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住宅のマネーと制度

2020.07.27

住宅性能評価書や長期優良住宅で住まいの安全・安心を確保

一戸建てを建てたり買ったりするときには、できるだけ長く、安全・安心に暮らせる住まいを見つけたいものです。建築の専門的な知識がないと、簡単ではないと思う方もいらっしゃるでしょうが、住宅性能表示制度や長期優良住宅認定制度を上手に活用すれば、誰でも、長く、安全・安心に暮らせる住まいを見つけることができます。

INDEX

住宅性能評価書交付住宅は新築の3割に近づく

住宅性能表示制度というのは、2000年に施行された「住宅の品質の確保等に関する法律」(住宅品確法)によって定められたもので、住宅の基本性能に関する10区分、32項目について、第三者機関の専門家が評価して表示する仕組みです。各項目とも、三段階などの等級で評価されるので、建築に詳しくない人でも住宅の基本性能を把握することができます。
ただし、義務化された制度ではなく、任意の制度なので、注文住宅の場合、性能表示を行うかどうかは、施主である消費者と注文住宅の工務店や住宅メーカーが話し合って決めることになります。
国土交通省の調査によると、図表1にあるように、新設住宅に占める住宅性能評価書を取得した住宅の割合は、制度がスタートした2009年度のシェアは19%台だったのが、年々着実にシェアが高まっています。2019年度の住宅性能評価書の交付戸数は24万戸台で、新設住宅着工戸数の27.7%を占めています。

図表1 設計住宅性能評価書交付戸数とシェアの推移

(資料:国土交通省ホームページ)

多くの項目で最高等級を取得している安心感

大手住宅メーカーなどが会員の住宅生産団体連合会の調査によると、注文住宅のうち5割強がこの住宅性能評価制度を利用しており、多くの項目で最高等級を取得しています。たとえば、耐震等級に関しては91.7%が最高等級の等級3を取得しており、平均等級は2.93に達しています。また、劣化対策等級は平均2.94、維持管理対策等級は平均2.94などとなっています。
住宅性能表示制度によって性能の高い住まいになる可能性が高いわけで、最近は大手メーカーだけではなく、中堅ビルダーの注文住宅でも、最高等級を取得できる商品が増えています。
性能表示を行うには、住宅の規模・構造などによって1戸当たり10万円から20万円ほどかかるのですが、それで安全・安心を担保できるのであれば、決して高くはないでしょう。

長期優良住宅の認定戸数は年間10万戸強に

いまひとつ、長期優良住宅も注目しておきたい制度です。2009年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(長期優良住宅法)に基づいています。長期にわたり良好な状態で住み続けられるような措置が講じられている優良な住宅について、国が認定を行っています。
認定を受けた住宅には、税制面などでさまざまな特典があります。たとえば、住宅ローン減税の控除額は一般の住宅は10年間で最大400万円ですが、長期優良住宅の認定を受けていれば、500万円になります。そのほか、固定資産税の減額などのメリットがあります。
図表2にあるように、制度がスタートした2009年度の認定戸数は5万戸台だったのが、最近では年間10万戸台で推移しています。

図表2 長期優良住宅の年度別認定実績の推移       (単位:戸)

(資料:国土交通省ホームページ)

長期優良住宅の大半は一戸建てが占めている

図表1を見れば分かりますが、長期優良住宅の認定を受けているのは、ほとんどが一戸建てで、マンションなどの共同住宅等は最近では年間1000戸程度にとどまっています。マンションについては、長期優良住宅の耐震性の条件などが厳しく、適合させるためには大幅なコストアップになるため、認定取得を見送るケースが多いといわれています。

それに対して、一戸建てにおいては大手住宅メーカーや中堅ビルダーなどでは、標準装備でも長期優良住宅の認定を受けられる商品が増えています。
注文住宅を建てるときには、住宅性能表示制度か長期優良住宅制度を利用して、長く、安全・安心に暮らせる住まいを実現していただきたいものです。住宅性能評価書の取得や長期優良住宅の認定には一定の費用がかかりますが、住宅性能評価書を取得していれば、長期優良住宅の認定費用は安くなりますので、できれば両方とも取得すれば、より安心感が高まるのではないでしょうか。

執筆・情報提供

山下和之(やました・かずゆき)

新聞・雑誌・単行本の原稿制作、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『よくわかる不動産業界』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プラントと税金対策』(学研プラス)、『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)などがある。

・山下和之の良い家選び ・Business journal ・現代ビジネス ・ARUHIマガジン

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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