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家づくりの雑学

2025.01.09

ALC造とは何?特徴やRC造との違い、メリット・デメリットを徹底解説

本記事ではALC造とは何か、特徴やRC造との違い、メリット・デメリットなどを解説します。ALCとは発砲コンクリートのことです。では、どんな特徴を持った家なのでしょうか。ほかの建材や構造との比較も行いますので、住まいづくりの参考にしてください。

INDEX

ALCとは?

コンクリートを特殊な製法で発砲させて気泡の多い素材に変成させたALCは、もとのセメントなどとはまるで違う性質を持つ素材で、断熱・軽さ・遮音など多くの面で優れた壁材です。

セメントや珪石、石灰などを主原料に、高温高圧蒸気で処理されて作られるパネルですが、補強のために鉄筋も使用されています。

日本ではへーベルなどの商品名で知られていますが、製造メーカーがそれぞれ技術を投入し、優れた特色を持つパネルが生産されている状況です。

ALC造の建物の特徴

ALC造と表記されている建物は、骨組みは木造や鉄骨であることが多く、ALCは外壁や間仕切り壁、床材などに用いられています。

個人の住宅のほか、小規模の賃貸住宅などに用いられる建材で、工場生産できるためコストが下げられ、工作精度が高いのも特徴です。ただし現場での加工を行うことはあまりなく、柔軟な設計や間取りには向きません。

構造部分は鉄骨や木造で、パネルの中には鉄筋が入っているため、鉄骨やRCと同じような特徴があると思いがちです。しかし発泡コンクリートの優れた性質から、ALCならではの独自のメリットを発揮しています。

ALC造のメリットとは?

この項では、ALCで作る建物の具体的なメリットを解説します。ALCは圧倒的な耐久性だけではなく、住んで快適な要素を多く持つ建材です。

①耐火性が高い

ALCの主原料である珪石とセメントはどちらも不燃材料で、燃える可能性のかなり低い材質です。火災となっても燃えたり焼け落ちたりするにはかなりの時間がかかり、避難時間や消火時間の確保がしやすいといえるでしょう。

避難や消火に時間がとれるということは、命や財産も守りやすいことにつながります。

②防音性能がある

気泡を多く含むことで、ALCは音を伝えにくい性質が特徴です。したがって通常の木造や軽量鉄骨造に比べて音が伝わりにくく、隣室や戸外からの音が聞こえにくくなり、快適性がアップするでしょう。

ALCパネル自体は防音材に使われるほどの遮音性があるものの、ALC造の防音性は重量鉄骨と軽量鉄骨の中間くらいで、遮音等級を示すL値ではL-60~65くらいといわれています。

本格的な防音を実現したい場合は、パネルの厚みをしっかりとり、2枚張りにするなどで効果を高めることができるでしょう。

③調湿性能がある

ALCパネルは調湿性能を持ち、お部屋の余分な湿度を吸収するほか、乾燥時には湿度を補ってくれる効果があります。

ちょうど良い湿度は暮らしの快適性が高まるうえに、カビ・アレルギーの原因となる結露が起こりにくくなるのもメリットです。

ただしこの湿度調整は、高温多湿などで飽和状態になると利かなくなるため、空調や通風で補いながらうまく利用しましょう。

④耐久性が高い

ALCは木材や紙など、経年変化を起こしやすい素材を含まず、長く使用しても性質が安定しています。また、熱や水にも強くひび割れも起きにくいことからも、耐久性の高い素材です。

そのため、交換メンテナンスの周期をとても長くとれることもメリットの一つでしょう。

以下は外壁の素材別の平均的な耐久年数です。ALCの外壁は圧倒的な長寿命という点が分かります。

さらに、メンテナンスの周期も以下のように20年周期で塗装のみと、非常に管理がしやすい素材です。

ALC構造にはデメリットも

メリットが数多くあるALCですが、デメリットはどのような点でしょうか。

①水に弱い

メリットの項で水に強いと書きましたが、それには条件があります。パネルの外側が塗装やシーリングなどでしっかりメンテナンスされていることです。

パネル内部に水分が浸透すると、吸水性が高いため、鉄骨などの構造部やパネル内の鉄筋を腐食させる可能性があります。内部に入り込んだ水分は、寒冷地では凍結によってパネルのひび割れにつながることもあり、要注意です。

