2024.07.26
家に駐車場は必要か?設置する際のデザインやサイズ、注意点について徹底解説
家づくりを考えるうえで、駐車場は必要だろうか?と考えると思います。車の需要がこれから変わるかも知れません。必要かを考えるには予算や、敷地のうち何坪くらいの面積を占めるのかも、検討材料となるでしょう。
本記事では、家に駐車場は必要かから、設置する際のデザインやサイズ、設置する場合の注意点などについて解説します。
INDEX
家(注文住宅)に駐車場は必要か?判断ポイントを解説
この項では、どのような観点で家に駐車場が必要か判断するかを解説します。駐車場は家の敷地の貴重なスペースがかなりの割合必要です。車の使用頻度が高くない場合、果たして必要なのかを考える必要があります。
たとえば近隣に手ごろな価格と距離の月極駐車場がある場合、そちらを借りた方がいいかもしれません。
駐車場を作るかを迷った場合は、以下の次の2つのポイントを元に判断しましょう。
- ● 敷地の広さ
- ● 土地代や工事費
- ● 今後の暮らしの変化
敷地の広さ
家の設計はスペースとの戦いです。家の壁と隣の敷地との堺の間に50センチメートル の距離を開ける必要があります。また、敷地内には庭、塀、門扉などの外構の造作も欲しいでしょう。そのほかにも、バイクや自転車を使用する場合、1台あたり1m×2mほどのスペースも必要とします。車以外の乗り物も計算に入れることが必要です。
予算上、立地を優先して狭小地に家づくりしたい場合は、駐車場スペースが原因で、建築面積が影響を受けます。
また、地方では車の必要な台数が多く、十分な広さの敷地でも、駐車台数が2台、3台と多くスペースの確保が必要です。
駐車場をつくるか、つくるなら何台分必要かを考える際は、まず車の為のスペースをどのくらい確保できるのかを調べたり、設計担当の人と相談しましょう。
ただし、敷地外に借りる場合、近隣に月極駐車場が少ない時は要注意です。貸し駐車場は、駐車場オーナーの都合で1~2か月程度前の告知 で解約となることがある点も覚えておきましょう。
土地代や工事費
もうひとつの手段として、駐車場に要する土地代や工事費によって、駐車場を設置するかを判断する方法もあります。
駐車場工事の費用相場は後述しますが、駐車スペースをつくることが難しい場合、住宅と一体となった地下駐車場やビルトインガレージ(インナーガレージ)もひとつの方法です。
建物の内に駐車スペースを設けた場合、延床面積の5分の1を上限として、容積率の計算から除外できるため、居住、駐車スペースともに効率的に確保しやすくなります。
しかし、地下駐車場やビルトインガレージは通常の駐車場よりも工事費用が必要です。また、土地代が高い場所で車の使用年数や使用頻度が少ない場合は、駐車スペースに必要な費用と、月極駐車場に支払う費用を比較してみてください。土地の高い場所は駐車場代も高いため、車を使う年数が基準になるでしょう。
ただし、外に借りる場合、近隣に月極駐車場が少ない時は要注意です。貸し駐車場は、駐車場オーナーの都合で1~2か月程度前の告知で解約となることがある点は、覚えておきましょう。
今後の暮らしの変化
駐車場の必要性を考え、車を持つとなった際は、将来の車の所有状況も考慮に入れる必要があります。例としてペルソナを考えてシミュレーションしてみましょう。
会社勤めで車通勤をしている方と、奥様が専業主婦であまり車を使わないと仮定します。所有車両は軽自動車が1台です。これで「駐車スペースは軽自動車1台分だけで十分」と考えがちでしょう。
しかし今後共働きで車通勤になることが考えられます。また、子どもの送迎や、より大きい車への買い替え、子どもが成長して車を所有する可能性も要検討です。
一度駐車場をつくると、そこから簡単にスペースを広げることは難しいでしょう。今後可能性のある車のサイズ・台数の増加なども、検討の必要があります。
駐車場のニーズとして、来客用のスペースや家族の病気やケガ、介護も考えることも必要です。
来客用スペースは、よく訪問する車の台数を考えましょう。自宅近くにコインパーキングがない場合に、路上駐車をしてしまうと事故の原因になり得ます。
家族の健康状態を考慮すると、事故での車椅子の使用や、介護が必要となった場合に、駐車場で車のドアを全開できるくらいのスペースが欲しいです。車イス利用の際は、車体から約1.4mのスペースが理想となります。
欲を言えばきりがありませんが、あらゆる可能性を出したうえで、何が大切かの取捨選択をしましょう。
以下は自宅に何台分の駐車スペースがあるかのデータです。
家(注文住宅)の駐車場のおすすめの決め方とは
駐車場をつくる場合、家の設計と並行して設計や仕様を決めていきます。戸建住宅のカースペース用にはさまざまな建材や設備の選択肢があるので、必要な広さ以外にも県債や設備を基準にしたおすすめの決め方が可能です。決め方には以下のような基準があります。
