2022.07.13
あなたのライフスタイルのヒントを探す-スタイルを作る「収納」-
整理収納アドバイザー 伊藤美佳代さん
住宅収納スペシャリストとして、ライフスタイルに合わせた心地よい住まいを提案している整理収納アドバイザーの伊藤美佳代さん。「猫も人も快適に暮らせる」――をテーマに建てた家には、心地よく生活するために不可欠な整理収納のヒントが満載でした。
INDEX
【1】収納をシステム化することで家事もリモートワークも効率アップ
6年前、東京郊外に新居を建てた伊藤さん。夫婦2人と猫2匹で暮らすご自宅は、まるで引っ越してきたばかりのように物が少なく、隅々まですっきり片付いています。
「この家を建てるときに最も重視したのは、“猫たちと快適に暮らせる” “掃除しやすい”ということ。猫たちが家の中を自由に動き回ったり、ゆっくりくつろげるように、棚などにゴチャゴチャと物を置かず、できるだけスペースを空けるようにしています。空間がすっきりしていると、自然と掃除もしやすくなります」
とはいえ、伊藤さんは決してミニマリストではありません。物が少なく見えるのは、生活や仕事に必要な物をさりげなく隠す収納をシステム化しているからなのです。
「無理なく快適な収納を考える際に大切なのは、収納スペースの容量に見合った物の“適正量”を意識することです。たとえば、ファイルボックスに収まらないほど書類が増えてしまった場合、さらに収納スペースを増やしてしまいがちですが、その分だけ居住スペースが侵食されます。でも、古い書類の一部をスキャンしてデータ化すれば、書類を減らせますよね。一定の収納容量を超えない適正量を意識するだけで、すっきりした空間をキープしやすくなります」
【2】使う人の動線を考慮した収納
伊藤さんがもう1つ大切にしているのは、使う人の動線を考え、「使いやすい場所」に収納スペースを作るということです。
「美しいインテリアの基本はやはり整理収納があってこそ、と思いますが、私も決して最初からうまくできたわけではありません。以前はきれいに収納することに一生懸命で、使う家族のことをあまり考えていませんでした。でも物は収納するためにあるわけではなく、使うためにあるので、使う人のことを考えていない収納は自己満足に過ぎないんですよね。今は夫と相談して、互いが使いやすい場所に収納を作るようにしています。そうすると、自然とそこに片づけるようになるので、物があちこちに散逸することもありません。今はリモートワークの方も多いと思いますが、家でパソコンや書類を広げても、所定の収納場所がよく使う場所にあれば、仕事の資料をすぐ取り出せるので、作業効率も上がります」
また、洗面所には、浴室、洗濯機置き場、物干しスペースが隣接しており、脱衣から洗濯、物干しまでの動線を考えたレイアウトになっています。
「衣服を脱ぎ、洗濯機で洗って、干して、アイロンをかけ、畳むまでの一連の洗濯動線が最短距離で完結するように必要な物はすべて手に届く場所に収納しています。すぐ側にはクローゼットもあるので、畳んだ衣服はすぐにしまえます。これだけでかなり時短になると思います」
【3】物別ではなく、使う目的別に収納
伊藤さんが実践している「使いやすい収納」には、もう1つ大きなポイントがあります。それは、物別に収納するのではなく、使う目的別に収納するということです。
また白を基調とした室内に、収納は色味を抑えたシックなグレーとナチュラルカラーで統一していることも、視覚的に空間をすっきり見せるポイントだそう。
「収納の適正量」を意識し、「使う人の動線」や「使う目的別」に収納を考える―――。
それが整理収納アドバイザーの伊藤美佳代さんが実践する快適な収納のポイントでした。こうした視点で整理収納を見直してみると、自分自身の頭の中を整理することにもつながるかもしれません。
執筆・情報提供
整理収納アドバイザー 伊藤美佳代 さん
ホームページ :http://mikayo-ito.jugem.jp/
インスタグラム:https://www.instagram.com/ito_mikayo/?hl=ja
編集:石倉 夏枝さん
撮影:小島 沙緒里さん
取材・執筆:轡田 早月さん
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