2024.10.11
設計料(設計監理料)とは一体何?算出方法や目安相場、事例などを徹底解説!
注文住宅の設計では、設計料(設計監理料)がかかるケースがあります。本来どの家でも設計料は発生しているはずなのに、請求されないケースがあるのはなぜでしょうか。また、設計にはケースによって、標準外のさまざまな業務があります。
本記事では、設計料(設計監理料)とは何か、算出方法や目安となる相場、見積の事例などを解説します。家族の住まいへの希望をできる限り実現したい方は、参考にしてください。
INDEX
住宅の設計料(設計監理料)とは
住宅の設計料(設計監理料)とは、主に設計事務所に家づくりを依頼した場合に、設計事務所の報酬として設定される費用です。設計監理料を省略して設計料と呼ぶことも多いですが、金額の中には監理料も一緒に含まれています。
下記は建築を依頼したい住宅会社の希望に関するアンケートです。設計事務所への希望が12%と、決して少なくありません。設計士へのフルオーダー希望が多いことが分かります。
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業務報酬基準で示される設計料の内容
家づくりの際の設計監理料は、国土交通省が定める業務報酬基準で、以下のように定義されています。
直接人件費 | ● 1日あたりの人件費(資格や経験年数により規定)×業務に要した日数 |
---|---|
諸経費 | ● 設計事務所の経費(コピー代、交通費、通信費、消耗品費、事務所の利益) ● 直接人件費と同額で計算される |
特別経費 | ● 出張費や特許使用料など、建て主の特別な依頼による経費 |
技術料 | ● 技術力や創造力、業務経験や総合企画力、情報の蓄積などの対価 ● 直接人件費の約半分であることが多い |
上記に消費税を加えたものが、設計料として計算されます。また、設計と監理の業務分掌は以下です。
設計料 | 建築工事が始まる前までの、建物の設計のためにかかる費用 |
|
---|---|---|
監理料 | 工事を問題なく進めるために監理する費用 |
|
標準業務と標準外業務の違い
標準業務とは、国土交通省の業務報酬基準に定められた一般的な設計業務の定義です。
標準業務の例
- ● お客様との打ち合わせ
- ● 設計条件の整理
- ● 法令上の条件の調査
- ● 関係機関との打ち合わせ
- ● 設計内容の検討
- ● 設計図書の作成
- ● 概算工事費の検討
- ● 設計内容のお客様への説明
標準業務の中には含まれない標準外業務として、法令・条例などに基づく許認可の手続きに必要な書類作成や手続きなどがあります。標準外業務には所定の追加料金が発生します。
標準外業務となる例
- ● 都市計画法や消防法などの法令に則した許認可申請手続き
- ● 家屋の防災計画の作成(必要なケース)
- ● 省エネ法に必要となる届け出
- ● 長期優良住宅・フラット35・住宅性能評価などの申請手続き
住宅の設計料の決め方・算出方法と目安
住宅の設計料の決め方には、大きく分けて総工事費に基づく方法、延べ床面積に基づく方法の2種類があります。
総工事費の◯%で設計料を算出
総工事費のパーセンテージで設計料を算出する場合、工事費の約10〜15%が相場の目安となります。つまり、工事費が3,000万円の住宅の設計料は300〜450万円が目安です。
この場合、工事費は建物の面積に比例するほか、使用する建材や設備のグレードによって左右されることになります。坪単価の高い住宅の場合、工事費に比例する算出のほうが、後述の延べ床面積比例の算出よりも設計料が高くなりがちです。
延べ床面積あたりの単価◯万円で設計料を算出
住宅の延べ床面積(各階の床面積の合計)に設定した単価を掛けて算出する設計事務所もあります。単価の目安は2.5〜3万円が相場です。たとえば、延べ床面積120㎡の住宅の設計料は300〜360万円が設計料となります。
国土交通省の設計料基準は、建物の用途と面積で算出するため、延べ床面積あたりの単価で設計料を算出する方法のほうが、国土交通省の方式により近いです。
この方式では狭小住宅などの場合に、設計料が業務量に対して安くなってしまうことがあるため、事務所によっては設計料の下限を設けている場合があります。
住宅の主なオプション業務と追加の設計料について
前述の標準外業務=オプション業務について、もう少し詳しくご説明します。オプション業務を依頼することによって節税などにつながり、メリットを受けられる項目もあります。
オプション業務の具体例
設計・構造計算 |
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申請・助成 |
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調査 |
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長期優良住宅やフラット35は、住み始めてからの建物の長期使用や、返済金利固定などのメリットもあるので、検討をおすすめします。
住宅の設計料の見積・内訳事例
