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住宅のマネーと制度

2025.02.04

輸入住宅とは?特徴・デメリット・費用目安を紹介

北欧やアメリカンカントリー調の家具に興味のある方にとって、輸入住宅は気になる存在ではないでしょうか。

日本で輸入住宅を建てたいと思いながら、コストやメンテナンス、日本の気候とのマッチなどを心配される声はよくあります。

そこで本記事では、輸入住宅の特徴やデメリット、費用の目安などをご紹介します。家のデザインのこだわりを考える参考にしてください。

INDEX

そもそも輸入住宅とは何か

輸入住宅とは、海外で設計された意匠や構造の建物をパッケージか資材単位で輸入して、日本国内で建築する住宅のことです。ヨーロッパといえば石造りの住宅を連想しますが、ドイツよりも北方の各国の木造資材を利用します。

北米や北欧のデザイン・間取りなど海外の住宅文化が日本で味わえ、日本での暮らしで優れている点も多いです。

下記は、輸入住宅の輸入元となる国の割合です。北米、カナダ、北欧が8割以上を占めています。

輸入国別割合(平成9年度)

輸入住宅のメリット

まず輸入住宅のメリットについて、工法や造作の角度からご説明します。

強固な構造

輸入住宅の主流を占める2×4(ツーバイフォー)工法は、国内ハウスメーカーの商品にも用いられている建物構造です。

木造住宅の工法としては木造軸組(在来)工法と並んで主流といえる構造ですが、軸組工法が柱や梁などの「軸」で建物を支えるのに対して、ツーバイフォーは「面」で支えます。

具体的には、断面が2インチ×4インチの角材と合板を接合した壁面や床を、面で組み合わせて建物を構成するものです。また、北欧では壁などの面だけで壁や床をつくり、接合して建物をつくります。

ツーバイフォー工法やパネル工法はモノコック構造(一体構造)と呼ばれ、壁全体が建物を支えることから地震などの揺れに強い特徴があります。

快適性・経済性に優れる

輸入住宅のモノコック構造の建物は、壁と柱のすき間が軸組工法に比べて少なく、気密性や断熱性にも優れた工法を用いています。

北欧や北米の寒冷地域で育まれたノウハウで、住まいの快適性と経済性を守ってくれるでしょう。

気密性や断熱性が高いと冷暖房効率も改善するため、光熱費のコストを下げられ、環境にも優しい家となります。

細部では3層ガラスや高密度の断熱で改正省エネ法をクリアし、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)にも対応可能です。また、厚手の材木を使用している場合は、防火性能にも優れた家にすることができます。

輸入住宅の建築費用目安

輸入住宅の建築費用は、本来は国内商品と大きく変わるものではありません。ウッドショックをはじめとする建材高騰は、国内商品も同じだからです。しかし為替レートが円安な点は不利といえるでしょう。

実際に輸入住宅は、坪単価40万円前後からの建築が可能になっています。坪数ごとの価格比較は以下です。

10坪 約600~900万円
20坪 約1200~1800万 円
30坪 約1800~2700万 円
40坪 約2400~3600万 円
50坪 約3000~4500万 円
60坪 約3600~5400万 円
70坪 約4200~6300万 円
80坪 約4800~7200万 円

しかし以下のような仕様を取り入れる場合は、オプション扱いで追加費用がかかることがあります。

仕様 内容 追加費用目安
システムキッチン⇒オーダーキッチン 扉やワークトップ変更、輸入部品取り付けなど 約40万円~
通常の部屋⇒パノラマ 多角形に張り出した部屋にする 約40万円~
金属や樹脂のサッシ⇒木製に変更 60cm×120cm程度の上げ下げ窓の場合 1箇所2万円~
階段をサーキュラー階段に変更 曲線を描いた回り階段をつくる 30~300万円前後
ビニールクロス⇒塗り壁 材料費アップ・工期延長 1㎡で3,000~5,000円

