ものを広げられる場所があると、作業は一気にはかどります。
調理の下ごしらえには台所が狭い場合があり、洗濯物は食卓の上では扱いたくありません。家事には書き物も多くあります。この様なニーズを解決するため、家事用に考えられたスペースを取り入れることがおすすめです。
家事動線の良い間取り例
この項では、家事の動線を考えてうまくつくられた間取りの例をご紹介します。生活の知恵に根差したアイデアに富んでいますので、暮らしやすい家づくりの参考にしてください。
キッチンの回遊動線と集中クローゼット
洗面・洗濯スペースにランドリーデスクを設け、たたむまでの洗濯関連の作業はすべてこのエリアで完結します。洗う・干す・たたむの3つの動線がとても短いことがひと目で分かるでしょう。
さらに、2階の各居室は大きなウォークインクローゼットを設け、衣類の集中収納が可能です。
大きな玄関は来客専用のクローゼットと出入口を持ち、リビングの左側のスペースはサロンとして私生活との分離が想定されています。
このほか1階に家事に使えるワークスペースと、キッチン内にすぐ取り出せるパントリーを完備し、家事の効率に貢献するでしょう。
脱衣所を囲む洗濯動線
全天候型のランドリースペースと、大型のファミリークローゼットを洗面のすぐそばに持つ間取りです。洗濯関連の家事は相当合理的でしょう。物干しは、来客時も気兼ねがありません。
広い1畳のパントリーとキッチン背面の食器棚も、食事の家事の効率をアップします。また、L字型の中心のキッチン配置が子育て時には便利です。調理をしながら外の遊び場の見守りやワークデスクの宿題の声掛け、和室に寝かしつけた幼児の見守りなどができます。
考え抜かれた収納とパントリー
「どこに何をしまうか」にこだわった設計の間取りです。2か所の勝手口から食材、日用品、雑貨はすぐに収納して使いやすく出し入れできます。
広いパントリーは、食材のストックがすぐ把握できて、お料理の効率化にも役立つでしょう。
衣類は2階のクローゼットで集中管理し、ムダな動線が全くありません。
間取りを見るだけで、生活に必要なものを収納する場所が決められ、すっきりした暮らしが実現できることが分かります。これならルンバの自動清掃も活躍できるでしょう。
狭小でもOK・家族の時間に寄り添う家事動線
20坪台の平屋でも、家事動線の理想が実現できます。キッチンや脱衣所周辺にサービステラスやワークスペースを設け、無駄のない家事の動きを実現します。
ウッドデッキや菜園からの出入りのスムーズさは、戸外での家族の時間をサポートし、外のスペースも家事に有効活用する仕様です。和室の位置は、来客対応と家事の両方に活用できます。
悪天候でも買い物からキッチンまで一直線
ビルトインガレージからパントリーへのルートは、冬期に悪天候が続く地方でも安心な仕様です。1階の大きなファミリークローゼットで家族の衣類を集中管理するため、洗濯動線はとても合理的。
ファミリークローゼットは洗面、主寝室とアコーディオンカーテンなどでつなげれば、帰宅後の着替え、入浴、寝間着の更衣など、帰宅からの生活動線はとても合理的です。
バリアフリー性が求められる頃にも、現在とほとんど生活動線を変えないままで介護動線にも優れた間取りであることが分かります。
間取りを決める際の検討要素は、以下の記事も参考にしてください。
注文住宅でおすすめの間取り15選!間取りを決めるポイントも解説|住宅展示場のハウジングステージ
まとめ
洗濯だけでなく、すべての家事において動線は重要。家事動線について見直したり、これからマイホームを持ちたかったりする人は特に、住宅展示場の見学がおすすめです。
実物の家の動線をチェックすることで、家事がしやすい住宅を探してみてはいかがでしょうか。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。