この項は、設計監理料の見積の具体的な事例の解説です。見積は、設計料のほかにケースごとのオプション業務の違いによって金額が変動することが分かります。
敷地測量と道路協議を実施した例
30坪で240万円の設計料。3階建て住宅のための構造計算と、土地の資料不足による測量が発生しています。
また、前面道路の幅が4m未満のため、測量図をもとに狭あい道路協議を行い、敷地セットバック線と建築できる敷地面積を確定しました。狭あい道路協議申請関連のオプション業務は11万円です。
料金一覧(税込)
設計料 | 240万円 |
---|---|
構造計算 | 33万円 |
敷地測量および真北測量 | 16.5万円 |
狭あい道路協議 | 11万円 |
地盤調査 | 11万円 |
合計 | 311.5万円 (オプション業務71.5万円) |
フラット35と長期優良住宅を申請した例
30坪で240万円の設計料。フラット35と長期優良住宅の申請のために、必要なオプション業務を行ったケースの見積です。フラット35の借入には、適合証明申請と検査対応が必要です。また、長期優良住宅の認定取得のためには耐震等級2以上を証明する構造計算、一定以上の省エネ性能を示す省エネ計算がオプション業務へ追加となりました。
料金一覧(税込)
設計料 | 240万円 |
---|---|
構造計算 | 33万円 |
省エネ計算 | 11万円 |
長期優良住宅申請 | 33万円 |
フラット35適合申請 | 33万円 | 地盤調査 | 11万円 |
地盤保証 | 5.5万円 |
合計 | 366.5万円 (オプション業務126.5万円) |
長期優良住宅とフラット35Sの金利優遇による割引130万円が行われた結果、工事監理費は差引総額236.5万円に抑えることができました。
既存宅地の建て替えで建築確認申請した例
設計料は坪単価8万円×40坪。鉄筋コンクリート造のため、構造計算を要しました。もともと住宅の立地だったため、あとは新しい建物の構造に合わせた地盤調査と、建築確認申請のみのシンプルな見積となりました。
料金一覧(税込)
設計料 | 320万円 |
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構造計算 | 33万円 |
確認申請費用 | 25万円 |
確認申請手数料 | 8.7万円 |
地盤調査 | 5.5万円 |
合計 | 392.2万円 (オプション業務72.2万円) |
このケースでは境界に問題もなく、敷地測量も不要でした。
住宅の設計料によくあるQ&A
Q.工務店・ハウスメーカーの設計料が無料になるのはなぜ?
工務店やハウスメーカーの設計は規格がある程度決まっており、施主の希望で一部直していくなどのケースが多いため、設計の手間を削減できます。今までの施工で、設計本体のコストはもとを取っているという考え方もできるでしょう。
しかし、設計を変えたり、カスタマイズやオプションをつけたりしていくと設計料が追加でかかるケースもあります。さらに、申請や書類作成などのオプション業務の実務には費用が必要です。
また、工務店やハウスメーカーで家を建てる場合は、設計と施工を同じ会社で行うため、監理にかかるコストを削ることが可能です。
工務店やハウスメーカーに依頼する場合は、見積書の金額に設計料はどのように含まれているのかを、契約前に確認しておきましょう。
Q.有名建築家の設計料は高いの?
もちろん相場より高いこともありますが、必ずしもそうとはいえません。多くの時間を割いてプランを磨き、検討を重ねて施主への提案があれば、高いとはいいきれないでしょう。
予算が決まっている場合でも、建築家は柔軟に考えてプランを提案してくれるうえ、コストを抑える工夫や設計のアイディア、工務店とのコネクションも多く持っています。
また、住んでいる期間の長きにわたって、家の内外のデザインは満足を与えてくれます。以下は、他人の家でどこが気になるかというアンケートデータです。複数回答で77%が建物の形、デザイン、色と回答しています。
理想のお家探しなら、ハウジングステージ
注文住宅をお考えの方なら、今の設計トレンドや、各ハウスメーカーのデザインの特徴が気になることでしょう。住宅展示場なら最先端の技術を取り入れたモデルハウスを複数見学し、ご希望の方向性をまとめるうえでの参考にできます。
東京・埼玉・群馬など首都圏を中心に、多数の住宅展示場を開催するハウジングステージでは、最新のデザインや機能を備えた、一流ハウスメーカーのモデルハウスをご見学いただけます。
まとめ
設計料(設計監理料)とは何か、算出方法や目安となる相場、見積の事例などを解説しました。
工務店やハウスメーカーでの設計やセミオーダーを考えていた方も、設計事務所への依頼を検討してみることもおすすめします。価格や性能以外の検討軸で、家づくりを考えるきっかけになるのではないでしょうか。
執筆・情報提供
滋野 陽造
マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産投資に従事。
実務経験をもとに、不動産の購入・売却、住まいの知恵、暮らしの法令などのジャンルを中心に記事の執筆を行う。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。