2025.01.09
ハウスメーカーと工務店の違いとは?メリット・デメリットや選び方を解説
家づくりの代表的な依頼先として、ハウスメーカーと工務店があります。この2つは双方に特徴があり、魅力も注意点もあるため、比較したうえでどちらに建築を頼むのかを迷ってしまいがちです。
本記事ではハウスメーカーと工務店の違いとは何か、それぞれのメリット・デメリットや選び方を解説します。両者の大まかな違いをつかんで、ご家族に合った依頼先の選び方を検討してください。
INDEX
家を建てる際の依頼先とは?
この項では、テーマに取り上げたハウスメーカーと工務店に設計事務所を加えて、それぞれの成り立ちや基本的な特色をご紹介します。家を設計して建てる目的は同じでも、これだけの違いがあります。
①ハウスメーカー
ハウスメーカーは自社ブランドの商品を持ち、設計施工で広域展開している会社です。対応エリアが広く会社の規模は大きく、知名度が高いのも特徴でしょう。テレビや新聞などの媒体に広告を打つこともあります。
顧客のさまざまなニーズに合わせた豊富な商品ラインアップから選択可能です。
②工務店
工務店は地域密着で住宅を建築する会社です。会社は小規模なところが多く、対応エリアは狭いですが、増改築なども含めて施主の細かい要望に対応しやすいです。宣伝活動はあまり行わず、評判がインターネット上では分かりにくい面があります。
③設計事務所
設計事務所は住宅の間取りや外構の設計と、施工時の設計監理に特化した会社です。施工については提携している工務店に依頼して行うことが多いでしょう。
狭小地や変形地など制約の多い土地に、施主の希望を満たした設計を提案するような仕事が得意です。特定の設計士の仕事が評価されて、別の顧客から依頼を受けるような受注ルートも、設計事務所ならではといえます。
ハウスメーカーと工務店の違い・メリットデメリットについて
この項では、ハウスメーカーと工務店の違いを、以下の6つの観点から比較して、それぞれの強みを解説します。
- ● 施工エリアの広さ
- ● 価格帯
- ● 安心感・安定性
- ● 自由度の高さ
- ● アフターフォローの手厚さ
- ● 密なコミュニケーションの取りやすさ
以下はハウスメーカーと工務店のシェアに関するデータです。ハウスメーカー6割弱・工務店4割弱と、小規模の工務店が健闘しているように感じられます。
施工エリアの広さ
近年は深刻な職人不足から、ハウスメーカーも工務店も、エリア外の仕事は受けるのが難しいといえるでしょう。
ハウスメーカーは全国どこにでも支店がある会社が多く、「この商品で建てたい」という場合、最寄りの支店に相談すれば希望が叶いやすいといえます。
工務店の場合は拠点から離れた現場を持つことは効率が悪くなるため、展開エリアに制約があります。「ここで建てたい」と思っても、離れたエリアの仕事は受けられない場合があるのはそのためです。
したがって工務店の場合は、建てたいエリア内から依頼先を探すことが必要になります。
価格帯
価格帯はハウスメーカーより工務店のほうが低めになっていることが多いです。資材調達コストや広告宣伝費、人件費など経費の内訳が違い過ぎるので、いちがいに同クオリティでどちらが安いということはいえません。
しかし工務店は資材の共同調達、フランチャイズや下請けで、弱点をカバーするところが増えています。したがって宣伝費や人件費の負担が大きいハウスメーカーに比べ、現在は工務店のほうが、コストダウンに有利な要素が大きいかもしれません。
ハウスメーカーは一定規模以上の分譲地の展示会などでは、都度宅建資格のある従業員を配置する必要があり、そのための人件費も確保している必要があります。丁寧な接客が可能となるかわりに、出費も大きいのです。
安心感・安定性
この項目はハウスメーカーが有利です。まず設計や建材の加工・維持管理の正確さは大量発注・大量生産の強みが発揮されます。問題が発見された場合は速やかに改善されて品質の安定度が高められます。
同様に職人の施工レベルの均一さ、工期の見積もりの正確性もハウスメーカーの強みとなるでしょう。
また、会社の規模が大きければ倒産や廃業がしにくいであろう点も、大手のハウスメーカーの安心ポイントです。ただし新築で起きた債務の不履行(引き渡しができない)や不具合の発覚に関しては、法令に基づいた住宅完成保証制度の利用ができます。
工務店に関してこれらの要素は、会社ごとや現場を担当する職人によって大きく開きがあるところです。
自由度の高さ
設計プラン・施工の自由度の高さは、工務店に強みがあります。とくに木造の在来工法(軸組工法)の場合は施工上の制約が少なく、自由な寸法の間取りが実現できます。
建材の発注も自由度が高く、現場での加工のウエイトが大きいため、施工時も柔軟な対応が可能な場合があるでしょう。