内壁側のパネルの状態によっては、床上浸水などの災害に遭った場合、しっかりメンテナンスを行う必要が生じる場合があるでしょう。

②建築費用が高くなりがち

施工にあたって、サイディングは1平方メートルあたり3,000〜5,000円であるのに対し、ALCパネルの場合は7,000〜1万5,000円と2〜3倍 の価格差があります。

ただし、メンテナンスのコストはALCのほうが安価でしょう。

塗装工事のコストは差がないと考えて良いかもしれません。

しかし金属サイディングの張り替え工事を20年おきに実施した場合、その都度約150~270万円 の費用がかかります。これを2~3回行う間にALCが交換不要だとすれば、長い目で見たコストは逆転する可能性があるでしょう。

ALC造とその他構造の違い

前述のように、ALCは構造材ではないため、おもに鉄骨造の一種として扱われることもあります。しかし一般的に鉄骨造や鉄筋コンクリート造とは別に表記され、特色も異なる建築です。

本項では、ALC造とその他の構造の違いについて確認してください。

各種構造の比較

ALC造 RC造 SRC造 鉄骨造 木造
構造・工法 外壁にALC
骨組みは鉄骨造や木造
鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄骨造 木造
向いている建物 個人の住宅・小規模の賃貸住宅 マンション タワーマンション・高層ビル 個人の住宅・小規模な賃貸住宅 個人の住宅
コスト 比較的低い 高い 高い 低い 低い
工期 比較的短期間 長期間 長期間 短期間 施工方式や施工会社による

RC造との違い

RC造は、鉄筋コンクリート造ともいい、補強のための鉄筋をコンクリートで包み込む構造です。2つの素材の組み合わせで引っ張りと圧縮の両方に強く、高い強度と耐久性を持つ建物となります。

ALCと比べた利点は強度と、現場で型枠に流して作るためデザインの自由度が高いことでしょう。強度の高さは、戸数の多いマンションなどの大規模な建築物にも対応します。

反面、もとの素材は似通っていても、気泡で軽量化したALCに比べて建物の自重が重くなることは避けられません。しっかりした基礎や地盤改良、耐震構造などが求められることと、熱伝導率ではALCの10倍 となるため、断熱性の確保も課題となります。

SRC造との違い

鉄筋コンクリート造にさらに鉄骨を加えたSRC造は、鉄骨鉄筋コンクリート造の略です。鉄筋コンクリートと鉄骨の組み合わせは強度としては最強で、タワーマンションや超高層ビルの建築に使われています。

しかし超高層建築は相応に建物が重くなるため、タワーマンション では外壁にALCを使ったALC造の採用が増えているのです。この場合地震や強風の揺れでパネル間のコーキングに問題が発生すると、外壁からの漏水が起き、補修工事に費用と手間を要するという課題が生じています。

SRCはその強度から柱が少なくて済み、広いひとつながりの空間を作りやすいのもメリットですが、反面規格のある鉄骨を使うことで、デザインには制約が出ることがあるのが難点でしょう。

工期が長く建築コストがかかるSRCと比較した場合、工期が短く、コストも抑え気味にでき、小規模な集合住宅や個人の住宅にも向くのがALCの利点です。

鉄骨造との違い

ALCも構造は鉄骨であることが多く、鉄骨造との比較は壁材や床材の違いとなります。

たとえばサイディングとの比較では、前述のメンテナンスの手間やコストの少なさのほか、断熱性や遮音性の向上が、ALCのメリットとなるでしょう。

逆に施工時のコスト面ではサイディングが有利です。

ALC造の住宅における注意点

では実際にALC造を採用しようと決めた場合、何に注意すれば良いでしょうか。長寿で機能が安定しているALCのメリットを活かすためには、防水をしっかりすることが大切です。

