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コラム

2024.12.03

鉄骨造(S造)とは?その種類や耐用年数、メリット・デメリットを紹介

シリーズ:鉄骨

注文住宅のカタログに、「構造:S造」など書かれていることがあり、疑問に思ったことはないでしょうか。住宅を建てる際の構造は、建材や工法でいくつかに分類され、鉄骨造(S造)もその一つです。

家は構造によって快適性や耐久性など、それぞれが特徴を持ち、どれを選ぶかは施主の考え方によります。今回は、鉄骨造(S造)とは何か、その種類や耐用年数、メリット・デメリットなどをご紹介します。

INDEX

鉄骨造(S造)とはどのような建物?

鉄骨造(読み方:てっこつぞう)はS造(読み方:えすぞう)ともいい、鉄骨を基礎からの骨組みに用いた建物構造の総称です。Sはスティール(鋼)の略で、実際には鉄ではなく鉄に炭素を配合した合金である鋼を使うため、こう呼ばれます。

アパート、マンション、ビルなど大きめの建物に用いられますが、一戸建ての建築でもS造の建物は多くあります。

建物の構造は鉄骨造(S造)以外にも木造(W造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)などがそれぞれの特長を活かして用いられる形です。

木造(W造)との違い

木造はS造と異なり、骨組みや主な構造部分に木材を使用します。木を用いた建物ですが、近年は耐震性・耐火性・気密断熱などの省エネルギー性能に優れた建物が増え、コストパフォーマンスが上がりました。

木造には主に軸組構造・ツーバイフォー構造・丸太組構造の3つがあり、もっとも普及しているのは日本の伝統的な工法で用いられる軸組構造です。

ツーバイフォーは北米で開発され、耐震性や気密度の高さが評価されています。丸太組は丸太状の木材を組み合わせて作る構造を指します。

鉄筋コンクリート造(RC造)との違い

鉄筋コンクリート造(RC造)は鉄骨ではなく写真のような鉄筋をコンクリートで覆ったものを主要構造のほか、床や壁にも用いる構造です。鉄筋とコンクリートの性質の良い部分が補完し合って強度を構成します。

10階建てくらいまでの中高層マンションやビルの建築に多く利用されますが、鉄骨造と比べて建築コストは高くなりがちです。反面、鉄骨造よりも耐久性や耐火性、静粛性が優れています。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)との違い

超高層ビルや大型施設などには、鉄骨鉄筋コンクリートの構造が用いられます。文字通り鉄骨と鉄筋コンクリートの構造を組み合わせたもので、もっとも耐久性の高い、頑丈な建物を作ることができます。

工程が複雑で長期化することから、もっともコストの高い構造です。

戸建て住宅の建築には、主として鉄骨造か木造が用いられ、それぞれのメーカーや工務店が耐久性のほか快適性、省エネルギー性能などの向上を競っています。

鉄骨造(S造)の種類とそれぞれの違い

鉄骨造の中でも下記の2つの種類があり、どちらの住宅用に用いられます。

  • ● 重量鉄骨造
  • ● 軽量鉄骨造

この項では鉄骨造(S造)の種類について解説します。

重量鉄骨造

重量鉄骨造はビルやマンションで用いられますが、旭化成やダイワハウスほかが住宅の構造として採用し、人気を集めています。

重量鉄骨は鋼材の厚さが6ミリメートル以上のものをいい、それ以下の厚みのものを次項の軽量鉄骨に分類します。重量鉄骨は下図のように厚みだけでなく幅もあるH型断面の鋼材を使うのが特徴です。ラーメン構造※という、柱と梁のみで建物の重さを支える建築が可能になります。

※ラーメンはドイツ語で「枠」

太くてしっかりした鉄骨を使うため、間に入れる部材が少なくて済み、広くて境目のないリビングや大きな窓などで、開放感のある間取りを実現しやすくなります。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造は厚さ6ミリメートル以下の主に無塗装の鋼材を張り巡らせ、木造軸組工法のような柱、梁、筋交いで構成する工法です。

プレハブ工法といって、設計に沿った部材を工場であらかじめ大量生産できるため、安定した品質で工期も短く、重量鉄骨造に比べてコストを抑えながら高品質な施工が可能になっています。

鉄骨造(S造)のメリット

この項では、鉄骨造(S造)の以下のようなメリットをご確認ください。

  • ● 耐用年数が長い
  • ● 建築費を抑えることができる
  • ● 品質を担保しやすい

耐用年数が長い

耐用年数とは、資産としての建物の減価償却の計算に用いられる基準です。年数が長いほど建物は長持ちするという評価になります。以下の表は、建物の構造別に基準となる耐用年数と寿命を示しています。

建物構造別の耐用年数と寿命

木造(W造 鉄骨造(S造) 鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
法定耐用年数
(住宅用建物)
22年 重量鉄骨造 34年
軽量鉄骨造 27年
47年
建物躯体の寿命の目安 40~50年 60~70年 100年以上

出典:減価償却資産の耐用年数(東京都主税局)

鉄骨造の基準は、重量鉄骨造で34年、軽量鉄骨造で27年となっています。この年数を過ぎると建物の法的な価値はなくなることを意味します。しかし、耐用年数が建物の使用基準ではありません。