一方ハウスメーカーの場合、大量発注・大量生産によるコスト管理と品質の安定に重きを置くため、基本となるプランにオプションを付加するセミオーダーか、規格住宅が商品の主流です。たとえば壁の素材や色、設備のグレードなどで違いを出すのが一般的なセミオーダーです。
規格住宅のプラン自体が良くできているため、こだわりがなくお任せに近い依頼がしたい人には向いているともいえます。
アフターフォローの手厚さ
アフターフォローはどちらが手厚いかは、どちらにもメリットがあるというのが答えになります。
ハウスメーカーの場合、定期点検や無料対応期間が当初から厚めに設けられ、マニュアルに合わせて安定したメンテナンスを長期的に受けることができます。
補修用の建材や設備が比較的長く在庫保管されている点も安心ですが、反面有料となったあとの修繕費用は高めです。
工務店の場合、トラブルや細かい不具合に応じて柔軟な対応が得られ、地域密着のメリットで相談しやすい点が魅力となります。反面会社の規模や人手不足から、修繕工事は対応までにやや時間がかかる場合もあるでしょう。
密なコミュニケーションの取りやすさ
コミュニケーションの取りやすさは工務店のほうが有利かもしれません。地域密着で距離が近いだけでなく、分業度が低いため施工中も現場にダイレクトに意見が通りやすい傾向があります。
アフターフォローの際も施工時と同じ担当者が、長く面倒を見てくれる可能性が高くなります。
大企業であることも多いハウスメーカーは、竣工後の人事異動で別の担当者が窓口となることも多いです。サービス内容自体は均一ですが、人付き合いは新しく始まる形になるでしょう。
ハウスメーカーと工務店の傾向の違い
ハウスメーカー | 工務店 | |
---|---|---|
施工エリアの広さ | 全国各地 | 都道府県内、近隣の市町村 |
価格帯 | 高めになる | 価格を抑えられる |
安心感・安定性 | 平均的に高い | 依頼先によって変わる |
住宅プランの自由度 | 低い・既存の商品から選択 | 高い・間取りから自由設計しやすい |
アフターフォローの手厚さ | 安定したサービスが受けられる | 会社ごとにバラつきがある |
コミュニケーションの取りやすさ | 同じ担当者が長く対応するのは難しい | 地域密着で相談しやすい |
※上記はあくまで傾向です。
ハウスメーカーと工務店、どちらを選べばいい?
ここで、本記事の整理を兼ねてハウスメーカーに向く人と工務店に向く人、どのような人がどちらを選べばいいかをご案内します。
安心感を重視する場合はハウスメーカーがおすすめ
ハウスメーカーは、数多い施工経験のノウハウをもとに得た平均的な良さを形にして、安定した品質の家づくりが期待できます。工期も安定していて、アフターフォローも計画的に行われるでしょう。
そのため、間取りやデザインなどに対する深いこだわりよりも、安定感や安心感を優先した家づくりを目指したい人に向いているといえるでしょう。
費用・設計の自由度にこだわるなら工務店がおすすめ
工務店は、地域密着で地元の風土をよく知った快適な住まいづくりとプランの自由度、竣工後も気軽にさまざまな相談がしやすい会社が多いです。
決まった予算の中から、少しでも自分と家族の理想に近い家づくりを目指したい人におすすめでしょう。
以下は、家づくりをした人に、ハウスメーカーと工務店それぞれを選んだ理由を聞いたものです。「職人気質」や「情報を得やすい」など、本記事では取り上げていない項目も目を惹きます。
家を買うなら、モデルハウスを見学しませんか?
マイホームの検討の際は、最新の家づくりを体感するのをおすすめします。Webサイトの情報や口コミだけではつかみづらい点も、展示場で実物を見学することで、新しい生活の良さを知るための助けとなるでしょう。
東京・埼玉・群馬など首都圏を中心に、多数の住宅展示場を開催するハウジングステージでは、最新の機能や快適性、エコ性能を持つ一流ハウスメーカーのモデルハウスをご見学いただけます。事前ご予約で、住まいづくりのご相談を承ります。
まとめ
ハウスメーカーと工務店の違いとは何か、それぞれのメリット・デメリットや選び方を解説しました。それぞれの類型的な特徴の違いはお伝えした通りです。しかし会社によってもそれぞれ特色があり、工務店寄りのハウスメーカー・ハウスメーカー寄りの工務店も存在します。
セミオーダー的な要素があっても、その内容が気に入ればハウスメーカーを選んだり、アフターフォローが手厚い工務店を選んだりという選択肢もありうるのです。
最終的な決め手を、商品の良さや担当者・設計者との相性の観点から見直すことも良いかもしれません。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。