2021.03.10
帰国子女パパならではの「学び」や「ライフスタイル」は? 第1回 「妊婦に学ぶレディーファーストの極意」
現在、僕は妻と長男6歳、次男4歳と東京で暮らしていますが、11歳から18歳まではアメリカ・カリフォルニア州のサンディエゴという街で過ごしました。サンディエゴは人種のるつぼのような街で、さまざまな民族が異なる文化背景を持ちながらともに暮らしています。そんな街で育んだ(育まれてしまった!?)少し変わったガイジン視点で、僕の子育てや暮らしについて紹介したいと思います。
INDEX
男性諸君に告ぐ!妻が妊娠したときの心得
「子どもが産まれて生活スタイルが変わった」というのはよく聞く話ですが、実際はそのもう少し前の「子どもを妊娠して」から生活スタイルは変わってくるのではないでしょうか。
これは新しい命を「身籠る」女性にとっては当たり前の感覚なのかもしれませんが、女性ほど妊娠をリアルに体感できない男性にとっては、意識しようとしないと理解できないかもしれません(さっそく、言い訳のように聞こえてしまうかもしれませんが…!)。
もちろん愛するパートナーのお腹が日に日に大きくなるのを見ているので、頭では理解しているのですが、男性が子どもの存在をリアルに認識する=自分がパパになったことを実感するのは、物理的に我が子を自分の腕に抱いた瞬間だ、ともよく聞きます。よって多くの男性が「生活スタイルを変えよう!」と腹落ちするのは、ほとんどがそのタイミングなのかもしれません。多くの女性からは「その時点では遅い!」と叱られそうですが。
そのことを踏まえ、妻の妊娠が発覚したタイミングから、新しい生活スタイルを見据えるトレーニングとして、僕が男性諸君におすすめしたいのが「妻を転ばせてはならない」というミッションを自分に課すことです。当たり前すぎて拍子抜けするかもしれませんが、これこそ、僕がアメリカで学んだ「レディーファーストの極意」です。
気づきのきっかけはダンスパーティー?
僕は大学進学で日本に帰ってきたのですが、そのころからよく周囲の人たちに「レディーファーストですね」といわれることがありました。自分ではそれほど意識しているつもりはないのですが、そこには僕が思春期を過ごしたアメリカの学校のダンスパーティーで学んだ極意が頭の中にこびりついていたからかもしれません。その極意とは「男性は女性を転ばせてはならない」というミッションです。
ダンスパーティーに来ている女性の多くは、きれいなドレスに身を包み、足元はハイヒール。決して、歩きやすいとはいえない格好です。そんな着飾った女性をエスコートするのが男性の役目。でも、エスコートといっても漠然としているので、実際に何をすればいいのかわかりにくい。ましてや、それが10代の男子だったらなおさらです。
そこで僕が学んだことは、女性を「転ばせてはならない」ということでした。転ばせてはいけないから、転びそうなところはサポートする、もしくは、事前に回避する。だから、女性が座るときは椅子を押さえ、扉の開け閉めをして、階段の上り下りでは手を添えるのです。
これはデートのために着飾り、その分、動きづらくなった女性を男性がサポートするということであって、どちらかがどちらかのために行なうボランティア的な行為ではありません。単純に「デートを楽しむ」という、2人の目的を遂行するための共同作業=ミッションにほかならないのです。
アメリカでは、このミッションを「恋愛」というキラーコンテンツの裏に潜ませ、10代のころから徹底的にすり込ませるのです(まあ、それが全員に有効であるかは定かではありませんが、少なくとも僕には有効でした)。
「転ばせてはならない」ミッションを住まいにも
日本では、レディーファーストはキザだ、照れくさいなどという人がいますが、それはおそらくレディーファーストを「行為」と捉えているからです。「転ばせてはならない」という明確な「ミッション」として捉えると、おのずと椅子を押さえ、扉を開け、階段の前では手を差し伸べるのではないでしょうか。
そして、そのミッションはそのまま「住まい」にも持ち込むべきです。
生活動線の中で転びやすそうなポイントを徹底的にシミュレーションし、できるかぎり排除していく。ムダな段差はなくし、普段よく使うものは取り出しやすい場所に納めるなど適材適所に収納を確保し、効率よく家事がこなせるように間取りを考えていく。妊婦にやさしい「転ばない」家は、きっと赤ちゃんにとってもやさしい家のはずですから。
子どもが産まれてからではなく、妊娠が分かったときこそ、夫婦で新しい生活スタイルを模索していくときです。プロによるさまざまなアイデアが散りばめられた住宅展示場には、住まいにおける「レディーファースト」のヒントがたくさんあります。お近くの住宅展示場をご覧いただき、これから産まれてくる家族のための快適な住まいづくりにチャレンジしてみてくださいね。
執筆・情報提供
引地海
11歳から18歳まで米カルフォルニア州サンディエゴで過ごす。大学卒業後は広告代理店にてファッションや美容クライアントのメディアプラニングに従事。その後、企画会社を経て、2014年に長男誕生にあわせて独立。現在もフリーランスの編集者として企画、メディアプロデュース、イベントの演出、 PRなど幅広く活動中。
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