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家づくりの雑学

2022.03.10

二世帯住宅の費用分担は、 計画段階での取り決めが肝心

二世帯住宅の計画では、プランやスケジュール、引っ越しのことなどを二世帯分、決めなければならないことがたくさん。もちろん建築費用のことも考えなければなりません。さらにお金でいえば暮らし始めてからかかる生活費は、二世帯同居だと明確に分けられないこともあるので注意が必要です。
今回は、そんな二世帯住宅のお金について、起こりがちなトラブルや、それを回避するためのコツをご紹介します。

INDEX

【1】二世帯住宅の費用負担が原因で起こるトラブル

二世帯住宅の費用面では、「まとめて支払っておいて後からどうにでも」と、取り決めを後回しにすることもよくあるそうです。でも、それは後々トラブルになる可能性が…。なんとなく進めてしまうと世帯間の感情にひびが入るだけでなく、思わぬ税金負担や将来の相続時にまで影響することにもなりかねません。ここで、そんな代表的なトラブル例をみていきます。

■建築費の負担割合は贈与税にもかかわるので注意

二世帯住宅の建築費を、親子それぞれが出し合う場合、仮に親が費用の8割、子が2割負担するとします。その場合に、建てた建物の所有権を親名義にしてしまうと、2割分は子が親に贈与したことになり、贈与税がかかります。建物の所有権を親と子2分の1ずつの名義にした場合は、3割分を親が子に贈与したとみなされることになります。
親から子への住宅取得費の「贈与税非課税枠」を使える場合を除いては贈与税がかかるため注意が必要です。

■生活費の負担割合で世帯間がギクシャクすることも

二世帯での生活が始まると水道・光熱費や食費などは、同居ゆえに世帯ごとで明確に分けることは難しいでしょう。
水道光熱費の支払いは口座振替にすることが多いですが、そうなるとお互いについつい甘えが出て、支払いを忘れたなんてことも。あるいは支払い割合についても曖昧になってしまいます。それが続けば、負担する側にとって経済的負担だけでなく、不満もたまるものです。
こうした事が原因で、計画前では予測できない二世帯間の感情のもつれにもつながりかねないのです。

【2】計画段階で決めておきたい!建築費と生活費の負担ルール

建築費の割合は、建物の税金にも関わってきます。後で困らないように専門家に相談することも必要でしょう。生活費は二世帯では明確に分けにくいものなので、ルールにも工夫と柔軟性が必要です。何も話し合わずに疑心暗鬼や不満を募らせながら暮らすのではなく、一応のルールを決めながらも、おかしいと感じたときは、話し合い柔軟に変えていける、そういうコミュニケーションが二世帯住宅では決め手になるでしょう。

1.建築費の負担割合と建物の持分割合は一致させる

建物の名義と建築費の負担割合は一致させることが基本と考えましょう。贈与税の非課税枠を利用する場合は、書類や資金の流れなど必要事項を忘れないように。
親の相続が発生した際に、子に別居する兄弟姉妹の相続人がいる場合、建築資金は親が負担した持分であっても兄弟姉妹に名義の一部が相続されるかもしれません。将来の相続発生時にも問題や心配事が起こらないよう、専門家に相談して名義や建築費の負担について決めておくといいでしょう。

2.生活費は、支払い方法、負担割合などあらかじめルールを決めておく

水道・光熱費など二世帯でまとめて支払うものは、どちらの名義で支払って、どういう割合でいつ清算するのか、具体的に取り決めておきましょう。キッチンや水まわりが共用の二世帯住宅での食費や消耗品は、どちらの世帯も買い物に行って二世帯で使うので、清算は難しいでしょう。
がちがちなルールに縛られて、お互いに堅苦しくならないように、たとえば、主に買い物に行く世帯へ、他方が決まった金額を毎月渡すというくらいのざっくりしたルールにして、お互いが助け合う気持ちで暮らせるといいですね。

お金の問題は、同居の暮らしにおいてとても重要なことです。暮らし始めてからもめたり、気まずくなったりしないよう、計画当初からきちんと話し合っていくこと、そして、納得いかないときは、ざっくばらんに気持ちを伝えあい向き合っていける、そんな関係が二世帯住宅では大切だといえるでしょう。

二世帯住宅の家づくりにおいては、親世帯、子世帯がそれぞれ、住宅のどこにお金をかけたいか、お互いに意見を出し合うことがとても大切です。建築費の負担割合を考えることにもつながるかもしれません。住宅展示場のモデルハウスには、二世帯が具体的に話し合うきっかけになりそうなヒントがたくさんあります。お互いの世帯の暮らし方を理解するために、ぜひ住宅展示場を活用してみてくださいね。

執筆・情報提供

川道 恵子(一級建築士)

株)住まいと街設計事務所 代表取締役
住宅メーカー設計部にて、戸建住宅の設計業務 デベロッパーにて、マンション等の企画・監理業務を経て設計事務所において不動産開発業務に携わる。土地の活かし方、住宅の間取り提案等、幅広い実績多数。

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