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今どきの住まい・暮らし

2022.05.19

浦和Stories vol.10|菓子処 加藤製菓 代表・加藤信行さんインタビュー

毎回、浦和にゆかりのある方にご登場いただき、エピソードを通じて、上質で新しいものを生み出す「浦和」の街と人の魅力を伝える「浦和Stories」。
今回登場してくれたのは、浦和で3代続く「菓子処 加藤製菓」の店主・加藤信行さん。創業82年の歴史ある老舗の伝統を継承しながら新しい価値を吹き込む和菓子作りのルーツには、地元・浦和が深く関わっていました。

INDEX

――加藤さんにとって、浦和はどんな街ですか?

加藤さん:浦和は私が生まれ育った街です。子どもの頃は、よく商店街へ買い物に行っていましたね。商店街は、大人と唯一接することのできる場所。さまざまな店があって、商店街の皆さんはいつも優しく接してくれて。みんな私にとって親みたいな存在でした。
また、浦和は文教都市といわれていますが、私が通っていた公立の学校も学業に打ち込める環境が整っていたと思います。

――3代目店主として、和菓子職人を目指したきっかけは何ですか?

加藤さん:店を継ごうと思ったのは、小学生の低学年くらいでしたかね。店舗兼住宅だったので、子どもの頃から厨房に出入りして店を手伝っていました。祖父と父の菓子作りをずっと見ていたので、店を継ごうと決めたのは、ごく自然な流れでした。

製菓の専門学校を卒業してから26年間、京都や都内などの菓子店で修業の日々を過ごしました。厳しくて大変なこともたくさんありましたが、技術はもちろんのこと、菓子製造の理論も学び、商品開発にも携わらせていただきました。修業時代は人と競り合う切磋琢磨の毎日で、1つのものを作る速さや美しく作る技術を習得できたことは大きかったですね。振り返ると、本物の和菓子を皆さまに提供するうえで、私にとってとても大事な時期でした。

――加藤さんにとって和菓子作りとは?

加藤さん:自分を表現できる唯一の方法。和菓子作りは天職だと思っています。和菓子を作るうえで大切に思うことは、変わらずにいること、変えていくことの大切さです。
創業82年、代々受け継いできた味は変えてはいけないと思っています。その一方で、既存のものに新しいエッセンスを取り入れてリニューアルしていくという柔軟さも、皆さまに受け入れてもらうには大切なことだと考えています。

――地域の子どもたちには、和菓子を通じてどのようなことを伝えていきたいですか?

加藤さん:お彼岸や節句など、今は昔から伝わる歳時記の風習が薄れてきているように感じます。また、和菓子もいまや機械で大量生産される時代になりました。そういう時代にこそ、 日本ならではの歳時記の風習とともに四季を感じながら手作りの和菓子を味わってほしいですね。

和菓子はまさに「和」の繊細さや奥深さが表れるお菓子。本物の和菓子とは、手づくりにしか出せない味わいや細やかさが感じられるものだと思っています。

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古くからあるものを大切にしながら、新しいものを生み出す和菓子作りは、まさに「温故知新」と評される浦和の街に通じていました。
そんな加藤さん、「温故知新」を和菓子で表現するなら「茶まんじゅう」や「あんドーナツ」だそう。懐かしさと新しさの融合が表れているからとの理由に納得!

取材協力

加藤信行さん(菓子処 加藤製菓 代表)

創業から82年続く菓子処 加藤製菓の3代目店主。手作りならではの繊細で美しい和菓子に定評がある。また、前地通り商店会役員として地域の行事にも積極的に参加し、地域の活性化に貢献している。さいたま市浦和区在住の2児の父。


菓子処 加藤製菓

地域から愛され続ける老舗和菓子店。定番の温かい赤飯や焼き団子をはじめ、春には「さくら餅」、夏は「水まんじゅう」「くず餅」、秋は「栗むし羊羹」、冬は「いちご大福」と、四季折々を存分に感じる和菓子を提供しています。
https://www.katouseika.com/

写真/織田桂子 取材・文・編集/山口瑠美子(ピースなじかん編集部/ファジー・アド・オフィス)

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