2023.02.22
相続対策をしないと大事な実家を失うかも?今すぐやるべきこと
いつかはやって来る相続問題。とくに夫婦どちらかの両親と二世帯住宅で暮らす場合は、将来起こる相続についてあらかじめ考えておく必要があるでしょう。相続対策を何もしていないと、多額の相続税を納めることになったり、現物分割できない二世帯住宅の存在がトラブルの原因になってしまったりする可能性も。
相続税が高額で支払えなければ、大事な実家を失ってしまうことにもなりかねません。このような事態を防ぐためには、相続税の特例などを活用して節税することが大切です。
INDEX
小規模宅地等の特例とは?
二世帯住宅における相続税の節税対策として知っておきたい制度の一つとして、「小規模宅地等の特例」が挙げられます。小規模宅地等の特例は、被相続人(亡くなった方)の自宅などに使われていた敷地を相続する場合に、一定の要件を満たせば相続税の計算に必要な土地の評価額が最大80%減額されるものです。
相続開始の直前における宅地等の利用区分 | 要件 | 限度面積 | 減額される割合 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
被相続人等の事業用に提供されていた宅地等 | 貸付事業以外の事業用の宅地等 | ① | 特定事業用宅地等に該当する宅地等 | 400㎡ | 80% | |
貸付事業用の宅地等 | 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除きます。)用の宅地等 | ② | 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 | 400㎡ | 80% | |
③ | 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 | 200㎡ | 50% | |||
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等 | ④ | 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 | 200㎡ | 50% | ||
被相続人等の貸付事業用の宅地等 | ⑤ | 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 | 200㎡ | 50% | ||
被相続人等の居住用に提供されていた宅地等 | ⑥ | 特定居住用宅地等に該当する宅地等 | 330㎡ | 80% |
出典:国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
二世帯住宅が被相続人の自宅として「特定居住用宅地等」に該当する場合は、相続した二世帯住宅における土地のうち330㎡までの部分の評価額が80%減額されます。たとえば、二世帯住宅における土地(330㎡以下)の相続税評価額が5,000万円だとすると、特例が適用されれば相続税評価額が1,000万円まで減額される計算です。小規模宅地等の特例を受けられれば、大きな節税効果になるでしょう。
小規模宅地等の特例を受けるための条件
小規模宅地等の特例を受けるためには、宅地等を取得する人によっても適用条件が異なります。たとえば、被相続人の配偶者が取得する場合は取得者ごとの要件はありませんが、同居する親族が取得する場合は相続が終わるまで継続して保有かつ居住し続ける必要があるのです。ちなみに同居していない親族が取得するケースでも、被相続人に配偶者や同居の親族がいない、相続開始前3年以内に相続人やその配偶者、親族が所有する家屋に住んだことがない、といった要件を満たせば、適用される場合があります。
なお、小規模宅地等の特例を受けるためには、相続税申告書などの書類の提出が必要です。要件を満たしていても、必要な手続きをしていなければ適用されないため注意しましょう。また、親世帯と子世帯で区分所有登記されている場合は原則として小規模宅地等の特例の適用ができません。小規模宅地等の特例は大きな節税効果のある特例であるため、二世帯住宅における登記の仕方について十分に検討する必要があるでしょう。そのほか、小規模宅地等の特例についての詳細は国税庁のWebサイトを要チェック。
二次相続を見据えた対策を
二世帯住宅における相続では、両親のどちらかが亡くなるケースと両親どちらも亡くなるケースが考えられます。両親のどちらかが亡くなり、どちらかは引き続き同居する場合、被相続人の配偶者が相続した方が配偶者控除により節税効果は大きくなりやすいでしょう。でも、相続した配偶者が亡くなって子どもが相続することになると、配偶者控除が使えず、法定相続人が1人少なくなることから、子どもが支払う相続税が高くなってしまうケースも。そのため、二世帯住宅の相続対策を考える際は、相続人となった配偶者が亡くなった後の「二次相続」まで見据える必要があります。
二世帯住宅に適した相続対策は、各家庭の状況によっても異なります。税理士などの専門家にも相談しながら、自身や家族に最善な方法を検討することをお勧めします。
執筆・情報提供
小花絵里(おばなえり)
不動産会社・住宅メーカーで働いていた経験から、不動産について初心者にもわかりやすく解説する不動産ライター。
ブログでは、賃貸併用住宅や戸建て投資に関する記事を更新しています。
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