- ● 広さで選ぶ
- ● タイプで選ぶ
- ● 駐車方法で選ぶ
- ● 地面の素材で選ぶ
- ● 電気自動車やPHEVの充電器で選ぶ
- ● 防犯システムで選ぶ
広さで選ぶ
まず、必要な広さを決める方法です。車一台分のクラスごとの大きさは、以下の表を参考にしてください。このように、車のクラスによってサイズには相当な違いがあります。
各クラスの平均的な車両のサイズの目安
軽自動車 | 全幅:1,480mm 全長:3,400mm 全高:1,750mm |
---|---|
小型車 | 全幅:1,700mm 全長:4,100mm 全高:1,500mm |
中型車 |
全幅:1,700mm 全長:4,700mm 全高:1,500mm |
ワンボックス車 | 全幅:1,700mm 全長:4,800mm 全高:2,000mm |
大型車 | 全幅:1,850mm 全長:5,000mm 全高:1,500mm |
上記の車両サイズを台数分とり、車の間と両サイドに60~90センチメートルを足すことで、駐車場のサイズが分かります。
カーポートなどの構造物は柱や壁のスペースが別に必要です。また、ドアの仕様によって車の周りに必要なスペースが変わります。
スライドドアの場合は左右のスペースは少なめに、2ドア車は多めに必要です。また、リアハッチの車種の場合は、ハッチが上部まで開いた状態で、壁面などにぶつからないための奥行きが必要となります。
タイプで選ぶ
戸建て注文住宅の駐車スペースのタイプは、以下の4つに分類されます。
駐車スペースのタイプ
- ● ビルトインガレージ
- ● ガレージタイプ
- ● カーポートタイプ
- ● オープンタイプ
ビルトインガレージ
ビルトインガレージは、戸建て住宅の一部を駐車スペースとする方法で、建築面積の中に駐車スペースを設けます。前述のようにスペースの節約が可能で、都市部の狭小地の住宅ではよく見られる仕様です。建築費は他のタイプよりも高めとなります。
ガレージタイプ
ガレージタイプは屋根と3方向の壁を設けた、独立した駐車スペースです。シャッターを付ければ盗難やいたずら、傷みから車を守る上で安心でしょう。大きめに作れば倉庫も兼用できます。固定資産税がかかるのと、敷地の広さに余裕がない場合、母屋の採光に影響を及ぼす可能性に注意しましょう。
カーポートタイプ
カーポートはもっとも標準的な、屋根と柱で構成された駐車スペースです。車へのアクセスが容易で、屋根があるため雨でも濡れずに乗降の支度ができ、天候による車の傷みも、ある程度抑えることができます。構造やグレードは、とても沢山の種類が選択可能です。
オープンタイプ
屋根や壁のない、野外そのままの駐車スペースです。コストがかからず、家の周りが明るいことがメリットですが、乗降の利便性や、車の保護は劣ります。
駐車方法で選ぶ
家の建て方=敷地の使い方によって、敷地内での駐車の仕方は主に、縦列駐車と横並び駐車の2種類があります。
縦列駐車
縦列駐車は道路に対して縦並びで駐車します。縦向きで駐車する場合で、前面道路の幅が狭いと停めにくいスペースとなり、見通しも悪くなりがちなので、駐車スペースの横幅は広めにとり、切り返しがしやすくしておくのがポイントです。
横並び駐車
横並びの駐車は、出し入れは楽ですが、使い勝手の問題で、車の間隔は余裕を持って取ることをおすすめします。60~90センチメートルが標準の間隔です。
地面の素材で選ぶ
駐車スペースの地面の部分の素材も、それぞれ特徴があります。以下をご参照ください。
地面部分の素材ごとの特徴
素材 | メリット | デメリット |
---|---|---|
砕石(砂利) | ・安価 ・防犯性が高い |
・砕石で車が傷つくことも ・音が近所迷惑になる場合がある |
土 | ・最も安価 ・砕石と比べて駐車時の音が静か |
・水溜まりができる ・車が汚れることがある |
アスファルト | ・コンクリートより安価 ・水はけがよい |
・熱がこもりやすい ・コンクリートより耐久性が低い |
コンクリート | ・耐久性に優れている ・維持費がほとんどかからない |
・建築時の工事費用が高い ・撤去時の工事費用が高い |
どの素材も一長一短ですが、コンクリートにすればコストはかかるものの、耐久性やメンテナンス面で安心です。
電気自動車やPHEVの充電器で選ぶ
電気自動車を利用予定の場合、200ボルトの充電コンセントやV2H(車から家庭への電源供給)設備の設置スペースも検討しましょう。
通常の100ボルトコンセントも、屋外の電源使用や照明の増設に有効です。車のそばにあると車室内社室内 の掃除機かけなどにも利用できます。
防犯システムで選ぶ
