2023.07.12
スキップフロアとは?工事費用や4つの実例を紹介!
住宅の建築を検討するなかで、「限られた土地面積でできる限り広い間取りにしたい」「他の住宅とは違うおしゃれな空間にしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
そのような方におすすめなのがスキップフロア。本記事ではスキップフロアの特徴や工事費用、具体的な間取りについて紹介します。
INDEX
スキップフロアとは?
スキップフロアとは、同じ空間に段差をつけて、中2階・中3階を設ける間取りです。ステップフロアも同様の意味で用いられます。
通常の住宅では、ドアや廊下によって空間を区切りますが、スキップフロアの場合は各部屋が繋がっているのが特徴です。土地に高低差がある場合や、狭小地など限られた土地面積で住宅を建てる際に多く採用されています。
スキップフロアは間取りの自由度が高く、半地下や小上がりなども作れます。そのため、2階建て住宅だけでなく、平屋でも採用されるケースが多いです。
家全体をスキップフロアにしたり、寝室や書斎だけは空間を区切ったりと、ライフスタイルに合った間取りを考えてみましょう。
スキップフロアにかかる費用は?
スキップフロアの費用相場は、一般的な住宅に比べて高くなる傾向にあります。理由は大きく分けて2つです。
- ● デザイン・設計費用がかかる
- ● 耐震性を確保するための構造計算や良質な外壁素材が必要になる
スキップフロアは各フロアを上手に活用するためのデザイン・設計が必要です。また、1つの広い空間になるため、少ない壁で耐震性を確保するための工夫が求められます。
国土交通省の建築着工統計調査によると、2022年度の居住専用住宅の構造別坪単価は以下の通りです。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
---|---|---|---|
約58万円 | 約89万円 | 約91万円 | 約86万円 |
参照元:建築着工統計調査
ハウスメーカーによって費用は異なるため、上記の一般的な住宅を建てる際の価格を参考にしながらハウスメーカーに見積もりを依頼しましょう。なお、相場を把握するためにも、依頼先は1社ではなく複数社にするのがおすすめです。
家づくりで予算オーバーしないための節約方法は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:想定外の出費を防ぐには 予算オーバーを防ぎ、家づくりのお金を節約するポイント
スキップフロアの実例4選
本章ではスキップフロアの実例を4つ紹介します。
- ①階段の踊り場をワークスペースにした間取り
- ②スキップフロアでキッズスペースを確保した間取り
- ③半地下のスキップフロアをゲーム室にした間取り
- ④多目的スキップフロアで空間を楽しむ間取り
①階段の踊り場をワークスペースにした間取り
階段の踊り場にイスとデスクを設置し、ワークスペースとして活用している間取りです。書斎としての利用だけでなく、子どもの学習スペースとしても利用できるため、リビングにいる家族とコミュニケーションを取りながら勉強ができます。
②スキップフロアでキッズスペースを確保した間取り
スキップフロアをキッズスペースとして活用している間取りです。キッチンの近くにキッズスペースがあるため、子どもの様子を見ながら家事をこなせます。
子どもが大きくなってからは学習スペースとしても活用できるでしょう。短期的な用途だけでなく、長期的な目線で間取りを考えるのがおすすめです。
③半地下のスキップフロアをゲーム室にした間取り
階段を作る際に生じる階段下の空間を活用してゲーム室にした間取りです。リビングのテレビがあるスペースとは壁で区切られているため、互いに音を気にせずに生活できるでしょう。
スキップフロア自体はリビングと繋がっているため、子どものゲームのやり過ぎなどを防止する効果も期待できます。
④多目的スキップフロアで空間を楽しむ間取り
リビングに隣接する形で4畳のスキップフロアを設けた間取りです。4畳程度の広さがあれば、イスやデスクも置けるためワークスペースとして活用できます。その他にも運動や読書など、多目的に使用できるでしょう。
スキップフロアの3つのメリット
スキップフロアの概要や具体例が分かったところで、本章ではスキップフロアのメリットを3つ紹介します。
- ①空間を有効活用できる
