2024.02.01
吹き抜けのメリット・デメリットとは?家を建てる際の注意点も紹介
吹き抜けは室内の明るさや解放感、デザイン性に貢献しますが、特徴や問題点への対策が気になりますね。
この記事では、吹き抜けのメリット・デメリットや、吹き抜けのある家を建てる際の注意点についてご紹介します。
INDEX
吹き抜けのメリット
まず吹き抜けのメリットから見ていきましょう。
以下の図のように、リビングに吹き抜け派は家を購入する方の約3分の1ですが、理由として部屋数や空調効率を優先したい、面積の制約などのほか、吹き抜けのメリットが充分伝わっていない点もあるでしょう。
採光や通風が良くなる
吹き抜けを設け、とくに大きな窓を設置した場合、高い位置からの窓を通じた季節や時間帯に左右されない採光が期待できます。同時に換気機構を上手く使えば、通風を確保しやすくなり、健康的な暮らしができます。
朝太陽の光を浴びることで、体内時計を正常に保ちやすくなります。紫外線が気になる場合はUVカットガラスやシートを利用しましょう。
トップライト(天窓)を設けると、建築基準法では一般的な高さの側窓と比較して3倍の採光効果があるとみなされます。
また寒い時期は日照によって室温を上げられるため、光熱費にも良い影響があるでしょう。
開放感がある
吹き抜けのもたらず解放感は、狭めのリビングでも広々した気持ちよさを得られ、おしゃれさや高級感にもつながります。
これは視覚的に高さがあると、空間を広く感じられるからです。
吹き抜け部分にリビング階段も併設すれば、デザイン的にもお客様を招きたくなる、自慢の空間となるでしょう。
家族のコミュニケーションが良くなる
とくにリビングの吹き抜けやリビング階段は家の中心に設けられることが多く、屋内のどこにいても家族の気配を感じられる機会が多くなります。
家族間の会話やコミュニケーションを意識する場合、声や姿が確認しやすい吹き抜けが有効なツールとなる場合があるでしょう。
子どもが小さい頃はとくに有難いですが、見守りや声掛け、体調がすぐれないときの看病などがしやすく、家事の間も安心できます。
リノベーションして部屋に転用もできる
吹き抜けはフロア間の床を設けていない状態なので、床を増設すれば2階部分に新たな居室空間を作ることができます。
書斎やテレワーク空間、子ども部屋が必要となった場合にも、床の増設で対応できる可能性があります。
ただし、地域で定められた容積率を超えて居室を増やすことはできませんので、その点は注意が必要です。
吹き抜けのある家を建築した時点では、吹き抜け部分は1階、2階どちらの床面積にも含まれていません。したがって最初から吹き抜けを除いて容積率いっぱいに設計している場合、床の増設はできません。
吹き抜けをあとからリノベーションして部屋に転用する予定を考える場合、事前に容積率の確認が必要です。
吹き抜けのデメリット
続いて、事前に知っておくべき吹き抜けのデメリットについて確認してください。
空調効率が悪くなる
「吹き抜けは冬寒く夏暑い」というのがよくいわれます。
確かに、冬場に温かい空気は上に上がるため、上下の温度差ができます。断熱性能が良くない場合、上に上がった温かい空気は逃げてしまい、ロスすることになるでしょう。
逆に、夏場のトップライトからの日光の熱を防ぎきれない場合、エアコンの出力を上げる必要があります。
屋根からの冷気や熱が伝わって寒い、または暑いということも考えられ、光熱費を無駄にしない観点からも、これらには対策が必要となるでしょう。
音やにおいが拡散する
1階と2階で空間がつながっていれば、音やにおい、煙などは自由に広がります。
キッチンの調理のにおいや、リビングのにぎやかな声が2階の寝室まで充満するなどは困ってしまうでしょう。
また、室内から出る音だけでなく屋根から伝わる雨音なども、天井の構造によっては下に伝わりやすくなることがある点も挙げられます。
2階が狭くなる
吹き抜けの分、2階の部屋数や面積は少なくなるため、それを計算しておく必要があります。
2階はおもに寝室や、家族の個室に充てられることが多いため、部屋が足りなくなることはあり得るでしょう。
必要な部屋数や広さは、子どもの成長や高齢化などの変化によって変わりますが、「必要な部屋数が足りなかった」ということのないように考えておきましょう。
安全上のリスク
吹き抜けの安全上のリスクとは、耐震性の問題と、転落の可能性です。
床を持たない吹き抜け部分は、地震の揺れの際に建物を支える要素が少なくなるため、専門的ないい方では水平構面の強度が弱くなり、耐震面で不利です。
また、吹き抜けと2階フロアの境目は、子どもの転落事故のリスクが高まるため、充分な対策が必要となるでしょう。
余談ですが、吹き抜けの電球交換やすす払いは床からの高さがあるため、メンテナンスのために脚立などを使用した危険な作業を伴い、場合によっては業者に依頼するコストが必要な場合もあります。
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吹き抜けを作る際の注意点
吹き抜けの良さをフルに活かし、デメリットをなるべく被らないために、以下の点に注意しましょう。
購入や設計時に注意すること
まず室内の温度管理や空調の効きについては、居室内の気密性と断熱性を確保したうえで、シーリングファンなどで空気の循環を作ることで解決できます。断熱性の高い家は、むしろ吹き抜けを作ったほうが空調効率が良いです。
近年玄関だけでなくリビングなどにも吹き抜けが増えた理由は、建築技術や建材の進歩で耐震性や気密、断熱性が向上した結果、吹き抜けが作りやすくなったからだといえるでしょう。
とはいえ耐震性を高めるためには、家の中での吹き抜けの位置や、詳細にわたる構造計算をおこなうことが大切です。
吹き抜けは1階と2階の間に床面がないため、たとえば家の角の吹き抜けの場合、以下の図のように内壁に耐力壁を作り、強度をアップさせます。
また、地域によって吹き抜けの高さや安全規定が異なるため、地域の法規制や建築許可に準拠する必要があり、建設前に確認が必要です。
部屋数の問題については、家族で良く話し合いのうえ、将来にわたるライフスタイルに合った間取りを検討してください。
暮らしで注意すること
換気や音の問題は、家族の中でも配慮やルールを必要とするでしょう。リビングで遅くまでにぎやかにする際はどうするか、においを排出する際の換気や空調の使い方など、ちょっとした心遣いをおすすめします。
落下防止の安全対策ですが、子どもが小さいうちは開放感よりも安全対策を優先し、しっかりした柵を増設するのも良いでしょう。
室内の柵の高さに規定はありませんが、ベランダと同じ110cmで、縦格子の間隔が10cmが一つの基準で、階下に柔らかいものを敷いておくなどもおすすめです。
まとめ|吹き抜けを作る際には
吹き抜けには解放感や採光の点でさまざまなメリットがあります。
一方で空調効率やにおいの拡散などのデメリットもあげられます。
設計時や、暮らしにおける注意点もありますが、断熱性の高い家の場合はぜひ吹き抜けを検討してみましょう。
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執筆・情報提供
滋野 陽造
保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士。
マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産投資に従事。
実務経験をもとに、不動産の賃貸業・売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。