車へのいたずらや車上荒らし、盗難が起きると、被害の問題だけでなく暮らしへの不安が生じます。シャッターやカーゲート、伸縮式のフェンスの設置をすると防犯になり、敷地内へのゴミ捨てなどの不快行為も防ぎやすくなるでしょう。
また、防犯カメラやブザー、センサーライトも効果が高い方法です。ブザーやライトはご近所の迷惑にならないよう、音量や光量の設定には注意しましょう。
防犯アイテムはあとからリフォームで追加もできるので、念頭に置いておきましょう。
家(注文住宅)に駐車場を設置する場合の費用相場とは
家に駐車場を設置する場合の、タイプ別の費用相場は、以下を参考にしてください。
予算は素材や設備、依頼する業者によっても変化しますが、価格が安いほうからオープンタイプ・カーポートタイプ・ガレージタイプ・ビルトインガレージの順が一般的です。
駐車場の費用相場
駐車場の種類 | 床部分の素材 | 費用相場 |
---|---|---|
オープンタイプ | コンクリート | 1台:20万円~ 2台:40万円~ |
アスファルト | 1台:20万円~ 2台:40万円~ |
|
砂利 | 1台:18万円~ 2台:32万円~ |
|
カーポートタイプ | コンクリート | 1台:35万円~ 2台:70万円~ |
アスファルト | 1台:35万円~ 2台:70万円~ |
|
砂利 | 1台:33万円~ 2台:62万円~ |
|
ガレージタイプ | コンクリート | 1台:100万~300万円 2台:200万~600万円 |
ビルトインガレージ | コンクリート | 1台:200万~400万円 2台:500万~800万円 |
※1台あたり15平方メートルでの概算
家(注文住宅)に駐車場を設置する際の注意点
駐車場の設置は、あとから思わぬ不便が見つかることがあるため、事前に注意が必要です。失敗したと後悔しないために、駐車場作りの際の注意点を解説します。
駐車場の幅は使い勝手に直結
敷地面積の使い方の関係で、横並び駐車のスペースを2台ギリギリに取ると、ドアを大きく開けられず、乗り降りや荷物の積み下ろしに不便が生じるでしょう。また、どうしても隣の車にドアパンチで傷をつけたり、通行の際に通りにくかったりと、使い勝手に影響が出ます。
また、横幅に余裕がない場合、敷地内に車を入れる際に何度も切り返しが必要となるのもデメリットです。設計を工夫して、極力不便にならないように配慮しましょう。
メンテナンスが楽な駐車場に
地面を土や砂利にした場合、雨やタイヤへの巻き込みで減ってゆくのに合わせて、定期的に補充が必要になります。また、季節によっては除草も必要でしょう。アスファルトの舗装も、壊れたり凹凸ができるのにともなって補修が必要となることもあります。
また、カーポートはひょうの打撃や雪の重みで屋根材が壊れたり、柱が曲がったりすることがあるので、修理を要するケースに注意が必要です。
天候の影響を考える
車を天候の影響から守れるガレージは、駐車場の中では作るのに最も予算が必要です。しかし野ざらしの駐車場は、年月の経過とともに車のボディや機械類にダメージを与えることになります。
1台を大事に長く乗りたい方や、車が好きな方は、ガレージやビルトインガレージも検討する価値があるでしょう。
固定資産税の課税
反面、ガレージなど3方向以上を壁面で囲んだ駐車スペースは、固定資産税の課税対象となります。駐車場の面積に比例して、固定資産税評価に反映されるため、要注意です。
カーポートは基本的に屋根だけの駐車スペースのため課税の対象外ですが、判定の基準が課税する自治体によって異なるため、カーポートの課税の要否は自治体へ確認が必要です。
変形地の駐車場づくり
前面道路の広さや土地の傾斜、旗竿地など、駐車場づくりにコツを要するケースがあります。
前面道路が狭い場合には、それに応じて敷地の入り口の間口を広くとります。古い住宅地では、道路幅が建築基準法でギリギリの4メートルの場所もありますが、標準的な3メートルの間口では停めにくいです。横並び駐車で間口が3.6メートル、縦列駐車で車長の2倍あると、楽に出し入れができます。
旗竿地の場合は、駐車スペースの横を人や自転車が通る必要があるため、できれば90センチメートルほどの余裕が欲しいところです。
前面道路が傾斜している場合、車が敷地に進入できる間口の場所を工夫して、車の下をこすることのないように配慮します。駐車する敷地内の傾斜は車を傷める原因となり、使い勝手も悪いので、平らな敷地に整地しましょう。
以下は、車庫入れは得意ですか?という質問への回答です。
まとめ
本記事では家に駐車場は必要かから、設置する際のデザインやサイズ、設置する場合の注意点などについて解説しました。
住まいとともに駐車場も長く使うものなので、将来にわたっての使いみちなどを考慮する必要があります。用途の変化や必要な台数の変化、買い替えでサイズは変わるか、いつまで車が必要かなども考慮に入れて、無理や無駄のない駐車場設置を検討しましょう。