施工会社の実績を確認する

ALCは施工の際の目地の処理に問題があると、新築当初から屋内に雨水が入り込み始める可能性があります。正しい施工で安心できる施工業者を探すことが大切です。

防水に問題があると、ALCの性質上毛細管現象 が起きます。家の内部に水分が入り込み構造材の傷みやカビを生じたり、凍結でALCパネルにひびが入ったりするのは、避けなければなりません。

ALCの施工数が多い、エーエルシーパネル施工技能検定の資格があるなどのチェックをすると良いでしょう。

エーエルシーパネル施工技能検定 は、ALC施工に携わる人たちの技能を一定の基準で評価・認定する国家検定制度です。

計画的なメンテナンスをする

ALCの表面のコーティングや目地のシーリングは、経年劣化で初期性能を果たせなくなります。

一応10年が目安ですが、計画的にメンテナンスの予算を計上しておき、時期が近くなったら早めの施工が必要ないか点検を行うのが良いでしょう。

大きめの地震や台風に伴う水害のあとも、防水性能が損なわれていないかチェックを行うことをおすすめします。

ALC造についてのよくある質問

ALC造の耐用年数は?

ALC造の法定耐用年数は、構造材に用いられている鉄骨や木造の耐用年数に準じ、軽量鉄骨で34年、木造で22年です。

しかし、ALCパネルを用いた鉄骨造住宅の実際の寿命は、正しいメンテナンスを行えば50年以上はあると考えられます。

ALC造の耐震性能は?

ALCはコンクリートより軽量なため、地震の揺れに伴う家屋の動きが少なくて済み、地震による倒壊や建物の損壊には強い面がある建材です。

建物の傾きや、ドアや窓が開かないなどの状況になれば修繕の費用が必要で、家の傾きや壊れがひどい場合全壊・建て替え扱いになることもあります。家が壊れないということも、資産保全のうえで大切なことです。

ただし、揺れによってパネルの目地に傷みが生じたり、パネルに亀裂ができたりした場合は、対応が必要となります。コーキングのやり直しなどのメンテナンスを速やかに行い、パネル内への浸水の被害を防ぐようにしましょう。

ALCと鉄筋コンクリートの違いは?

鉄筋コンクリートはALCよりも強度に優れ、デザインの自由度が高いことが利点です。

しかし気泡で軽量化したALCに比べて建物の自重が重くなるため、基礎や地盤改良、耐震対応などコストアップが不可避ことと、断熱性能ではALCのほうが10倍優れているため、断熱性の確保も課題となります。

家を買うなら、モデルハウスを見学しませんか?

マイホームの検討の際は、実物の建物を体感するのをおすすめします。Webサイトの情報や口コミだけではつかみづらい点も、展示場で実物を見学することで、新しい生活の良さを知るための助けとなるでしょう。

東京・埼玉・群馬など首都圏を中心に、多数の住宅展示場を開催するハウジングステージでは、最新の機能や構造を持つ一流ハウスメーカーのモデルハウスをご見学いただけます。

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まとめ

ALC造とは何か、特徴やRC造との違い、メリット・デメリットを解説しました。

長期優良住宅の推奨なども背景に、今後は住まいを次世代まで引き継ぐような使い方も増えてくる可能性があるでしょう。

ALC造の家は、塗装やシーリングなどのメンテナンスさえ正しく行っていれば、80年以上の長寿命も実現可能な構造といわれています。

将来のことは分かりませんが、ご家族の話し合いでそのような住まいの継承や、二世帯住宅利用のリレーを行っていくことを考えるのも、良いかもしれません。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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