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家づくりの雑学

2025.02.04

長期優良住宅とは?メリット・デメリット・認定申請の流れを紹介

これから家づくりをする際に気になるのが「長期優良住宅」です。最新の住宅性能の基準を満たすと税金などの優遇が受けられる、ということくらいは知っていても、具体的に何をすれば良いのか、デメリットはないのかなど、一般的には深く知られていません。

長期優良住宅には、クリアしなければならない審査や、考慮する必要があるメリット・デメリットが存在します。

本記事では、長期優良住宅とはどのようなものか、メリット・デメリットや認定申請の流れについて、2025年最新の情報をご紹介しますので、参考にしてください。

INDEX

長期優良住宅とは何か

長期優良住宅とは「長く良好な状態で住み続けられる、性能の高い住宅」を指します。その基準は「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」で定義され、以下の内容が大きな方向での指針です。

  • ● 長期に使用するための構造および設備
  • ● 一定以上の住戸面積
  • ● 居住環境などへの配慮
  • ● 自然災害への配慮
  • ● 維持保全の期間、方法を定めている

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅のメリットは、良い家づくりの指針と金銭的なメリットの2つです。

以下は国土交通省による、長期優良住宅に関する意識調査の結果です。「長期優良住宅にした理由は?」という設問に対する回答で、住宅性能自体をアップできる点が最多となっています。

快適・安心・経済的な家を長く使える

高い性能を持ち、長く住み続けられる家を建てられる点が、暮らしのうえでのメリットです。

例として、高い耐震性は命を守るほか、壊れない建物は長く使用可能です。また、断熱性能の高い家はエアコンの効きが良く、少ない電気料金で快適に過ごせるだけでなく、環境にも優しいことになります。

さらに、温度変化の少ない家は心臓、脳、呼吸器などの疾患発病・死亡のリスクが下がるという調査結果 があり、健康維持にも必要な仕様です。

計画的な修繕は、都度コストはかかりますが、結果として必要なメンテナンスを放置した場合よりも金額が抑えられ、快適性や家の寿命も担保されます。

そして、長く使える家はその資産価値もキープしやすいでしょう。

住宅ローン控除を優遇される

住宅ローンの対象となる借入金の限度額は2024年以降の入居で、長期優良住宅が4,500万円までで、省エネ住宅性能帝王のない住宅は控除がなくなります。

現行の住宅ローン控除は、2025年12月31日までの入居で新築の住宅ローン借入を行った場合、年末ローン残高の0.7%が所得税・住民税から13年間控除される制度です。

たとえば同じ5,000万円の予算で購入し、2,000万円の優遇差があると、10年間の控除額の差は182万円ほどとなる計算です。

投資型減税が受けられる

旧宅を売って、あるいは自己資金で現金購入して住宅ローンを利用しなかった人も、投資型減税の恩恵を受けることが可能です。

投資型減税では、住宅の構造に関わらず45,300円に家屋の床面積を乗じて得た金額の10%相当額(上限:65万円)が所得税から控除されます。

最大13回控除が設定される住宅ローン控除とは異なり、控除対象は1回です。掛かり増し費用の上限は650万円に設定されており、最大で65万円の控除が受けられることになるでしょう。

住宅ローン金利が優遇される

長期固定金利の「フラット35」を利用して借入する場合、長期優良住宅は金利が優遇されます。長期優良住宅はフラット35S(省エネ性や耐震性などに優れた質の高い住宅の購入が基準)の利用対象です。

フラット35Sは金利 引き下げ期間が5年設けられ、金利Aプランで年0.5%、金利Bプランで年0.25%分引き下げとなります。

固定金利は変動金利より高めに設定されますが、利上げの可能性が繰り返しいわれる昨今、注目を集める返済方法です。上記の金利優遇でいくらの利息が節約できるか、一般住宅・変動金利などのケースと比較してシミュレーションしてみましょう。

また、長期優良住宅の場合は返済期間50年で、売却時に購入者にローンを引き継ぎできる「フラット50 」などの好条件なローンを組むこともできます。

地域型住宅グリーン化事業の補助金が受けられる場合も

木造の長期優良住宅を、地域型住宅グリーン化事業 の採択を受けたグループの中小工務店で建てると、最大140万円の補助金を受けられます。(2024年実績)

地域での事業の有無、グループに所属する工務店などは年度によって変わるため、最新情報を確認しましょう。

長期優良住宅は、新築の施工前に申請するもので、これは中古住宅では享受できないメリットといえます。また、賃貸住宅で住宅性能をうたった商品も出始めていますが、オーナーは申請する意味合いが薄く、持ち家の方に得られる住宅性能の享受ともいえるでしょう。