たとえば、数年以内に家づくりを考えるという状況であれば、為替レートを見極めたうえで円高のタイミングを狙って購入することで、コストカットの一つの手段になります。

ただし、いつ、どのくらいの期間の為替レートが契約時の住宅価格に反映されるのか、メーカーの担当者と事前に確認をしておくほうが良いでしょう。

輸入住宅の特徴

輸入住宅の内外観上の特徴はどのようなものでしょうか。デザインだけでなく暮らしにも関する点からご紹介します。

ゆったりとした間取り

日本の設計単位と輸入住宅の設計単位は、数値が異なります。日本の建築の基準寸法が910mmであるのに対し、ヨーロッパスタイルは1200mm、北米スタイルは1220mmと大きいため、間取りはゆったりとしていて、開放感があります。

廊下の幅が広ければ、車いすに対応しやすく、バリアフリーにも向いた家となるでしょう。

気密性が高く、構造的な強度の保持のために大きな開口部を比較的少なめとする設計なので、ゆったりめのお部屋は、その点でもバランスが取れているともいえます。

ヨーロッパと北米がスタイルの主体

輸入住宅の大きな魅力となる洗練されたデザインは、大きくは主にスウェーデンやフィンランドで主流の北欧スタイルと、北米スタイルに分けられます。

どのスタイルでも石材や無垢の木材の風合いを活かして、自然と調和するテイストです。お城のようなロマンチックな要素を持ちながら重厚感もあり、北欧やアーリーアメリカンの生活文化をしのばせる、異国情緒が感じられるでしょう。数百年の歴史を経て洗練されたデザインは、伝統的な和風家屋と並んでも違和感はありません。

上記の2つが輸入住宅のデザインの主流ですが、もう少し細分化すると、以下の商品も見られます。

フレンチスタイル 白を基調
プロヴァンス&スパニッシュ 南仏の住宅をイメージ
イタリアネート イタリアのヴィラ=壮園邸宅風
ジョージアン シンメトリーなフォルムが特徴的なアメリカン
チューダー イギリスが発祥でアメリカでも人気。急勾配の屋根
クイーンアン 八角形の塔のアメリカン

輸入住宅のデメリット

では、日本で輸入住宅を建てて維持するうえで感じるデメリットは、どのようなものがあるでしょうか。何かあった際にホームセンターで気軽に部材を調達できないような側面が、気になる点となるのでしょうか。

リフォームなどが難しい

輸入住宅は、暮らしの変化に合わせてリノベーションをしたい、あるいは老朽化した箇所を交換したいなどの際に、やや不利となることがあります。

壁など面で支える構造の工法のため、壁を取り払って間取りを変更する、新たに壁を設ける、窓の大きさを変えるなどの際に、やりづらい面があるのです。

しかし、上からの荷重を支える横材=まぐさの下は、自由に間取り変更ができるなど、方法はあります。

また、実はツーバイフォーの角材はホームセンターでも売られているほか、窓やドアなどの規格は、日本では各建材メーカーが厳密な統一規格を持たないのに対して、欧米では比較的規格が統一されています。

したがって窓や扉の交換で枠をそのままに、後述のカバー工法を用いずに別のドアや窓で交換が可能なケースもあるようです。DIYが好きな方は、できる範囲でトライされるのも良いでしょう。

メンテナンスが難しい

日本の住宅とは規格が異なり、海外から資材を輸入して建てる輸入住宅は、修繕や交換などのメンテナンスが簡単ではないことがあります。

日本製のドアノブや水栓が取り付けにくい、取り寄せる日にちがかかるなどの点はあるでしょう。類似した部材を探して入手する必要があります。

しかし最近の施工会社の中には、木製のサッシなどの交換部材を数日の空輸で取り寄せ可能としている場合も。

輸入住宅は関東近郊でも中古物件が多数流通しています。中古で購入した場合も、建物自体が堅牢な点は長持ちして安心ですが、維持していく際にどこを頼ったら良いか、不安が残らないようにしましょう。

