2022.10.11
―スタイルを作る『収納』- インスタグラマー asamiさんの 機能性と装飾性を使い分けた「見せる収納術」
天井や梁などコンクリートむき出しの躯体や電気配管などが露わとなった無機質感と、床の無垢材のナチュラルな質感がバランスよく融合したワンルーム。そして、所々に飾られたオブジェなどが住まい手のセンスと遊び心を伝えています。この家はインスタグラマーのasamiさんがご主人と暮らす住まいです。今回は、雑貨好きのasamiさんに“見せる収納術”の秘訣についてうかがっていきます。
INDEX
【1】家を買ってから飾ることが憧れだったと気づく
asamiさんがこの家に越してきたのは、2013年のクリスマスでした。基本的な工事は業者に託し、築40年以上のマンションはインダストリアルなワンルーム空間へと様変わりしました。そして、寝室やウォークスルークローゼットの細かい仕上げや、TVボードやマントルピースなどの家具の製作は、大工であるご主人が住みながら行ってきました。
ご主人が手がけた家具の上には、asamiさんが買い求めたさまざまなアイテムがディスプレイされ、とても賑やかです。asamiさんは飾り方に特別なルールはなく、自由に飾ることを楽しんでいるといいます。
「以前は賃貸だったので、壁に何かを飾ることはありませんでした。この家に越してからも、最初はきれいな壁に穴を開けることに躊躇しましたが、主人に『何のために家を買ったの?』といわれ(笑)、確かにそうだなと思いました。これまではインテリアにあまり関心がなかったのですが、そこでようやく私は部屋を飾ることに憧れていたんだと気づきました」
【2】扉を付けずにオープンにすることで使い勝手がUP
一方、使い勝手を重視した見せる収納も実践しています。
たとえば、キッチンの壁面のオープン棚には、日常的によく使う鍋やご夫妻の共通の趣味であるコーヒー関連のアイテムを置き、カウンターにはasamiさんが厳選したシンプルな家電製品が整然と並んでいます。当初はカウンター上も扉付きの収納棚を提案されたそうですが、asamiさんはあえてオープン棚にしたいとオーダーしたそうです。
「私は扉を開けたときに生活感が見えるのがとても嫌で。それに当時は私もフルタイムで働いていたので、主人がキッチンに立つことも多く、主人の使い勝手も考えたらオープン棚の方がいいなと思いました」
その代わり、普段あまり使わない物はカウンターへ。幅も奥行きもあるので、たっぷり収納できます。そのカウンターの上にある奥行き10㎝ほどの段差には、調味料やスパイス、キッチンツールを置いたり、大好きなガラス製品を飾るなどディスプレイにも重宝しています。
また、廊下の壁一面に設けたシューズクロークにも扉は付けず、オープンにしました。これは以前の住まいでの経験が大いに役立っています。
「私も主人もアパレルで働いていたこともあって靴の量が多く、前の家では下駄箱に入りきらない靴を紙箱に入れたまま積み重ねていました。湿気でカビるし、探すのもひと苦労で……。でも、オープンにすればひと目でわかるし、臭いも湿気もこもらないので、本当に助かります」
【3】物選びの基準は妥協しない。そして一期一会の出会いを大切に
趣味が広がると自然と物欲も高まると笑うasamiさん。今は、茶器に夢中なんだそう。
「お茶を習い始めたこともあって、余計に欲しい(笑)。でも、茶器は奥が深くて、これは大変なものに手を出してしまったなと思っています。ただ使いこなせないともったいないので、もう少し上手になってから買おうと思っています」
今ある雑貨はSNSから情報を得ることもあるそうですが、実際にお店で見たり、作家に話を聞いて買った物も多いそう。大事なのは「妥協しない」こと。これでいいかなと思っても、結局、買い直すことになってしまうので、asamiさんは安易に妥協せず、一期一会の出会いを大切にしています。
それでも次々と物が増えると飾る場所にも困るのでは?と尋ねてみると、「飽きっぽいわけではないのですが、あまり物に執着しない性格」なのだといいます。好みの変化やブームによって物が入れ替わることはあるそうで、そのときはフリーマーケットに出したり、今はネットで販売することもあるとか。
「ミニマリストな家もかっこいいなと憧れます。でも、買ったものをもったいないからといって使わないことが、私は一番嫌なんです。以前、神戸の震災で一度も使わないまま物が壊れたという記事を目にして、それからはより積極的に使うようになりました。物の良さは使えば使うほど実感できると思いますね」
もうひとつ、この家に越してから気づいたのは、「吊るす物」が好きだということ。室内にはペンダント照明をはじめ、ヨット型カイトやモビール、グリーンなどが吊るされ、インテリアに彩を添えています。ほかにも、キッチンには洗ったザルやプライパンなども。
「ザルや蒸籠などは洗い終わったら吊るします。場所もとらず、すぐに乾くので一石二鳥なんですよ(笑)」
決して妥協せず、吟味した上で手に入れた物との出会いを大切にするasamiさん。そこには物へ深い愛情だけではなく、知的好奇心も刺激するディスプレイ術がありました。時には失敗することもあるといいますが、それも楽しむ気持ちの余裕が住まいの心地よさにもつながっているのかもしれません。
住宅展示場でもさまざまなディスプレイのコツを見ることができます。まずはイメージづくりのために、お近くの住宅展示場に足を運んでみてはいかが?
取材協力
インスタグラマー asamiさん
編集・執筆:石倉 夏枝
撮影:小島 沙緒里
Ⓒ2022 Next Eyes.co.Ltd
コラムはネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。本記事に掲載しているテキスト及び画像の無断転載を禁じます。