2024.07.18
洗濯物が乾かないランドリールームにしない!乾きやすい部屋の作り方とは?
ランドリールームは、洗濯物を乾燥させる室内スペースです。家事動線を良くし、天候やプライバシ―に気遣うことなく物干しや、衣類の家事ができます。
ランドリールームでもっとも大切なのは、温度・湿度・気流のコントロールです。せっかく作ったのに衣類の乾きが良くない、使い勝手が悪いなどの後悔がないように、本記事では、衣類が乾きやすく使い勝手の良いランドリールームの作り方を解説します。リフォームなどの際の参考にもしてください。
INDEX
ランドリールームなのに洗濯物が乾かない!どうして?
せっかく設けたランドリールームなのに、思うように洗濯物が乾かないで困っているケースがあります。
理由として、設計する人は間取りの中での位置や採光、通風は意識しますが、室内の使い方については、収納や作りつけのデスク止まりとなるのが多いためでしょう。
乾きが良くない根本的な原因は、以下です。
- ● 室温が低いため
- ● 湿度が高いため
- ● 気流不足のため
室温が低いため
冬季は空気が乾燥しているのに、洗濯物がなかなか乾きません。原因は気温の低さです。気温が低いと、空気中に蓄えられる湿気の量が減るため、洗濯物の水分が蒸発しにくくなります。
したがって、暖房でランドリー室内を温めたり、日光を入れたりすることで室温が上がると、洗濯物の水分は早く空気中に蒸散します。
湿度が高いため
逆に夏季も、室内干しは乾きにくいです。今度は温度も湿度も高いのが原因となっています。空気中の湿度が上がって飽和状態に近づくと、やはり洗濯物の水分は逃げ場を失うためです。
屋外はまだ直射日光や風通しがあるため、天気が良ければ乾きやすいでしょう。そこで室内干しは除湿をすれば、問題解決です。天候が良ければ窓を開けて風を通すだけで、乾く早さは冬季・夏季ともに大きく違います。
冬季や夏季以外にも衣類が乾燥しづらいシーズンがあります。梅雨の時期も、室温が低く湿度は高いという乾きにくい環境になってしまうため、温度や湿度のコントロールが必要になる季節です。
気流不足のため
もう一つの要素が、ランドリー室内の気流不足です。洗濯物から蒸発した湿気が動かずに留まっていることで、乾燥の時間が遅くなっています。
窓を開けて風を通したり、サーキュレーターを備えたりすることで、室内の空気を動かし、換気しましょう。
ただし、花粉やPM2.5のシーズンには、アレルギー対策で換気はなるべくしたくない事情もあるでしょう。窓を開けなくても、室内の空気を動かすだけで、洗濯物の乾きは早くなります。
洗濯物が乾きやすいランドリールームの作り方
洗濯物の乾く原理は以上ですが、よく乾くランドリールームにするには、ランドリールームの構造も大切です。以下を取り入れてみてはいかがでしょう?
調湿性能・蓄熱性能が高い素材を取り入れる
漆喰や珪藻土、フローリングなどの自然の素材は、高い調質機能を持ち、室内の湿度を一定に保ってくれる働きをします。
また、漆喰や珪藻土の壁は蓄熱もするので、一度温めたお部屋の温度が下がりにくくなるでしょう。さらに珪藻土は消臭効果も期待できます。
居室以外に使うのはちょっと贅沢でもありますが、検討の価値はあるでしょう。
自然光が入る窓をつくるのも1つ
自然光が入り、開け閉めができる窓を設けると、温度や湿度のコントロールが格段にしやすくなります。戸外に出られる扉も作っておけば外干しもしやすくなり、換気もさらに効率的です。
可能であれば反対側に風が抜けていく構造にできれば、理想的な自然換気が可能になります。
換気扇を導入する
室内に気流を設ける方法として、ランドリールームに換気扇を付けておくのもおすすめです。洗濯物の乾きだけでなく、ランドリールームや付近の室内のカビの発生を抑える効果も期待できます。
住まいの湿気について、以下のデータがあります。
洗濯物間の距離が取れるスペースを確保する
洗濯物、特にハンガーを吊るす間隔をある程度取ることで、乾く速さに差が出ます。ハンガーが風などで動かない構造にし、一定の距離を取りましょう。ハンガー同士が接触しているような状態では、水分の行き場が少なく、うまく乾きません。
それでも乾かない場合は?
ここまでの環境を整えて、それでもお部屋の立地などの関係でうまく乾きづらいこともあります。
その場合は、ランドリールームを閉め切って、サーキュレーターや扇風機の風を当ててみましょう。使えるエアコンがあれば、冬季は暖房、下記は冷房にセットして運転します。
扇風機やサーキュレーターは、風をまんべんなく当てるための置き場所が大切なので、コンセントからの位置は、延長コードなどで調整しましょう。
冬季以外に効果を発揮するアイテムとして、持ち運びもできる除湿乾燥機がおすすめです。価格の相場は2万5千~4万5千円 で、本体内のタンクに室内の水分を強力に吸引して集めます。
リフォームする場合の作り方のコツは?