もちろん日本の住宅メーカーで建てた輸入住宅であれば、瑕疵保証制度などの法定の対応は行われますので、その点は問題ありません。

価格が高くなる

価格については前述のように、建材自体の高騰と円安が沈静化すれば落ち着いてくるものと思われますが、輸入に際して輸送費や手間がかかるのは事実です。

建物の耐久性は高いため、メンテナンスを定期的にしっかり行って経年変化の傷みを抑えられれば、長い目で見て価値のある買い物となるでしょう。

また、間取りにゆとりがあることで、建ぺい率の関係からやや広めの土地を必要とすることも考えられ、その点もコストに影響するかもしれません。都市部では土地代の問題以外に、広い土地の確保自体が困難な場合もあります。

輸入材や設計、デザインへのこだわりにもよりますが、輸入住宅風デザインの注文住宅・建売住宅も存在します。

北欧風、南欧風、欧米風といった企画商品は輸入住宅のスタイルを取り入れながら、資材を現地から輸入するのではなく、国内で流通する資材を使ってフルオーダーやセミオーダー、建売などで建てるものです。

海外からの運搬費用や関税コストがかからず、メンテナンスも輸入住宅に比べてシステムが確立されているものが多いです。候補として、輸入住宅とメリット・デメリットなど詳細を比較してみるのも、良いかもしれません。

また、輸入住宅で建てるからといって、豪壮な建物や高価な仕様にする必要はなく、シンプルな建物で好みのデザインが表現できれば良いでしょう。

間取りは部屋数を少なめにひと部屋を広く取り、家の外形をシンプルにし、屋根も片流れなどの直線的な形にすれば、建築コストは下げられます。

家をシンプルにする分、ガレージハウスや独立ガレージを設ける、家屋から前面道路までを広めにとって芝生にするなど、北米調の雰囲気づくりは、外構の構成でも表現することができます。

家具や調度選びが大変

建てた家のスタイルに合わせて、家具や調度を選ぶのは楽しみでもあり、大変でもあります。

家のスタイルが確定した時点で、合うテイストの家具を扱うショップを探し、選ぶ段階から相談することをおすすめします。

家具に関しても、輸入商品からの購入が中心になるかもしれません。

以下は、日本国内の木材自給率の推移を示します。年々順調に伸長している国内自給率ですが、実は急速に増えているのはバイオマス燃料としての用途です。日本はまだ家具・建材などを海外からの輸入にたのむ率が高いといえるでしょう。

このほか輸入住宅のデメリットとして、気候に対応する問題を後述します。

輸入住宅は日本の気候や災害に対応できる?

この項では、日本の風土と輸入住宅の相性について、より細かく解説します。高温多湿で災害の多い日本での対応に、問題ないのでしょうか。

輸入住宅の耐震性

耐震性については前述のように、モノコック構造の建物の強さには定評があります。また、台風に伴う強風などに対応する強度上も有利です。

実大震動台実験で、あるメーカーの輸入住宅に阪神・淡路大震災の2倍の揺れを与えたところ、窓ガラスの割れもなく正常な状況を保ったという結果もあります。

震度7を記録した阪神・淡路大震災の2倍の揺れに耐えて倒壊しないということは、少なくとも耐震等級3(現在の基準でもっとも揺れに強い)相当です。

日本の気候への対応

北欧の地域は冬季に氷点下30度を下回り、日本と同等以上の厳しい気候条件です。したがって断熱性・気密性の高さはお墨付きですが、これがやや仇になることもあります。

ツーバイフォーやパネル工法全般の注意点として、壁の中や居室内にこもった湿度を逃がすことを怠ると、家が傷む原因となり、カビなどの健康被害も懸念されます。

また、高気密の住宅は揮発性有機化合物(VOC)やシックハウス症候群のリスクも配慮する必要があります。

加湿が温度差と重なって起こる結露が、もっとも問題となる状態です。以下は結露の種類です。

内部結露 暖房で温まった室内の水蒸気が、外気に出ていく際に断熱材の内部に入り込んで水滴となる。

気付きにくく、建物の傷みや断熱性能の低下、健康被害などを起こす。柱や土台の腐食につながるため、建物の強度に影響する。

表面結露 水蒸気を含んだ暖かい空気が低温の部分に触れて発生する。サッシや玄関ドア、壁や天井に起きる結露。
換気やふき取りが対策となる。

換気をしっかり行うことと、良い換気設備を施工し、湿度センサーや自動制御機能も活用して、室内の湿気や結露を管理するようにしましょう。風が抜けていく間取りや、空気の通り道のために家具と壁の間を少し開けておくことも有効な方法です。また、低VOCの建材の使用も選択肢となります。

