2021.09.16
地震に強いだけで大丈夫? これからの災害対策に求められる 「レジリエンスな家」とは
家族の命を守るためには、地震に強い家にしておくことが大切です。加えて、これからの災害対策では、「レジリエンスな家」であることも重要。回復力が高く、災害後も安心して暮らし続けることができるレジリエンスな家づくりのポイントをご紹介しましょう。
INDEX
大地震に耐える家から一歩進んで、災害後の暮らしを考える家へ
災害に強い家というと、これまでは大きな地震が来ても壊れないこと、丈夫であることを中心に考えられてきました。
家づくりの基準となる法律「建築基準法」でも、家が潰れなければ命を守れるということで、家が倒壊しないことを目標に耐震性能が定められています。
でも、大きな地震が来ると、家は残っても構造部に大きな損傷を受けたり、配管類が壊れたり、そのまま暮らし続けるのは難しいことも少なくありません。また家の中もガラスが割れたり、家具が倒れたり。地震に耐えることはできても、家の中がめちゃめちゃになってしまうこともあります。
そこで現在では、そこから一歩進んだ「レジリエンスな家」が注目されています。レジリエンスとは、困難や苦境からの回復力、立ち直る力、復活力のこと。大地震などの災害にあっても柔軟に対応でき、迅速に復活しやすい、レジリエンスな家づくりが進んでいるのです。
回復力が高く、元の暮らしに戻りやすい「レジリエンスな家」にするポイント
レジリエンスな家にするポイントは2つあります。
1つめは、まずは災害に耐える家であることです。
大前提は大きな地震が来ても倒壊しないことなので、耐震性能は必ず確認しましょう。耐震性能は、住宅表示制度の「耐震等級」で知ることができます。建築基準法で定められたレベルが等級1です。その1.25倍の強さが等級2、1.5倍が等級3と、数字が大きくなるほど地震に強い家となります。
2つめは災害後に安心して暮らせる家にすることです。
地震対策は大きく「耐震」「制振」「免震」の3種類があります。
耐震は、建物の強度で地震の揺れに耐え、倒壊を防ぐ構造で、家づくりの基本となるものです。
でも、耐えられるといっても揺れないわけではないので、配管やガラス、家の中の家具や調度品が壊れてしまう可能性があります。中でも構造部を損傷すると、耐震性能が落ちるので、繰り返しの地震には弱くなってしまいます。
制振は、建物に制震装置を取り付けて地震エネルギーを吸収し、揺れを小さくする構造です。免震は、地面から建物に揺れを伝えにくくした構造です。どちらも、災害時の安全性が高まり、家の損傷を防ぎやすくなるので、災害後に元の暮らしに戻りやすくなります。
また災害時には一時的にライフラインがストップすることがあります。そんなときでも、自宅で発電や蓄電ができ、生活用水や食料の確保ができていれば安心です。
もちろん命を守ることが最優先ですから、必要に応じて速やかに避難をすることが重要です。その後、安全が確保されたら、住み慣れたわが家で在宅避難をすることもレジリエンスな家なら可能になるでしょう。
家づくりで取り入れたい災害時に役立つ設備や建材
いつ起きるかわからない災害に備え、あると役立つ設備や建材をご紹介しましょう。
太陽光発電システムや蓄電池
停電時に電気を使うことができます。電気を確保しておけば、食事の準備やスマホの充電がしやすくなり、災害情報も得やすくなります。
停電と同時に点灯する足元灯や手すり灯
夜間に停電すると真っ暗で危険ですので、階段や廊下に取り付けておくと安心です。
雨水タンクや、エコキュートなどの貯湯タイプの給湯設備
いざというときに生活用水として使えます。飲料水は別に準備が必要ですが、トイレを流したり、手を洗ったりなどに重宝します。
飛散防止ガラス
ガラスが割れても破片の飛び散りを防いでくれます。非常時にガラスの破片でケガをしてしまうと大変なので、窓ガラスや家具、建具のガラスは飛散防止対策をしておきましょう。窓ガラスの安全性を高めておけば、地震だけでなく、台風や竜巻などの突風対策にも役立ちます。
避雷器付きの分電盤
荒天時の雷からパソコンや家電製品を守ってくれます。
これからの時代は、災害に強いだけでなく、災害後の暮らしも見据えておくことが大切です。どんなときでも頼れるわが家であるために、レジリエンスな家を目指しましょう。
住宅展示場では、最新の災害対策が施されたレジリエンスな家を、実際に見て体験することができます。安心して暮らせる理想のわが家を見つけに住宅展示場に出かけてみてください。
執筆・情報提供
尾間 紫(住宅・リフォームコンサルタント/一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター)
生活情報サイトAll Aboutリフォームのオフィシャルガイドとして業者選びからプランの立て方など実践的ノウハウを発信。テレビや雑誌、新聞掲載、講演などで活躍している。
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