このほか、地震保険料が安くなる、固定資産税減税期間の延長、登録免許税の税率引き下げなどのメリットもあります。

長期優良住宅のデメリット

メリットが多数ある反面、長期優良住宅は建築の金額と手間、時間などが一般的な住宅建築よりもかかってしまう点に留意する必要があります。

建築費用が上がる場合も

認定基準を満たすために、長期優良住宅以外の仕様に比較して優良な建材の使用や、工期の長期化に伴う人件費などのコストアップが生じることがあります。

耐震性や断熱性などの住宅性能向上のために、価値あることではありますが、建築の初期費用は、価格上昇分の予算確保が必要でしょう。

着工までに時間がかかる

長期優良住宅の申請は着工前に行うため、所定の手順に沿って進むとそれだけで時間や手間を要します。通常の着工前期間より、1週間から1か月ほど期間が延びると考えましょう。

申請内容に間違いや足りない部分など、不備があった場合、是正などにさらに時間を要します。所管行政庁に期間短縮を依頼することはできないため、丁寧な申請準備を心がけましょう。

申請費用がかかる

申請・審査のための費用は所管行政庁によって異なりますが、5~6万円ほどです。しかし知識や経験が必要なため、施工会社に依頼することが多く、その手数料も含めて20~30万円の費用がかかると考えましょう。

このほか、認定基準に沿った計画通りの維持保全を怠ると、認定を取り消される場合があるので、定期点検を欠かすことができない点にも、要注意です。

定期点検が欠かせない

長期優良住宅は、住み始めてからも維持保全していくのが認定の前提なので、建築前に提出した維持保全計画に沿った点検を行わない場合、認定を取り消される可能性もあります。

このため、点検やメンテナンスのコストは必要経費と考えて出費を継続し、途中で止めるわけにはいきません。

長期優良住宅の認定を受けるための基準

この項では、長期優良住宅の認定基準の詳細について、ご説明します。8つの評価項目の要約は以下です。

新築一戸建て住宅が満たすべき8つの評価項目等

項目 内容
1. 劣化対策 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること
2. 耐震性 極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること
3. 維持管理・更新の容易性 設備配管について、維持管理を容易に行うために必要な措置が講じられていること
4. 省エネルギー性 必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること
5. 居住環境への配慮 良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持および向上に配慮されたものであること
6. 住戸面積 良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
7. 維持保全計画 建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること
8. 災害配慮 自然災害による被害の発生の防止または軽減に配慮されたものであること

マンションなどの共同住宅の場合は、居住者に合わせた「可変性」や「高齢者等対策」も審査対象となります。

劣化対策

劣化対策等級(構造躯体等)「等級3」に該当し、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造などの構造別に応じた基準を満たす必要があります。数世代にわたって居住できることも基準です。

耐震性

住宅品質確保促進法(品確法)に定める免震建築物に該当するか、住宅の構造などが耐震等級1~3(倒壊等防止)で、次のいずれかに該当することが基準です。

  • ● 耐震等級2(階数が2以下の木造建築物等で壁量計算による場合にあっては等級3)
  • ● 耐震等級1 かつ 安全限界時の層間変形を1/100(木造の場合1/40)以下
  • ● 耐震等級1 かつ 各階の張り間方向及びけた行方向について所定の基準※2 に適合するもの(鉄筋コンクリート造等の場合に限る)
  • ● 品確法に定める免震建築物

耐震等級1 は、震度6強~7の阪神・淡路大震災や熊本大地震クラスの地震で倒壊しないレベル、等級2は等級1の1.25倍、等級3は等級1の1.5倍の地震に耐えられる基準となっています。

命を守ることはもちろん、大地震が起きたあとも、検査および軽微な修繕によって住み続けられることが、必要な要素です。

維持管理・更新の容易性

新築の戸建て住宅は、維持管理対策等級(専用配管)「等級3」が求められます。配管設備で耐用年数が短いものは、定期点検やメンテナンスが簡単に行えるような状況になっていることが基準です。

省エネルギー性

断熱等性能等級「等級5」と、一次エネルギー消費量等級「等級6」が基準です。この等級は気密性・断熱性などを高め、冷暖房などにおける省エネルギー性能を図るための指針となっています。

居住環境への配慮

景観計画・地区計画・建築協定・景観協定・条例のまちなみ等の計画などがある区域内の場合、これらの計画内容と調和をとる必要があります。長く機能する家として、住宅の良好な景観、地域のまちなみによる住環境の向上にかなっているかがポイントです。

