2023.10.03
小上がり和室をリビングに作るメリット・デメリット。費用やおしゃれな事例を紹介
最終更新日:2024/06/07
和室を作ろうと考えている方の中には、フラットにするべきか小上がりにするべきかで悩むケースが多いです。
昔ながらのフラットな和室もいいですが、小上がりにはさまざまなメリットがあるので悩みどころといえます。
そこで本記事では、リビングに作る小上がりの和室の メリット・デメリット、費用やおしゃれな事例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
本記事を読むことで、後悔しない和室を作れるでしょう。
INDEX
小上がり和室とは
小上がりの和室とは、床の一部分に高さを設けた和室です。リビングに設けられるケースが多く、奥行きが出る特徴があります。
また座敷のようにくつろげたり床と離れているため暖かかったりするなど機能面にも優れています。つまり、日本的な空間でありながら便利な機能も備えているのが小上がりなのです。
なお、小上がりの利用事例は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:和モダンな住宅に住みたい!ソファなど、インテリアの配置を実例を交えて解説
小上がり和室をリビングに作るメリット
小上がり和室には、以下のようなメリットがあります。
- ● 冬場でも暖かい
- ● 立体的で区切られた空間になる
- ● 多機能空間になる
小上がり和室は床から少し高くなっているため、冷えた床面の冷気が直接伝わらず、冬場でも快適に過ごしやすくなります。また小上がりがあるため部屋全体が立体的に見え、おしゃれな空間になります。和テイストな住宅以外の住宅にも馴染む特徴から、リフォームによる後付けを検討する方も多いです。
さらに、以下のようにさまざまな用途で利用できます。
- ● 段差を腰掛けにする
- ● 段差部分を収納にする
- ● ごろ寝スペースにする
- ● 家事などの多目的スペースにする
- ● 間仕切りを設けて独立した部屋にする
- ● 布団を敷きベッドのように使う
段差があるため床のゴミやほこりが入りにくく、横になりやすいです。間仕切りを設ければ独立した空間になるため、家事を行いやすくなるメリットもあります。
しかし、収納するスペースが少なくなるケースがありますので、収納面で不安がある場合は以下の記事を参考にしてください。
関連記事:子どもとともに成長する我が家 四角い収納箱でスッキリ空間を実現
小上がりの機能的なメリットは以上ですが、小上がりが支持される理由は、機能面だけではありません。
以下は和室や畳スペースに関するアンケートです。住宅施主の畳人気をストレートに反映しています。
和室は好きですか?
実に88%の方が、好きもしくはどちらかといえば好き、50%の方が好きと回答しています。
畳コーナーが好きな理由は何ですか?
上位4つは畳コーナーの素材感や雰囲気、デザイン性に触れていて、機能以外を志向していることが分かるでしょう。
新築住宅で畳の居室を設ける比率は、全体数としては年々減少しており、高齢の方は座卓や座椅子、布団よりテーブル、いす、ベッドのほうが身体の動作が楽なため、洋風の生活を志向します。
その一方で、新築の施主の若い世代には、和室好きの志向があることが分かります。
小上がり和室をリビングに作るデメリット
小上がり和室のデメリットは、以下のとおりです。
- ● 狭いリビングには向いていない
- ● 部屋のレイアウトが制限される
- ● バリアフリーではなくなる
- ● 掃除の手間がかかる
小上がり和室は高さが生じる分圧迫感があるため、狭いリビングには適していません。また、小上がりは固定された構造であるため、部屋のレイアウトを変更できなくなってしまいます。そのため、家具の設置などが制限されてしまうのです。
また小上がり和室を設置すると、段差が生じるためバリアフリーではなくなる点にも注意が必要です。高齢者やお子様がいる家庭では、転倒・落下に注意しなければなりません。
ただし、高さや構造を工夫することで、1階就寝でのバリアフリーや介護目的のスペースにすることも可能です。水回りへのアクセスが良く、階段を使わずに済むリビングの小上がりは、高齢者向きに利用することもできます。
さらに段差が生じると、ロボット掃除機などを活用しにくくなるため、掃除の効率が下がるケースがあります。自分で掃除機をかける場合でも、フラットなリビングより手間がかかるので注意しましょう。
小上がりのあるリビングで後悔しないために
小上がりをリビングに設けて後悔しないためには、その大きさや形状が、利用目的に合っているか、普段の生活の妨げにならないかを考えておくことが大切です。
小上がりの広さ:何畳が一般的?