表の下部「建物躯体の寿命の目安」では、鉄骨造の寿命の目安は60~70年にもなっています。これは、メンテナンスをしていればこの年数まで使い続けられる可能性があるという意味です。

建物は雨や風、紫外線の影響を受け続けるため、耐久性のある建材を使用し、メンテナンスを行ったほうが、より長く使い続けられます。

木造も40~50年と比較的長く、奈良県の法隆寺のように1300年以上寿命を保つことも。しかし木造の場合、周囲の環境や建物の使い方に寿命が大きく左右されるため、鉄骨構造のほうが安定した耐久性を発揮できるといえるでしょう。

建築費を抑えることができる

下記のように鉄骨造は高い耐久性を持ちながら、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と比較して、建築費用が安いといえます。

構造別の工事費用(全国平均)

構造 1m2当たりの工事費用(全国平均)
木造(W造) 20万7,000円
鉄骨造(S造) 29万4,000円
鉄筋コンクリート造(RC造) 30万4,000円
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 31万8,000円

出典:令和6年 地域別・構造別の工事費用(国税庁)

また、現在は木材の高騰が続く関係で木造の建築費が上昇し、鉄骨造との差が小さくなる傾向にあります。

※上記の工事費用は毎年変動するので、常に最新のデータをご参照ください。

さらに、建物は構造によって初期費用だけでなく、固定資産税の評価も変わります。木造より鉄骨、鉄骨よりも鉄筋コンクリートが高額となりますので、コストパフォーマンスを考えて選ぶことも大切でしょう。

品質を担保しやすい

木造の軸組工法や、鉄筋コンクリート造は、現場作業の質によって建物の品質が左右されやすくなります。

現場で木材を加工したり、鉄筋を組んでコンクリートを流す作業を行ったりするためです。また、木材は乾燥度ほかの品質を均一にそろえるのは難しく、その扱いは経験から培われた職人のスキルに頼る面があります。

ツーバイフォーの場合も木材のプレカットは工場でできても、組んでいく作業はできばえの差が起こり得るでしょう。

工業製品に近い鉄骨の場合は、電子制御された機器で生産され、製造公差のほとんどない部材で、最終組み立てのみを現場で行うため、品質の安定した建築が可能です。

鉄骨造(S造)のデメリット

続いて鉄骨造(S造)のデメリットにはどのような欠点があるでしょうか。以下をチェックしましょう。

  • ● 火や熱に弱い
  • ● 防音性は低め

火や熱に弱い

鉄骨は、通常の状態では強度が高く変形しにくい建材です。しかし、火災に遭うなどで強い熱にさらされたときに熱を伝えやすく、炎と熱で曲がる、強度が下がるなど、傷みやすい性質があります。

防火地域・準防火地域などで行うように、鉄骨にグラスウールや発泡ウレタンの防火被覆をしっかり行うことで安心度は高まりますが、建築コストはそれだけ上昇せざるをえません。

熱を伝えやすいということは、暑さを屋内に伝えたり、暖房の温度を外に逃がしたりすること=断熱性が低いことにもつながっています。エコ性能や快適性を高めるためにも、断熱目的のグラスウール・発泡ウレタンの施工も大切です。

防音性は低め

鉄骨は熱と同様に、音も伝えやすいという欠点があります。施工時から防音を意識した対策を行うことがおすすめです。戸建て住宅の場合、うるさいと意識することが多いのは、隣の部屋の生活音でしょう。

防音対策として、壁の中の密度を上げていく方法をとります。壁に防音シート(吸音・遮音材)を施工する、床板を合板でなくALCパネルを使用する、あるいは梁の上に鉄筋コンクリートを施工する湿式工法で遮音性を高める方法などがあります。

また、日常でも家の中で音が気になる場合、以下の対策が可能です。

  • ● 床へ防音マットや敷物を敷く
  • ● スリッパをはく
  • ● テーブルやいすの足にフェルトを貼る
  • ● 洗濯機や冷蔵庫に防振マットをつける

構造によって耐震性は異なる?

耐震性についてはどうでしょうか。木造よりも丈夫そうなイメージがありますが、耐震等級が同じであれば、構造に関係なく同様の耐震強度を持ちます。

直近の建築基準法では、住宅はその構造を問わず、震度6強から震度7くらいの地震で倒壊しない強度を確保するよう規定されています。

しかし、これは建物が倒壊しないことで人に被害が及ばないための基準です。建物の構造によって倒壊した場合の被害状況は異なります。

鉄骨造の場合は鋼の粘りの特性で揺れによる倒壊にはよく耐えるのですが、建物自体の揺れは大きく、火災が起きた場合は熱による鉄骨の強度低下で倒壊のリスクが高まるとされます。

関連記事:
耐震性能の指標と言われる耐震等級とは?耐震基準との違いやメリットを解説!|住宅展示場のハウジングステージ

まとめ

鉄骨造(S造)とは何か、その種類や耐用年数、メリット・デメリットなどをご紹介しました。

家づくりに選ぶ構造は、本記事でご紹介した基準のほかに予算や立地における風土の特性、選びたい建築会社などによっても左右されるでしょう。

好みのほかにデザイン、快適性、エコ性能、耐久性、寿命、コストパフォーマンス、資産性などから優先順位を付けて考える必要があります。面倒ではありますが、ご家族に合った正解を見つけてください。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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