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家づくりの雑学

2025.03.29

平屋の家の特徴や選び方・間取り例を紹介!

効率的な家事や家族のつながりをもたらしてくれる平屋は、近年急速に人気を高めています。

ミニマルで自然に近い暮らしが可能な平屋は、老後も安心な要素が多く、暮らしの要望の変化に合わせてさまざまな用途にも対応できる万能さも魅力でしょう。

本記事では、平屋の家の特徴や選び方・間取り例をご紹介します。平屋に魅力を感じている方は、今後の家づくりの参考にしてください。

INDEX

平屋の家の基礎知識とメリット・デメリットは?

平屋は上階を持たない一階建て=ワンフロアの住宅です。生活がひとつのフロアで完結でき、階段がないことで老後も負担なく生活できます。高齢の人の住居は2階が物置になってしまいがちですが、平屋にはその心配はありません。

また、子育てや家事のしやすさや、外構の設計によって隣家からの視線が気になりにくく、あまり気を遣わなくて済むこと、魅力的なデザインが多くなってきたことから、若い世代にも人気となってきました。

都市部の狭小地につくる三階建て住宅や、マンションの人気とは違う方向性の人気ですが、住まいに対する考え方が成熟し、価値観が多様化してきたといえるかもしれません。

以下は、10代から40代中心の男女に、「平屋に住みたいか?」という質問をした結果です。「とても思う」「まあ思う」合わせて80.6%という人気ぶりとなっています。

2024年 AlbaLink調べ

平屋住宅のメリット

まず、平屋暮らしの魅力を伝える声で多いのは「ワンフロアでバリアフリーなのが良い」という点です。階段やバルコニーがない点は子育て家族や、高齢者のいる家族で「危険が少なくて安心」という意見もあります。

また、同じフロアにいることで「平屋にしたら家族のコミュニケーションが増えた」というケースも。常に戸外に開けた景観に接しながら過ごすため、「自然や季節の移ろいを感じながら暮らせる」点も好評です。

そして平屋は1階部分だけで済むため、住み始めてからのメンテナンスの費用も抑えることが可能です。高所の修繕作業がなく、足場の設置も少なくて済みます。建築面積によりますが、二階建て家屋との比較で30年間に数十万円の差 が出る例もあるでしょう。

災害時にはどうでしょうか。建物の重心が低く軽量で基礎が大きいため、地震の揺れに耐える力は強いです。

このほか、今後の生活スタイルのビジョンを実現する手段として、以下のような理由から平屋を選ぶ人も多くなっています。

ローコスト&コンパクトで暮らしたい ・建築費や人件費の上昇とともにローコストで施工可能なコンパクト平屋に目が向き、その良さが再認識されている。

・間取りがあとで直しやすい平屋は、子育て世帯や単身世帯、高齢者世帯など、さまざまな世帯構成に合わせた間取り設計やリフォームができ、ライフステージの変化にも適応する。

エネルギーコストを抑えたい ・エネルギー価格の高騰の影響で「節電」「省エネ」は必須となった。コンパクトな平屋は二階建てに比べて省エネ性能が高く、エネルギーコストが抑えやすくなる。

・さらに高断熱構造の平屋住宅であれば、より高い省エネ性能が実現できる。平屋住宅の広い屋根面積は大きな発電パネル=太陽光発電力を高めることが可能になる。

家を長持ちさせたい ・屋根高が低く、小まめにメンテナンスしやすい平屋は、点検と小規模な修繕で長く低コストで管理しやすい。

・平屋への地震の影響は、一回の地震で倒壊しにくいだけではない。振幅が小さく建物へのダメージが少ないため、何度か大きな地震を経ても、二階建てと比較して倒壊しにくい。

ミニマルな暮らしを実現したい ・「モノを所有する」ことに価値を見出していた考え方から、あまり持たずに必要なものを必要なときにだけ調達する「サブスクリプション」の発想が定着しつつある。

・終活や遺品整理などの経験からも、モノの所有に対する問題意識が高まった。所有よりも体験に価値を置くライフスタイルが普及してきた。

・以上の考え方からミニマルな暮らしを目指す人にとって、コンパクトな平屋はニーズを満たす理想的な住まいとなる。

これらの暮らしに対する考え方の変化に応じて、時代にマッチした平屋はますます注目を集めると思われます。

以下は、平屋住宅の具体的なメリットについての質問の結果です。40代までが中心のアンケートですが、老後の生活に強い点や、合理的な生活動線に人気が集まっており、将来を見越した考え方がうかがわれます。

