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家づくりの雑学

2023.07.28

建ぺい率(建蔽率)とは?容積率との違いや制限・緩和される3つのケースを解説!

住宅の購入を検討するなかで、建ぺい率という言葉を見聞きしたことがある方も多いでしょう。建ぺい率は住宅を建てる面積に関係するもので、土地選びの重要な指標となります。

本記事では建ぺい率の計算方法や容積率との違い、制限・緩和されるケースについて解説します。

INDEX

建ぺい率とは?

建ぺい率とは、敷地面積に占める建築面積の割合を意味します。

建築面積は建物を上から見た時の面積のことです。一般的に住宅は2階部分よりも1階部分の面積が大きいため、1階部分の面積が建築面積に該当するケースが多いです。

ただし、2階部分が1階部分よりも大きいオーバーハング建築の場合、2階部分の面積が建築面積に該当します。

建ぺい率の計算方法と計算例

建ぺい率は「建築面積 ÷ 敷地面積 × 100」で求められます。

200平方メートルの土地に対して、建築面積100平方メートルの建物を建てる場合の建ぺい率は「100平方メートル ÷ 200平方メートル × 100 = 50%」です。

また、建ぺい率から建築面積の上限を求める場合は「敷地面積 × 建ぺい率」で求められます。たとえば、敷地面積が200平方メートルで建ぺい率が60%の場合、建築面積の上限は「200平方メートル × 60% = 120平方メートル」です。

建ぺい率は隣家との空間を確保して、日照や風通しを確保するとともに、火災による延焼を防ぐ目的で定められています。

建ぺい率と容積率の違いは?

建ぺい率と並んで重要となるのが容積率です。容積率とは敷地面積に対する延べ床面積の割合であり、計算式は「延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100」で求められます。

容積率を確認することで、対象の土地に建てられる建物の上限面積が分かります。たとえば、敷地面積が100平方メートルで容積率が200%の場合、延べ床面積の上限は「100平方メートル × 200% = 200平方メートル」です。

また、建ぺい率と容積率を組み合わせることで、延べ床面積を最大限活用できる建物の高さを算出できます。

例:敷地面積100平方メートル、建ぺい率50%、容積率150%

建築面積:100平方メートル × 50% = 50平方メートル
延べ床面積:100平方メートル × 150% = 150平方メートル
建物の階数:150平方メートル ÷ 50平方メートル = 3階

建ぺい率と容積率が大きいほど、建てられる建物も大きくなります。

土地購入について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:土地探しの賢い依頼方法とは?優先順位の決め方を知り、最適な土地を見つけよう!

建ぺい率と容積率は用途地域によって決まる

用途地域とは、都市計画で定められた地域区分です。住居や商業、工業など、用途の混在を防ぎ都市の環境保全や利便の増進のために定められています。

建ぺい率や容積率は用途地域によって上限と下限が定められているため、以下の表を参考にしてください。

用途地域 建ぺい率 容積率
住居系地域 第一種低層住居専用地域 30.40.50.60 50.60. 80. 100. 150. 200
第二種低層住居専用地域
田園住居地域
第一種中高層住居専用地域 100.150.200.300.400.500
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域 50.60.80
第二種住居地域
準住居地域
商業系地域 近隣商業地域 60.80 100.150. 200. 300. 400. 500
商業地域 80 200~1300 (100刻み)
工業系地域 準工業地域 50.60.80 100.150.200.300.400.500
工業地域 50.60 100.150. 200. 300. 400
工業専用地域 30.40.50.60
その他 用途地域の定めのない地域 30.40.50.60.70 50.80.100.200.300.400

用途地域について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:用途地域とは?特徴や建築制限について解説!

建ぺい率と容積率が制限・緩和される3つのケースは?

