2023.04.17
―スタイルを作る“収納”- 整理収納アドバイザー・高瀬清江さんの家族に寄り添う収納術。 スッキリ居心地のいい家をつくるコツ
既成概念に捉われない柔軟な思考で導き出されたアイデアを駆使し、「取り出しやすく・戻しやすい収納」を実現する整理収納アドバイザーの高瀬清江さん。家族1人ひとりに寄り添った収納術は、子育て中のパパやママにも役立つヒントがたくさんありました。
INDEX
【1】家族に課したルールは一定量以上に物を貯め込まないこと
高瀬さんがこの家に引っ越ししたのは、今から7年前のこと。以前から片付けは得意だったそうですが、正しい整理収納の理論を学びたいと整理収納アドバイザーの勉強を始めました。そして、無事に資格を取得した高瀬さんは、その後、家の中の収納をすべて見直したといいます。
「その頃のわが家は、見えるところはきれいに片付けられていましたが、棚の中はただ物が突っ込まれているような状態で(笑)、決して使いやすいとはいえなかったんです」
高瀬さん曰く、使いやすい収納とは「取り出しやすく・戻しやすい」こと。そのために高瀬さんは自身が管理できる物の適正量を把握することからスタートし、その後は動線や使い勝手を考慮しながら物の定位置を決めていきました。そのときに心がけたのは、家族1人ひとりに寄り添った収納だったそう。
パントリーの中は無印良品や100均のボックスを用いて、使う人や関連した物に分類して収納。整理収納は使う物を使いやすくすることが基本だという高瀬さん。そのためには不要な物は取り除き、必要な物だけを分類していく。あとはしまいやすさを考えていくことも大事なのだそうです。
「主人や2人の子どもたちにはそれぞれ適した収納があって、片付けのタイミングや癖も異なります。そこに私の理想ばかりを押し付けても窮屈なだけですし、片付けにマイナスのイメージがついてしまうのは嫌だなと思ったんです。だから、お互いに許容できるバランスを取りながら、それぞれがストレスなく自然と片付けられる仕組みをトライ&エラーしながら整えていきました」
たとえば、パントリーの中に子どもたちのおやつや料理好きなご主人の調味料(だし系)やコーヒーアイテムなどを入れるボックスを用意し、そのボックスの中は細かいルールは設けずにざっくり収納でOKとしました。ただし、その容量以上に物を貯め込まないことを最低限のルールとしたのです。
「物があふれてくると戻しづらくなるので、わが家はこのボックスがあふれてきたら見直しのサインと決めています。それが家族の守ってもらいたいルールなんです」
【2】家が整うと時間と心にゆとりが生まれる
家族が集まるリビングダイニングにも高瀬さんの収納アイデアが随所に。たとえば、高瀬さんが「重要な部分」だと話すリビング収納は、無印良品のファイルボックスや引き出し式の収納アイテムなどを用いて文房具や常備薬のほか、荷造りグッズや工具、DIYグッズ、夫婦のお出かけグッズ、古紙や紙袋のストックなど、さまざまな物をシステマチックに収納しています。一番下の棚には、前から置き場所に困っていたプリンターまでも。
「以前は突っ込み収納だったので、来客中に扉を開けるのが本当に嫌で(笑)。何度も見直して、家族みんなが使いやすいように物の居場所を作っていきました。もともと収納計画は大好きなので、その作業はとても楽しかったですよ。おかげで、今はとっても使いやすいし、きれいになったので、お客様がいても自信を持って開けられるようになりました」
そして、整理収納アドバイザーの資格取得後、高瀬さんにもう一つ大きな変化がありました。それは買い物をするときの物選び基準だといいます。
「買う前に『本当に必要か』『長く使えそうか』『使うイメージがわくか』を意識するようになって、『とりあえず、買っておこう』とは思わなくなりましたね。それでも物は多い方だと思うので、基本、わが家は“隠す収納”なんです。見せる収納に憧れたときもありましたが、私はホコリや乱れが気になるくせに細やかに掃除をするタイプではないので、見せる収納は向いてないと気づきました。それからは隠しながらも使いやすく、見ための美しさも意識したよくばり収納にこだわっています」
今でも心がモヤッとしたときなどは定期的に収納を見直すと話す高瀬さん。でも、一気に全部の収納を見直すのではなく、たとえばボックス1個分だけと日常生活の中で負担なくできる範囲に留めているそうで、それが使いやすい収納を維持できる秘訣のようです。
「家が整うと時間的にも経済的にも精神的にもいろいろな効果が生まれてきます。たとえば、生活していると“名もなき家事”と呼ばれる細かな家事がたくさんありますが、実はそこに費やす時間はトータルで見ると結構長くて、それで掃除や片付けまで手が回らないことも多いんです。でも、家の中が整っていると掃除や片付けを時短で済ませられるので、時間に余裕が生まれてきます。そうすると自然と自分の時間が持てるようになるし、それが心のゆとりにもつながってくるんです。心にゆとりがあると家族にも優しく接することができて、家族も協力的になってくれますね」
【3】ともに楽しみながら、子どもに片付けを意識させる
高瀬さんが楽しそうに片付ける姿を見て、子どもたちにも自然と片付けが習慣化されています。下のお子さんはまだ5歳と幼いので、収納の見直しは高瀬さんと一緒にしながら、回数を重ねるごとに整理するタイミングやいるもの・いらない物を判断するスピードが早くなっているそうです。
小学校入学と同時に個室を希望した上のお子さんは、高瀬さんとともにインテリアや収納を考えていきました。今は学期が切り替わるタイミングで、お子さんと一緒に見直しが必要な場所を整理していくそうです。
「そのときは具体的に見直す場所を伝えていますが、最近は自分1人で物を全部出して、いるものといらないものを仕分ける作業をするようになりました。片付けの中で子どもたちの成長を感じています」
実はランドセルの置き方もお子さんからの希望だったそうで、立ったままランドセルの中身が取り出せるのでとてもラクなんだとか。
「それでも散らかっていることは日常茶飯事です(笑)。だからといって、私は一方的に怒るのではなく、どうして片付けられないのか、その原因を一緒に考えていくようにしています。子どもは子どもでいろいろと考えていて、実は『こうしたい』『こうなるとよくなると思う』と意見をいってくれるので、なるべく子どもたちの意見を尊重して、一緒に楽しみながら片付けていくようにしています。そうすることで、少しずつ片付けの意識を育てていけたらいいなと思います」
家族4人の片付けのクセや物への考え方に寄り添いながら、「使いやすく・戻しやすい収納」を実現していった高瀬さん。その結果、今まで以上に居心地がよく、落ち着くわが家となりました。
住宅展示場にも高瀬さんのご自宅のように使いやすく、片付けしやすい収納テクニックを見ることができます。ぜひ、お近くの住宅展示場で家族に寄り添った整理収納のヒントを探してみてください。
取材協力
整理収納アドバイザー 高瀬清江さん
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編集・執筆:石倉 夏枝
撮影:小島 沙緒理
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