フォトグラファー・大畑陽子さん 「自然豊かな故郷で手に入れた安心感と新たな夢」

住まいづくりは自分自身を見つめ直すいい機会に

大畑さんご家族が暮らす家はのどかな田園風景の中にあります。この築50年の家は、長男の出産後、育児や仕事に追われる中、大畑さん主導でリノベーションが進められました。大畑さんがこだわったのは、二世帯それぞれが暮らしやすい動線とお互いの気配が感じられる間取り。そして、子どものころから慣れ親しんだ家の雰囲気をできるだけ残し、風が気持ちよく通る家にしたかったそうです。

「私は妥協しない性格なので(笑)、サッシ１つでも、時間を見つけて全メーカーのショールームを回りました。特にLDKは私のこだわりが詰まった空間です」

LDKの中央には、端材7枚を継ぎ合わせて作ったダイニングテーブルがあります。こちらも大畑さんのこだわりの１つで、大人5人がゆったり座れる大きさに仕上げました。また、肌触りのいい欅の無垢材の床を中心に木のぬくもりに包まれた空間は、L字型に張られた畳との相性もよく、居心地は最高。特に小さな子どもがいる大畑家では、思った以上に畳の使い勝手がよく、家族のお気に入りスペースになっています。

「私にとって初めての住まいづくりでしたが、これから家族とどんな時間を過ごしたいか、自分がどんな人生を生きたいか、何を長く愛せるのかを極限まで突き詰めるいい機会になりました。いろいろと迷うこともありましたが、それらがすごく明確になったことで、最後は自分の感覚を大事することができました」

二世帯住宅、地方暮らしがもたらした大切なものとは？

そして、両親との同居も大畑さんに多くのものをもたらしました。それは子どもたちの面倒を見てくれるといったサポートに留まらず、毎日ご両親が作った新鮮な野菜が食べられたり、おかずがたくさんできれば持ち寄ったりと数え上げたらきりがありません。その中でももっともよかったのは、大畑さん自身が自分の老後を身近に感じられるようになったことなのだそう。

「体力的なことも含めて、老後はこういうことに幸せを感じるんだということがよく分かりました。私は頼ることも必要だと思って、母に甘えていますし、父は息子のために手作りのおもちゃを作ったり、一緒に虫や蝶々を追いかけたりして、まるで息子の友達のようなんです(笑)。子どもたちがいい意味で掻きまわしてくれるので、両家の風通しがよくなっています。私にとって両親との同居は、本当にいいこと尽くめでした。今はストレスもなく、最高の環境で仕事も子育てもできているなと実感しています」

また、この家で過ごすようになってから、多くの友人や家族が遊びに来るようになったそうです。子どもたちは外で自由に遊び、大人たちは縁側でお茶を飲んだり、おしゃべりを楽しんだり。ここでは時間がゆったりと過ぎていきます。そして、休日には夫と一緒にお互いが気になるところを掃除したり、家族でイベントやリサイクルショップを覗くこともあるのだとか。そんな時間が大畑さんにとってかけがえのない大切なものになっています。

夢に向かって新たな拠点づくりに挑戦

大畑さんをもっとも身近で理解し、見守るのが旦那さまです。大畑さんの地元にUターンに合わせて職場を変え、いっしょに家事や子育てに取り組んできました。そして、今後は新たな挑戦を控えた大畑さんをサポートしていくのが彼の夢になっているそうです。

「来年、家の近くに撮影スタジオをオープンする予定なんです。長男を出産後、半年で仕事復帰したのですが、東京までの長い移動時間を家族と過ごす時間に当てたいと思うようになり、仕事の取り組み方を考えるようになりました。私はカメラの前に立つ人を『あなたはこんなに素敵！』って肯定したくて写真を撮っています。それは自分がそうされたいし、肯定されて生きたいから。人は皆、美しいです。写真が人生の宝物になる、そんな場所にしていきたいと思っています」

そのための拠点もすでに確保していると話す大畑さん。そこがいずれこの地域を盛り上げる場となるべく、大畑さんはいろいろと計画しているそうです。

「私は女性が生き生きと働ける場を作りたいと思っているんです。私自身、出産後、女性の働きづらさを実感したので、１人でも多くの女性が幸せに働ける場所ができたらいいなと思っていて、それが今は夢の１つになっています」

終の棲家を手に入れた今、大きな安心感を得たと話す大畑さん。煌びやかな東京とは真逆ともいえる地方での暮らしは、ここでしか味わえない魅力がたくさんあります。大畑さんにとってそれらはどれも居心地のいいもので、この環境が大畑さんの生活や仕事への向き合い方を大きく変えるきっかけになりました。

最後に毎日を快適に過ごすための秘訣をうかがうと、大畑さんは「我慢しないこと。素直に感情を出すことが大事」だと語ってくれました。

大畑さんのように、住まいづくりは自身の“好き”を突き詰め、理想の暮らしをイメージして想い描くことが大切になります。さまざまなスタイルやインテリアが一堂に見られる住宅展示場は、そのイメージづくりやヒントを得るにはぴったりの場所です。皆さんの住まいづくりの参考に、ぜひ、お近くの住宅展示場に足を運んでみてください。