用途地域によって建ぺい率や容積率が定められていますが、法律によって制限・緩和されるケースがあります。具体的には以下の通りです。

  • ● 【制限】前面の道路の幅員が狭い場合
  • ● 【緩和】防火構造が条件を満たしている場合
  • ● 【緩和】容積緩和の特例を受ける場合

それぞれについて説明します。

【制限】前面の道路の幅員が狭い場合

前面道路の幅員が12m未満の場合、容積率の制限を受けます。計算式は以下の通りです。

  • ● 住居系地域:道路幅員 × 40%
  • ● 非住居系地域:道路幅員 × 60%

用途地域ごとに指定された容積率と上記の計算で求めた容積率のうち、低い数値が実際の容積率として適用されます。

たとえば、住居系地域で容積率が200%、前面道路の幅員が4mの場合は、「4m × 40% = 160%」となり、160%が採用されます。

土地を選ぶ際は指定容積率だけでなく、前面道路の幅員をもとにした実際の容積率を計算してみましょう。

【緩和】防火構造が条件を満たしている場合

以下の要件に該当する場合、建ぺい率が10%緩和されます。

  • ● 土地が防火地域に位置し、建物が耐火建築物である場合
  • ● 土地が準防火地域に位置し、建物が耐火建築物・準耐火建築物の場合

建ぺい率は火災による延焼を防ぐ役割がありますが、耐火建築物であれば火災による被害を軽減できるためです。

また、本来の建ぺい率が80%の地域に位置し、上記の条件を満たす場合は建ぺい率の制限を受けません。敷地いっぱいまで建物を建てられます。

なお、防火構造とは異なりますが、土地が特定行政庁が指定した角地にある場合も建ぺい率10%の緩和を受けられます。角地の要件は自治体によって異なるため、不動産会社や自治体に問い合わせて要件を確認しておきましょう。

【緩和】容積緩和の特例を受ける場合

以下の要件に該当する場合、容積率の緩和を受けられます。

  • ● 土地が特定道路(幅員15m以上)から一定範囲にある場合
  • ● 地下室や駐車場を設ける場合
  • ● ロフトやバルコニーを設ける場合

通常であれば前面道路が12m未満の場合、容積率の制限を受けます。しかし、特定道路から70m以内(分岐した道)にあり、前面道路が6m以上12m未満であれば容積率の緩和を受けられます。

また、地下室であれば延べ床面積の1/3、駐車場であれば延べ床面積の1/5を限度として容積率から除外可能です。さらに、要件を満たしている場合、ロフトやバルコニーも容積率から除外されます。

建ぺい率と容積率以外に知っておくべき4つの建築制限

土地を選ぶ際は、建ぺい率・容積率以外にも知っておくべき建築制限があります。

  1. ①絶対高さ制限
  2. ②斜線制限
  3. ③日影規制
  4. ④セットバック

それぞれについて解説します。

建築基準法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:建築基準法

①絶対高さ制限

絶対高さ制限とは、建物の高さを制限するものであり、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域に定められています。

上記の地域は低層住居のための地域であるため、高さが10mもしくは12mを超える建物は建てられません。そのため、容積率の上限まで建物を建てられない可能性があります。

建物プランにもよりますが、2階建てもしくは天井の低い3階建てになるのが一般的です。低層住居専用地域や田園住居地域に住みたい方は、事前にハウスメーカーにプランを作成してもらいましょう。

②斜線制限

斜線制限とは、建物や道路の日照や通風を確保するための制限であり、以下の3つに分類されます。

北側斜線制限 北側の家の日照や通風を確保するための制限
道路斜線制限 道路の日照を確保するための制限
隣地斜線制限 周辺の家の日照を確保するための制限
(20mまたは31m を超える部分への制限)

上記のなかで、戸建てを建てる際に重要となる規定が北側斜線制限と道路斜線制限です。北側の家や道路への日照を確保するために、建物の一部を削る必要が生じる可能性があります。

とくに3階建ての住宅を建てる場合は、斜線制限を受けるケースが多いため、建築プランを事前に確認しましょう。

③日影規制

日影規制とは、建物によって生じる影が周辺の土地に一定時間以上かからないようにするための規制です。

制限を受ける建物 は用途地域によって異なり、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域は軒高7m超え、もしくは地上3階建て以上の建物です。その他の用途地域の場合は、高さ10m超えの建築物に適用されます。

④セットバック

セットバックとは、敷地の一部を道路に提供することです。

具体的には前面道路の幅員が4m未満の場合に適用されます。新しく建物を建てる際は道路中心線から2m後退しなければならないため、前面道路が3mで向かい側にも建物がある場合、互いに50cm後退します。

セットバック部分は敷地面積に算入されないため、建てられる建物が小さくなってしまう点に注意しましょう。

まとめ

本記事では建ぺい率の計算方法や容積率との違い、制限・緩和されるケースについて解説しました。

建ぺい率とは、敷地面積に占める建築面積の割合であり、容積率とは敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。

用途地域によって建ぺい率や容積率は異なるため、理想の住宅を建てられる土地を探しましょう。しかし、建築制限なども考慮する必要があり、理想の間取りプランが入るかを見定めるのは困難です。

スムーズに土地を探すためにも、不動産会社やハウスメーカーと相談しながら進めましょう。

執筆・情報提供

岡﨑渉(おかざきわたる)

国立大学卒業後新卒で大手不動産仲介会社に入社。約3年間勤務した後に独立。現在はWebライターとして活動中。不動産営業時代は、実需・投資用の幅広い物件を扱っていた経験から、Webライターとして主に不動産・投資系の記事を扱う。さまざまなメディアにて多数の執筆実績あり。宅地建物取引士・FP3級の資格を保有。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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