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住宅のマネーと制度

2021.03.09

2021年度に利用可能な住宅支援制度

A 今回のポイント

①住宅ローン減税の控除期間13年間
・毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうち、いずれか少ない方の金額の1%が10年間、所得税の額から控除される。
・所得税からは控除しきれない場合には、住民税からも一部控除。
・2021年の9月末までに契約し、来年2022年12月末までに入居した場合には、控除期間が13年に。

②すまい給付金
・消費税率10%引上げによる負担の軽減をはかるために現金給付。
・収入によって給付額が変わる。
・住宅ローンを利用しない場合は、50歳以上、収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)の要件が追加される。
・2021年の9月末までの契約を条件に、入居期限が2022年12月末まで延長。

 
③住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠最大1,500万円の据え置き
・2020年4月~2021年12月までの契約は限度額据え置き。
・2021年1月以降に贈与を受けた場合は、贈与年の所得税課税対象合計所得金額が1,000万円以下の場合のみ、床面積要件の緩和(50㎡まで⇒40㎡まで)。

④新たに創設された「グリーン住宅ポイント制度」
・一定の要件を備えた住宅の取得やリフォームに対して、一定の条件を満たした追加工事や商品に交換できるポイント発行。
・新築で最大100万円相当、リフォーム・既存住宅購入も対象。

■利用する際の注意点 
・それぞれの制度ごとに建物要件等条件あり。
・各制度の併用は可能だが、住宅ローン減税と併用する場合は、給付額や受増額を住宅取得価格等から差し引くことが必要になる場合もあります。
・各申請は、住宅ローンの利用者ごと、住まい給付金は共有持分者別に各自申請が必要。

INDEX

「贈与税非課税枠1,500万円」は、契約や入居期限が1年延長!

住宅ローン減税とは、毎年末の住宅ローンの残高の1%を所得税や住民税から控除するしくみです。

住宅ローン減税制度の控除期間13年間

控除対象
借入限度額
控除期間 控除率 最大控除額 住民税からの
控除上限額
長期優良住宅または低炭素住宅 5000万円 1~10年目 1.0% 1年50万円
10年500万円
前年度課税所得額×7%(最大136,500円)
11~13年目 下記の①②のいずれか小さい方の額
①住宅ローン残高又は住宅の取得対価(上限5000万円)のうちいずれか少ない方の金額の1%
②建物の取得価格(上限5000万円)の2%÷3
一般の住宅 4000万円 1~10年目 1.0% 1年40万円
10年400万円
前年度課税所得額×7%
(最大136,500円)
11~13年目 下記の①②のいずれか小さい方の額
①住宅ローン残高又は住宅の取得対価(上限4,000万円)のうちいずれか少ない方の金額の1%
②建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3

所得要件は年収3,000万円以下です。通常、控除期間は10年間ですが、消費税10%への増税による負担増の対策として、控除期間を13年間に拡充する特例があります。
注文住宅の場合、契約期限は2020年10月~2021年9月末まで、入居期限が2021年1月~2022年12月末です。

②すまい給付金

契約と引渡し・入居期限が1年間延長されます。住宅ローン減税は所得が高いほどメリットが大きいのに比べ、住まい給付金は、所得が低く住宅ローン減税による恩恵が少ない場合に、それを補える可能性があります。所得収入の目安は775万円以下、給付額は最大50万円。
住宅ローンを利用する、しないに関わらず対象です。2020年10月~2021年9月末までに契約した方は、引渡し・入居期限が2022年12月末に延長。なお、すまい給付金上の住宅ローンの定義は償還期間5年以上の借入などを指します。

図2 すまい給付金の給付額

給付額 給付基礎額 × 持分割合
都道府県民税の所得割額で決定 1つの不動産を複数人で所有することを共有といい、共有者それぞれの所有権の割合のことを持分割合といいます。

③住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠最大1,500万円の据え置き

新築、中古住宅の取得、リフォームに係る契約を2021年12月末までに締結の場合、最大で1,500万円まで贈与税が非課税になります。

図3 贈与税非課税措置

契約日 質の高い住宅(※) 一般住宅(左記以外)
2020年4月~2021年12月末まで 1500万円 1000万円

(※)質の高い住宅とは

  1. ①省エネルギー性の高い住宅(断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上)
  2. ②耐震性の高い住宅(耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物)
  3. ③バリアフリー性の高い住宅(高齢者等配慮対策等級3以上)

のいずれかの性能を満たす住宅

新たに「グリーン住宅ポイント制度」創設

一定の省エネ性能を有した住宅などを取得する場合やリォームを行う場合には、商品や追加工事に交換できるポイントが交付されます。この制度も期間限定で、2020年12月15日~2021年10月末までに契約した場合に限られます。新築やリフォームの他、既存住宅の購入や賃貸住宅の建設も対象になっており、それぞれに適用要件やポイント数が細かく定められています。

図4 グリーン住宅ポイント制度 発行ポイント 【新築(持家)の場合】

対象住宅 発行ポイント
基本の場合 特例の場合(※)
①高い省エネ性能を有する住宅
(認定長期優良住宅・認定低炭素建築物、性能向上計画認定住宅、ZEH)
40万Pt/戸 100万Pt/戸
②一定の省エネ基準に適合する住宅
(断熱等級4かつ一次エネルギー等級4以上を満たす住宅)
30万Pt/戸 60万Pt/戸

特例の場合(※):以下のいずれかに該当

  • ・東京圏から移住するための住宅
  • ・多子世帯が取得する住宅
  • ・三世代同居仕様の住宅
  • ・災害リスクが高い区域から移住するための住宅

特に、東京圏外への移住や、三世代同居仕様、多子世帯、災害リスクが高い区域からの移住などの場合はポイントの加算があります。
ポイントの交換対象商品は、「新たな日常」「環境」「安全、安心」「健康長寿・高齢者対応」「子育て支援、働き方改革」「地域振興」に資する商品、及び「新たな日常」(テレワークや感染症予防)及び「防災」に対応した追加工事ですが、住宅の新築(賃貸)は、追加工事のみが交換対象となっています。

いずれの制度も契約期間、入居時期に期限がありますが、今から検討を始めれば十分間に合うスケジュールです。まずは、あなたが利用すると有利な制度は何か、試算してみましょう。

実際には、建物や収入など、条件と照らし合わせた早めのチェックも必要です。住宅メーカーは、各種前提条件の確認や必要な書類、手続きなどにも精通しています。まずは、お近くの住宅展示場の出展ハウスメーカーに相談してみるといいでしょう。

※2021年2月13日時点の情報です。制度の最新情報は、国土交通省のホームぺージなどでご確認ください。

執筆・情報提供

川道 恵子(一級建築士)

(株)住まいと街設計事務所 代表取締役
住宅メーカー設計部にて、戸建住宅の設計業務 デベロッパーにて、マンション等の企画・監理業務を経て設計事務所において不動産開発業務に携わる。土地の活かし方、住宅の間取り提案等、幅広い実績多数。

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