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コラム

2023.08.31

使いやすい玄関土間のポイントと 失敗しないためのコツ

昔の暮らし方には現代にも取り入れたい要素がありますが、玄関を入った延長に土足のままで使う「土間」の魅力が今、あらためて注目されています。
玄関土間の設け方のポイントや注意する点を知って、使いやすい玄関土間を間取りに取り入れてみましょう!

INDEX

暮らしが楽しくなる玄関土間の取り入れ方

玄関からの動線で土足のまま使える空間は、実はとても便利で、さまざまな用途に使うことができるほか、暮らしを楽しく演出してくれる効果も。
ここでは、取り入れ方の例を4点ご紹介します。

参照:TOTO・DAIKEN・YKKAP「十人十家」(リンク https://re-model.jp/

①収納

生活に必要なモノのなかには、部屋の中には持ち込みたくないモノも、とても多いですよね。
特に子どもの三輪車、ベビーカー、サッカーボールなどの運動用具は外に出していると汚れてしまうし、かといって玄関に置いておくとジャマなことこのうえない…。
玄関土間は、こうしたモノの収納に最適な場所になります。

外から帰ってきた家族が、こちらの土間を通ってモノを収納して、土間からそのまま廊下やリビングに入れる動線にすると、玄関は来客用にいつもすっきり片付いている状態をキープできます。モノが出ていない玄関は広々と感じる効果も期待できます!

②趣味の空間

お家で楽しむ趣味にもいろいろありますが、汚れたり散らかったりしても、土足の場所なら掃除もしやすいし、ほかの家族に迷惑をかけづらいですね。ゴルフ用具やサイクリングの自転車など趣味の道具のメンテナンスも、天気や気候、時間帯に左右されずに屋内でゆっくりできるので最高です。(参考イメージ写真C)

③子どもの遊び場

子どもを公園に連れていけない雨の日の遊び場所は、親にとって悩みどころですが、土間なら外遊びに近いこともさせてあげることができます。外遊びに連れて行ってあげられないときも、目が届く場所なので安心です。

④来客スペース

ご近所さんやお友だちなど、ちょっとした来客の際の対応やコミュニケーションのスペースとしても、玄関土間はとても優秀です。
土足のままなら、いたずらに長引かせずに用件だけで終わらせることもできるし、家族がリビングでくつろいでいても、玄関土間で対応できるので慌てなくてすみます。
こういった点も、玄関土間の利点です。

このように多くの可能性を秘めた玄関土間は、暮らしを、より楽しいものにしてくれるでしょう。

玄関土間で注意したいポイント

便利な玄関土間ですが、取り入れ方によってはうまく機能せずに面積がムダになってしまう場合があるので注意しましょう。

①遮へいと開放感のいいあんばい

まず本来の玄関とのつながり方ですが、玄関土間を収納や作業に使うためには、玄関から視覚的に見えない位置関係にしましょう。玄関との間に扉を設ける際は、扉を開けたときにモノの出し入れがしやすいよう、引き戸か開きドアかなど扉の種類と、開けたときの有効幅に気を付けてください。
玄関土間の面積が小さい場合、玄関と仕切る壁の高さを低めにして上部を開放し玄関と欄間越しにでもつながるようにすると、閉塞感を和らげることができるでしょう。

②収納計画は具体的に

玄関土間の収納は、季節外の履物以外にもコート、ゴルフバッグなど形や大きさが特殊なものまで、さまざまなモノが想定されます。収納したいモノを明確にして、それらが納まりやすいか・取り出しやすいか、具体的にプランニングすることをおすすめします。

③電気・照明・空気環境

電動自転車や電動工具など充電が必要なモノは結構あります。コンセントもしっかり確保しましょう。モノが多い場所は暗がりも多くなります。趣味の空間であれば、その動作や作業に必要な照度や照明器具の配置のしっかりとしたプランニングが大切です。
そして忘れてはならないのが「臭い対策」。
履物類やさまざまなモノを置くと、どうしてもモノの臭いがこもりがちです。玄関から続いているので外から入ってくる湿気やほこりも逃げ場がないと臭いの原因になります。
窓が無い場合や自然換気が難しい場合は換気扇を設けるなど空気の入れ換えがしっかりできるようにしておきましょう。湿気対策にもなります。

④温度環境

暑さ・寒さ対策も必要です。玄関土間のためだけの空調は、全館空調でない限り難しいかもしれません。夏の暑さ対策としては窓や通気口で風の通り道を確保したり、空調のある部屋と欄間部分などでつなげたりしましょう。
趣味や子どもの遊び場など、ある程度の時間を過ごす土間の場合は、冬の寒さ対策は必須です。土間コン下の断熱だけでなく、床レベルまでの立ち上がり部分(土台など)も断熱の工夫があるといいでしょう。床暖房の敷設もできるとさらに快適になるでしょう。床暖房の敷設が難しいときは、温風暖房機など手軽な暖房設備を使えるようにしておきましょう。
空調環境が整っていないと、せっかくの空間もただの物入れになってしまうだけでなく、ただ乱雑にモノを押し込める場所になってしまう恐れがあります。

おしゃれな玄関土間のアイデア2選

玄関土間は、隠して使うにとどまりません。もっと積極的な配置計画で表舞台のひとつにすることも可能です!

参照:TOTO・DAIKEN・YKKAP「十人十家」(リンク https://re-model.jp/

①玄関から廊下を土間にしてリビングにつながるようにすると、昔懐かしい日本家屋の通り庭のような雰囲気にも。開放的な暮らし方にはぴったり。

「ちょっと顔を見たくて寄っただけだよ。」とリビングに腰かけての会話は、家の中の縁側のようで、人とのつながりを程よい距離感で演出してくれます。リビングにも開放感が生まれて土間との高低差が変化に富んだ空間を演出してくれます。リビングと玄関土間の間に内障子やすだれ、網代の引き戸を設けると、和モダンなインテリアに。

土間には、植木や室内向けの植栽を配しライン照明やアッパーライトなど照明計画を工夫すると、夜はまた違った雰囲気を演出できます。わくわくしますね。

②趣味の空間としての土間は、見せたいモノがあふれる空間。

参照:株式会社LIXIL(リンク https://www.lixil.co.jp/ )

自慢の自転車や、スニーカーなど愛用のコレクションを飾れると嬉しいですね。クラフトワークなど手作りの作品は、工房兼ショールームになります。作業とディスプレイの両立ができるのが玄関土間の強み。外とつながっていることで、人を招きやすく、掃除もかんたんなどの利点もあります。

このように、これからの玄関土間は、お洒落になって表舞台に現れる使われ方が増えてくるかもしれません。暮らしを彩り、楽しくしてくれる場としての玄関土間の可能性は、今後ますます広がりそうですね。

住宅展示場のモデルハウスにも、玄関土間を取り入れた間取りが増えています。
具体的な例を見て、ご家族にふさわしい玄関土間のイメージをぜひ掴んでみてください。

執筆・情報提供

川道 恵子(一級建築士)

(株)住まいと街設計事務所 代表取締役  住宅メーカー設計部にて、戸建住宅の設計業務 デベロッパーにて、マンション等の企画・監理業務を経て設計事務所において不動産開発業務に携わる。土地の活かし方、住宅の間取り提案等、幅広い実績多数。

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