小上がりは目的によって広さを検討します。3~4.5畳の広さが主流となり、6畳の場合は小上がりにするより、リビングに隣接したフラットな和室として、家具を置いて仕切って使用するのが主流です。
家事や子どもの寝かしつけ、遊び、休憩スペースとして使用する場合は3畳が適当でしょう。
座卓を置いて来客をもてなしたり、サブのダイニングとして食事にも使用したりするなどの場合は、4畳程度の広さを見ておきます。ただし4畳だと横長のスペースとなります。
4.5畳になると布団2組を敷くことができるため、来客の就寝スペースとしても機能するでしょう。
小上がりの高さ
小上がりの高さは、一般的には30~40センチが多いです。低い場合は小上がりの内部を収納として利用できず、10センチ前後まで低いと、段差でつまずきやすくなります。
逆に40センチ以上の高さを取ると、小上がりの外のフローリングに落ちたときに危ない場合があるほか、天井高も2メートルを切る場合があり、圧迫感があるかもしれません。
扉付きかどうか
壁や扉を付けて、しっかり仕切れるようにすると、目隠しになるほか、食事のにおいや煙を避けたり、仕事や勉強に集中しやすくなったりします。
反面、リビングの開放感は少なくなるので、扉を収納して開け放てるような作りもおすすめです。ちょっとした目隠しだけなら、ロールスクリーンやついたてのようなものを利用する方法もあるでしょう。
リビングに小上がり和室を設置するのにかかる費用
小上がり和室の設置にかかる主な費用は、以下の表のとおりです。
ケース | 費用 |
---|---|
一般的な小上がり和室(3畳〜4.5畳) | 15〜25万円程度 |
LDKと一緒にリフォームする場合 | 50万円程度 |
間仕切りを設置する場合 | 8万円程度 |
掘りごたつを設置する場合 | 30〜40万円程度 |
表中の価格は、あくまでも一般的な費用です。使用する畳や壁紙のグレードによっては、追加費用がかかるケースもありますので気をつけてください。
なお、リフォームの場合はDIYで対応することも可能ですが、失敗を避けるためにプロに依頼する方法がおすすめです。
小上がりの設置に迷っているか、後付けを検討中の場合は、リビングの中に置き畳や、中が収納になっている畳ユニット家具を試しに置いてみて、良ければ本格的なプロの施工を依頼することもできるでしょう。
小上がり和室の3つの成功事例
本章では、小上がり和室の成功事例を3つ紹介します。また費用についてもご紹介しますので、リフォームや新築の参考にしてください。
成功事例①
住居形態 | 戸建て |
工事価格 | 30万円 |
リビングの一角に小上がりの和室を設けた事例です。正面の壁は洞床風に見切りでアールを付け、色を変えて仕上げています。機能性だけでなくデザイン性にも優れているため、室内のアクセントになる存在感のある小上がりになっています。
リビングの収納から1枚の板を伸ばしているため、デスクとして使用可能です。また子どもの遊び場やリラックススペース、テレワークなどさまざまな用途で活用できるでしょう。
成功事例②
住居形態 | 戸建て |
工事価格 | 50万円 |
リビングから繋がっていた洋室部分を小上がりの和室へ変更した事例です。畳の下はすべて収納スペースになっているため、日常的に使用しないものをしまっておけます。
小上がりは、急な来客時にも強い味方となります。リビングとの境目にあるロールスクリーンを下ろし、散らかったものは、すぐに小上がりか床下収納に片付けが可能です。
仕事や勉強中の場合は、ロールスクリーンで仕切って、続けられます。お客さまが泊まりになる場合も、就寝や荷物の置き場として機能します。
成功事例③
住居形態 | マンション |
工事価格 | 100万円 |
マンションをリフォームして、小上がりの和室を設けた事例です。畳の下はすべて収納になっているほか、壁際には掘りごたつ式のカウンターとピクチャーレールが設けられています。子どもの遊び場や学習スペース、親のテレワークスペースなどさまざまな用途で活用できるでしょう。
ストライプ柄の畳と黄緑色のアクセントクロスによって、明るく個性的な空間に仕上がっています。マンションで小上がりの和室が設けられているケースはめずらしいため、差別化した空間を作りたい方は取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では小上がりの和室のメリットや費用・成功事例をご紹介しました。小上がりの和室とは、床の一部分に高さを設けた和室です。奥行きが出るだけでなく、座敷のようにくつろげたり床と離れている分暖かかったりするなど機能面にも優れています。
しかし、レイアウトが固定される点やバリアフリーではなくなる点などには注意が必要です。家族の年齢や今後のライフプランをもとにして、小上がりを設置すべきかどうか検討してみましょう。
執筆・情報提供
岡﨑渉(おかざきわたる)
国立大学卒業後新卒で大手不動産仲介会社に入社。
約3年間勤務した後に独立。
現在はWebライターとして活動中。
不動産営業時代は、実需・投資用の幅広い物件を扱っていた経験から、Webライターとして主に不動産・投資系の記事を扱う。さまざまなメディアにて多数の執筆実績あり。
宅地建物取引士・FP3級の資格を保有。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。