2024年 AlbaLink調べ

知っておくべき平屋のデメリットと対策

反面、平屋には知っておいて事前に対策するべきデメリットも存在します。

まずコストの面です。暮らしやすいローコストでコンパクトな家がつくれる反面、二階建てと同じ延床面積で比較した場合には、その分広い土地が必要になるため、都市部の地価の高いエリアには向きません。

また、基礎や屋根など、お金のかかる部分の大きい平屋は、建築時の坪単価が高くなりがち。ただし、階段や廊下のスペースが不要な分を居室に充てられ、工事費が二階建てと変わらないか安くなるケースもあります。

ワンフロアでの面積が広い分、家の中心部の採光が難しくなるケースも難点です。トップライトやパティオを設けると対策となり、充実した間取りとなりますが、コストはかかるでしょう。

音の問題もあります。高い天井にする場合は屋根からの雨音などの対策、表通りの騒音がある場合は寝室の位置を工夫するなどが求められるでしょう。この点は中古で購入する際にも確認や対策が必要なポイントです。

そして、台風などでの水害時には、浸水が起きると家財などの被害が大きくなり、2階がないことでほかの場所に避難生活せざるを得なくなります。

平屋と二階建ての徹底比較

平屋と二階建ての違いについて、比較したものをまとめました。

平屋と二階建ての徹底比較(太字=利点が大きい)

項目 平屋 二階建て
生活動線 2階がないため、ワンフロアで完結できて楽。 家事などのために、階段での行き来が生じる。
耐震性 重心が低くて軽量なため、揺れに強く倒壊しにくい。 2階部分の揺れが大きく、古い家屋は倒壊のリスクが高い。
水害時 床上浸水の被害が大きい。建物が軽量のため流されやすい。2階に避難できない。 流されにくい。2階に避難できる。
火災時 安全に避難しやすい。 2階就寝時の出火の場合、避難時の逃げ遅れリスクが高まる。
子育て 目が届きやすい。 目が届きにくい。階段のリスク対策が必要。
家族のコミュニケーション ワンフロアなのでとりやすい。 分断しないような気遣いが必要な場合あり。
老後 バリアフリー対応がしやすい。階段の危険がない。 老後に2階が無用の長物になる場合も。
ミニマリズム 物を減らしてシンプルに暮らしやすい。 2階が物置代わりになることも。
防音 天井や表通りに対する防音対策が必要な場合がある。 道や屋根から距離がとれるため、平屋よりも有利。
気温の影響 断熱が足りないか、勾配天井などの場合、断熱に問題が出る場合がある。 2階で熱や換気がさえぎられ、平屋よりも有利。
防犯性 侵入しやすい1階の面積・出入り口・窓が多く不利。 侵入しにくい。
プライバシー 周囲の視線を防ぐ工夫が必要。家族のプライバシーも要配慮。 比較的守りやすい。
日当たり 家の中心部の採光には要工夫。 問題は少なめ。
おしゃれさ 新しいデザインが数々登場。 目新しいものは少なめ。
自然志向 1階の開口部が多く、庭の景観を活用しやすい。屋外に親しみやすい。 あまり意識しない。
建築コスト 同じ延べ床面積では二階建てに比べて高額になることが多い。 一般的なコスト。
メンテナンスコスト 二階建てに比べて安価になることが多い。 一般的なコスト。

失敗しない平屋選びのポイントは?

この項では、デザインにすぐれ、居心地の良い平屋にするためのポイントをご紹介します。平屋のプランを検討する際に参考にしてください。

採光を工夫しよう

中庭(パティオ)や天窓(トップライト)を設けて、家の中心部にも採光できる工夫をしましょう。あるいは建物の形をコの字やL字型にして、採光対策することもできます。

明るく開放的な間取りとする方法としては、勾配天井で吹き抜け状の高い室内高にすると、さらに効果的でしょう。

採光だけのことをいえば、有効採光面積 は居室の場合、床面積の7分の1以上必要と定められており、それに沿った設計がされます。しかし日常の暮らしの質こそ、重視したい面です。

中庭や天窓、コの字やL字型の家は、壁の面積は増えますが、居室からの外の景観が生活に潤いを与えてくれます。また、周囲の視線を遮り、プライバシーを守る効果も期待できるでしょう。