これからリフォームで、ランドリールームの増設や機能アップを検討する場合、衣類の乾きやすさと同様に、使い勝手の良さにもこだわりたいものです。
外干しできる日には、すぐに外でも干せるよう、外の物干しに通じる動線にし、天候や季節などに応じて、柔軟な利用ができるのがおすすめでしょう。
内部には、ランドリーパイプや天井吊りタイプの物干し竿を設置して、常時ハンガーやピンチを掛けられるようにしておきましょう。
また、ランドリールームは時間や天候を気にせず干せる点と、専用スペースであるていど長く干していても洗濯物が邪魔ににならない点もメリットです。リビングの一部などに物干しコーナーを作るよりも、ある程度独立した空間を設ける方が良いでしょう。
生活と切り離すことで、生活感ある衣類が視界に入らず、リラックスして過ごせるうえ、来客時も気になりません。
また、洗濯に関わる「脱ぐ-洗う-干す-畳む-しまう」の5つの作業が、スムーズに無駄なくできる場所に設置しましょう。脱衣所、洗濯機、アイロンや衣類畳みに使うランドリーデスク、ファミリークローゼットなどに隣接していると便利です。
ランドリールームの配置案
場所 | メリット |
---|---|
キッチンそば | お料理をしながら洗濯機の操作や、物干しが可能。 |
洗面脱衣・浴室のそば | 脱衣やバスタオル、タオルなどをすぐ洗濯機に移せる。 |
ウォークインクローゼットのそば | 取り込んで畳み、収納するまでの動線が短くなる。 |
ベランダ・庭のそば | 外干しがしやすい。外干しの乾燥効率が良いのは、ウッドデッキがおすすめ。 |
リビングの採光に影響がない場所があれば、サンルームを増設し、ランドリールームとして利用するのもよいでしょう。その場合、家屋の一部とみなされる可能性が高いため、固定資産税 がやや上がることは想定が必要です。
ランドリールームの広さは、持たせる機能と、洗濯物の干し方によって左右されるでしょう。以下は広さと、実現できる機能の例です。
広さ | 機能 |
---|---|
1帖 | 2~3人用。脱衣所の延長で、洗濯・乾燥機は脱衣所側に設置。狭さを利用して2段にハンガーが設置できるようにして、密閉して乾燥器や扇風機を利用して乾燥させる。 |
2帖 | 洗濯物を干した物干しを昇降タイプにし、下のスペースにも洗濯物を干す。家族4人程度の洗濯家事をするスペースだけの用途であれば、2畳の広さでもOK。 |
3帖 | シーツやタオルケットなど大きな物も広げて干せ、外気を入れて乾かしやすい。洗濯物を収納するスペースや乾燥機、ランドリーデスクなどの併設も可能に。 |
失敗しない!ランドリールームのアイデア例
ランドリールームは、単独の機能性だけではなく、脱衣から衣類の収納まで、総合的に家事の効率を高める形で間取りに活かせるのが理想です。
気持ちよく洗濯物を扱える、生活に根付いた洗濯動線の事例をご覧ください。
外干しOK風通しOKのランドリールーム
ランドリールームを外干ししやすい南側に近い場所に設けるのは、間取り検討時の悩みになりがちです。下記の間取りでは東西にしっかり風が通り、天気の良い日はいつでも外干しとスイッチして利用できる、理想の位置に設けられています。
外干しスペースに隣にはリビングの延長のウッドテラスがあるため、こちらを使う際はランドリールームを利用するなど、使い分けも可能です。
浴室や洗面と一体化したつくりも、除湿や暖房などの空調を使ううえで、兼用ができて合理的でしょう。
寒冷地対応・サンルームの物干し室
下記の間取りは、ビルトインガレージや大きな屋内ポーチ、中庭の採光など、冬季の悪天候でも暮らしやすい工夫が随所にみられます。
洗濯動線は、南側にファミリークローゼットや脱衣室に隣接したサンルームが、ランドリースペースとして活躍する間取りです。外干しスペースとも直結し、合理的な家事を実現しているだけでなく、南側に位置し、通風や採光も配慮されています。
サンルームは天候に左右されないだけでなく、日光がさした時には、その熱も洗濯物の乾燥に利用できる点が、ランドリールームとしての利点となるでしょう。
コンパクトにすべてが解決するランドリールーム
都市部に多いワンフロアがコンパクトな3階建て住宅です。洗面・脱衣・洗濯・ランドリースペースがまとまっています。狭いスペースは除湿や暖房などの空調を活用すれば、むしろ衣類は早く乾き、浴室乾燥を兼ねることもできるでしょう。
アイロンがけや衣類を畳むためのデスクも専用のものが設けられています。ワークスペースやパントリーなど、在宅時間を大切にした間取りです。
移動距離なし!合理的な洗濯動線
衣食住の為の家事動線をほぼ1箇所にまとめることに成功した間取りです。洗濯動線だけでなく、掃除や台所仕事も、無駄な動きが全く必要のない間取りと言えるでしょう。
物干しと直結のランドリールームは、ある程度の衣類収納も受け持っていると思われます。
乾燥をキープするのが難しいランドリースペースも季節によって、あるいは収納の工夫で補助的なクローゼットとして利用できます。
まとめ
衣類が乾きやすく使い勝手の良いランドリールームの作り方を解説しました。機能の優れたランドリールームは壁や床、換気、空調など、洗濯物の乾燥用としてはちょっとぜいたくな空間が理想であることにお気づきでしょうか?
せっかくなので、アイロンや衣類畳みのほか、家事に活用できる空間として、もうすこし幅広い用途を検討するのも良いかもしれません。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。