- ②おしゃれな空間になる
- ③収納が増える
それぞれについて見ていきましょう。
①空間を有効活用できる
スキップフロアの間取りは、廊下や壁、ドアなどを減らせるため空間を有効活用できます。通常の住宅の場合、廊下部分はデッドスペースになりがちですが、スキップフロアであればその心配はいりません。
そのため、都市部など土地の価格が高く、まとまった広さの土地を購入するのが難しい地域に適しています。狭小住宅でもスキップフロアにすることで、床面積を確保しやすくなるため、限られた面積で快適な住環境を作りたい方はスキップフロアを検討してみましょう。
②おしゃれな空間になる
スキップフロアの住宅は希少性が高く、他の住宅とは一味違ったおしゃれな空間を作れます。スキップフロアによって立体的かつ開放感のある室内になるため、一般的な平面の間取りにはない魅力を感じるでしょう。
また、広さに余裕がある場合は吹き抜けなどを作り、自然光を採り入れることで明るい印象の部屋になります。室内に合う家具・インテリアを選び、こだわりの空間を作り上げましょう。
③収納が増える
スキップフロアによって生じる階段下の空間を活用することで収納を増やせます。通常であればデッドスペースとなってしまう部分を活用できるのは、スキップフロアのメリットといえるでしょう。
なお、天井の高さが1.4m以下の部屋は床面積に算入されないため、実際に使用できる面積に対して固定資産税がおさえられます。ただし、最終的な判断は自治体によっても異なるため、設計段階でハウスメーカーや自治体に確認しておきましょう。
床面積について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
関連記事:一平米の広さ、坪数は?家を購入する際に知っておきたい、家の大きさの把握
スキップフロアの3つのデメリット
スキップフロアにはメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
- ①音やにおいが各フロアに広がる
- ②移動が不便になる
- ③空調の効率が悪くなる
それぞれについて解説します。
①音やにおいが各フロアに広がる
スキップフロアは区切りがなく各フロアが繋がっているため、テレビの音や料理のにおいが各フロアに広がりやすくなります。
換気などで緩和できる部分はありますが、少なからず影響が出ると考えましょう。また、リビングのテレビの音や家族の会話も広がりやすいため、子どもの勉強の妨げになる恐れがあります。
すべてをスキップフロアにするのではなく、独立した部屋の設置も検討しましょう。
②移動が不便になる
スキップフロアは階段が多くなるため、移動が不便になります。
とくに高齢の方や小さな子どもがいる家庭では、移動時の危険も伴うため、対策を考えなければなりません。柵や手すりを設置する、階段の角度を緩やかにするなど、移動が負担にならないようにしましょう。
また、家事動線も不便になりがちであるため、ベランダがあるフロアに洗濯機を設置するなど、間取りの工夫が大切です。家族のライフスタイルや将来のことなども踏まえて間取りを考えましょう。
③空調の効率が悪くなる
スキップフロアは各フロアが繋がっているため、空調の効率が悪い傾向にあります。通常の住宅よりも電気代がかかる可能性もあるでしょう。
対策の一つとして挙げられるのは、断熱です。住宅そのものの断熱性を高めることで、建物全体が同じ温度に保たれるため、どのフロアにいても快適に生活できます。
また、全館空調を導入すると、建物内の温度を一定に保ちやすくなります。
まとめ
本記事ではスキップフロアの特徴や費用、具体的な間取りについて紹介しました。
スキップフロアとは、同じ空間に段差をつけて、中2階・中3階を設ける間取りです。スキップフロアにすることで、限られた土地面積を有効に活用できることに加え、他の住宅とは違ったおしゃれな空間を作れます。
一方で、音やにおいが各フロアに広がる、移動が不便になるなどのデメリットもあるため、家族のライフスタイルや将来について考える必要があります。
しかし、家族に合った具体的な対策を考えるのは難しいでしょう。間取りについて考える際は、実績豊富なハウスメーカーと相談しながら内容を詰めていくことをおすすめします。
執筆・情報提供
岡﨑渉(おかざきわたる)
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。