輸入住宅の防火性能

防火性能も、木造の輸入住宅は有利な点が多いでしょう。空気の通り道が少ないツーバイフォー工法の家は、延焼を抑える効果があります。

また、耐火構造でない木造軸組住宅が約10分で1000℃まで達するのに対し、ツーバイフォー住宅が1000℃を超えるには35分から40分かかり、火元から大きく燃え広がるのに要した時間は70分を超えます。

初期消火や家族の避難までの時間が十分確保できるのは安心です。

建物のダメージは、鉄骨造などが熱で曲がって再建となるのに対して、燃えた外側の炭化層が内部を守る木材は比較的修復が容易となるケースもあります。

輸入住宅のメンテナンス方法

設計単位が統一されている輸入材は、前述のように代替のしやすさが期待できることがあります。たとえば使っていた窓の部材が入手できなくなっても、他社の窓に簡単な工事で交換できる可能性があります。

日本の住宅の場合、壁を壊して窓枠の作り直しか、現在より小さいサイズの窓を選び、壁のすき間を埋める改修工事(カバー工法)が必要になることが多いため、このメリットは大きいといえるでしょう。

アフターサービスの内容はメーカーによって差がありますが、独自の安心できる点検制度を設けている会社もあります。

輸入住宅は趣味性の高い側面があるため、メンテナンスの維持やカスタマイズの熱量は高いでしょう。施工会社以外に、輸入住宅の修繕やリフォームの得意な工務店を見つけておくと安心です。

輸入住宅は資産になる?

家の資産価値や担保評価は、リセールバリュー(高く売れるか)に結実します。海外では、ライフスタイルの変化に応じて住み替えを行う頻度が高く、そのために「高く売れるしっかりした家」を建てるのが慣例です。

家の担保価値は、築年数や立地、メンテナンスの状況のほか、耐震性、断熱性、気密性などの住宅性能、今後の寿命の予想、法的な不適格条件への該当があるかなどで決まります。

また、デザイン性の高さもリセールバリューとして評価されるため、丈夫で長持ち、住宅性能の高い輸入住宅は、資産価値の高い物件といえるでしょう。

中古住宅でヴィンテージの価値が出るのはまれなことですが、無垢の木材や塗り壁など、経年で味の出るような建材を使用した家は、さほど値引きをしなくとも早く買い手が付くことはあり得ます。

同じエリアで築年10年から20年が経過した、同じくらいの新築価格と推定される中古物件の取引事例や相場を調べてみると、ある程度の評価が分かります。

家を買うなら、モデルハウスを見学しませんか?

輸入住宅のご検討の際は、建物の質感や、構造の堅牢さなど、実物の建物を体感するのをおすすめします。Webサイトの情報や口コミだけではつかみづらい点も、展示場で実物を見学することで、新しい生活の良さを知るための助けとなるでしょう。

東京・埼玉・群馬など首都圏を中心に、多数の住宅展示場を開催するハウジングステージでは、最新の機能や構造を持つ一流ハウスメーカーのモデルハウスをご見学可能です。

見学WEBご予約で各種相談が可能です。WEBご予約は特典プレゼントもご用意しております。(実施期間と実施展示場

まとめ

輸入住宅の特徴やデメリット、費用の目安などをご紹介しました。好みのデザインの家に暮らすこと自体がとても幸せなことです。さらに、日本にあるように、海外のライフスタイルが背景となった家に暮らすことで、その文化や暮らしの知恵を享受できるかもしれません。

そのあたりを検討し、活かしきることで、さらに充実した家づくりが可能になるかと思います。冬の過ごし方や子ども部屋の使い方、日差しの取り入れ方など、研究してみるのも良いでしょう。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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