住戸面積

良い居住水準の確保のために、75平方メートル以上の面積、階段部分を除いて1階の床面積が少なくとも40平方メートル以上と、一定以上の住戸面積が基準となります。

維持保全計画

住宅が長く使用できるように、以下の3点について定期点検や補修などの計画を立て、申請・遵守する必要があります。

  • ● 住宅の構造耐力上主要な部分
  • ● 住宅に設ける給水または排水のための設備
  • ● 住宅の雨水の浸入を防止する部分

災害配慮

エリアごとの災害が発生する危険性に応じて、所管行政庁の指定する措置をとることが基準です。たとえば 、土砂災害警戒区域に建築される場合、基礎および主要構造部は鉄筋コンクリート造またはこれに類する構造とすることなどが指定される可能性があります。

長期優良住宅の認定を受ける流れ

長期優良住宅の認定フローが複雑になる要因は、申請者(施主と施工会社)が、所管行政庁のほかに住宅性能評価機関(国土交通省登録制)の対応も必要なためです。認定を受けるための流れをご確認ください。

住宅性能評価機関に確認申請書を提出

認定手続きは、施主や施工会社が工事着手前に、住宅性能評価機関に対して必要書類を提出することで始まります。以下の書類提出が必要です。

  • ● 確認申請書または設計住宅性能評価申請書
  • ● 添付図書(設計内容説明書、各種図面、計算書など)

住宅性能評価機関から確認書などの交付を受ける

住宅性能評価機関による審査を経て基準を満たしていると判断されれば確認書、または住宅性能評価書(長期使用構造等であることの確認結果を記載)が発行されます。

所管行政庁に認定申請書を提出

つづいて、所管行政庁の適合審査を受けるために、以下の必要書類を提出します。

  • ● 認定申請書
  • ● 添付図書
    (住宅性能評価機関の確認書等、各種の図面、所管行政庁の求めによる図書)

この場合の所管行政庁とは 、建築主事または建築副主事を置くエリアでは市町村または特別区の長、建築主事・副主事のいない場合は都道府県知事を指します。

長期優良住宅の申請フロー

適合審査に合格し、所管行政庁から認定通知書が交付されることで着工します。交付前の着工でも、申請を着工前に行っていれば問題ありません。

長期優良住宅の認定取得のポイント

長期優良住宅の認定を受けるためには、メリット・デメリットをよく比較したうえで、後悔しない家づくりをしたいものです。

それには資金計画や希望の生活像と照らし合わせてみることが大切です。たとえば建築コストがより多くかかる長期優良住宅は、借入額が多くなって頭金の手配や返済月額に影響があります。

金融機関は、担保価値の高い長期優良住宅に対して金利の優遇だけでなく、借入額も枠が大きくなるかもしれません。しかしそれで月々の返済負担が大きくなるのは避けるべきでしょう。

また、住み替えの状況によっては、審査や施工で入居までに余計に日数を要する場合、仮住まいなどのコストや手間が増える可能性があります。

長期優良住宅には税制優遇や住まいのランニングコストなど、多くの費用削減要素もあるので、これらの点を比較のうえで、あらかじめ資金やスケジュールのめどを考えることをおすすめします。

家を買うなら、モデルハウスを見学しませんか?

長期優良住宅ののご検討の際は、建物の構造や設備の状態など、実物の建物を体感するのをおすすめします。Webサイトの情報や口コミだけではつかみづらい点も、展示場で実物を見学することで、新しい生活の良さを知るための助けとなるでしょう。

東京・埼玉・群馬など首都圏を中心に、多数の住宅展示場を開催するハウジングステージでは、最新の機能や構造を持つ一流ハウスメーカーのモデルハウスをご見学可能です。

見学WEBご予約で、長期優良住宅施工のご相談も可能です。WEBご予約は特典プレゼントもご用意しております。(実施期間と実施展示場

まとめ

長期優良住宅とはどのようなものか、メリット・デメリットや認定申請の流れをご紹介しました。

家づくりの際は、さまざまな家族のこだわりがあるものです。土地の立地、内外装、デザイン、生活動線の機能性、設備や外構など「これは譲れない」という点から選ぶことで、家の満足度が高まります。

長期優良住宅の認定がもたらすメリットの本質は、住宅性能にあります。「何にいくらお金をかけるか」というテーマの中で、住宅性能を優先したいという考え方は、より重視されても良いでしょう。

しかしそれにはその家をどこまで長く使いたいか、次世代まで引き継ぎ、売るときの資産価値も含めて考える必要があるかもしれません。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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