屋根・外壁にこだわろう

シンプルでミニマルな暮らしにあこがれて平屋を志向する人も、デザインにこだわってみてはいかがでしょうか。

屋根を片流れにして、勾配を天井に活かしたり、外壁材の一部に木材や天然石を使用したりする(ナチュラルモダン)ことで、平屋のデザインの印象は一変します。

直線的でシンプル・無機質なモダンの要素と、障子や部分的な漆喰壁をあしらった和モダンもおすすめです。

庭が広めにとれる場合は、大きめのウッドデッキや芝生をリビングの外に設けるのも、平屋の定番のデザインです。ウッドデッキは家族だんらんのスペースや、物干し場として利用するのも良いでしょう。

平屋づくりのポイントとなる工夫を以下にまとめました。

勾配天井 ・二階建ての吹き抜けのような開放感、明るさが得られる。
・梁を残すなど、居室のデザインアクセントにもできる。
・小屋裏をつくらない場合は、断熱と防音には注意。
ウッドデッキ ・木材の素材感がデザイン上のアクセントになる。
・居室を延長したような開放感がある。例)アウトドアリビング
・定期的な手入れが必要。DIYでも可。
天窓(トップライト) ・家の中心部の採光を補う。
・デザインアクセントになる。
・経年劣化で雨漏りしやすくなるので、要対策。
中庭 ・屋内の採光を補える。
・植栽を配置すると、景観に潤いが出る。
ヌック ・居室の一角に設けるワークスペースや家事スペース。
・垂れ壁などでゆるやかに区切って、落ち着ける場所にする。
ロフトやスキップフロア ・収納不足を補ったり、ヌックの用途で利用したりする。
・容積率に算入されない。
ゾーン分けの工夫 ・2階がないため、個室や寝室とそれ以外のゾーンを分ける。
・収納や廊下で区切って、音が響きにくいようにするなど。
建物の形 ・コの字型やL字型にして外部からの視線が集まりにくくする。
・デザインのアクセントにもなる。
・建築コストは上がるため、予算と相談となる。
外構や植栽 ・建物の形同様、プライバシー保護や防犯目的を意識する。
・植樹などは入居後にDIYでも可能。

平屋の外観デザインと屋根形状の選び方

平屋の外観デザインや屋根形状選びは、平屋づくりでは欠かせない検討要素でしょう。

屋根の外形のほか、以下の点もポイントとなります。

  • ● 敷地を最大限活用する外観プランニング
  • ● 屋根形状で実現する快適な住環境

下の写真の建物部分は極めてシンプルな立方体です。しかしそこに片流れ屋根と陸屋根を組み合わせ、2つの屋根の境目にトップライトを設け、アーケード風のテラス屋根を組み合わせたことで、家の印象は大きく変わりました。

テラス屋根の軒が打ち出す低く水平なラインが、モダンな印象をさらに強調します。このようなデザインの楽しさは平屋ならではでしょう。

敷地を最大限活用する外観プランニング

平屋づくりのための広い敷地が確保できたとして、そこに手放しで家をつくるだけでは、敷地が活かしきれない場合もあります。

下の写真では、L字型の建物にルーフバルコニーを設け、大通り側を木の塀で囲いました。

出来上がったプライベートな空間は、大きなウッドデッキと芝生をあしらい、リラックスできる場所となったでしょう。そしてその景観を屋内から楽しめるようになっているのもポイントです。

屋根形状で実現する快適な住環境

下の写真の場合は、倉庫を思わせる切妻屋根の内側をそのまま活かした、高い勾配天井としています。

天井にはトップライトを設け、壁の両側には大きな窓を配し、開放感とデザイン性に結実させました。このようなケースでは梁を露出させて、デザインのアクセントにすることも可能です。

大きなリビングがシンプルなホテルのロビーのように見え、居心地の良さがうかがえます。

注意点としては2階がない分、屋根の遮音性と断熱性が要求されますので、設計の段階でよく相談しましょう。

平屋の建築費用の相場は?

家の本体価格は施工面積や設備、施工業者によって変動しますが、同じ広さの敷地に新築で建てる場合、先述のように二階建てよりも平屋のほうが、1~2割ほど坪単価が高くなる 傾向があります。

平屋と二階建ての坪単価比較

グレード 坪単価(平屋) 坪単価(二階建て)
ローコスト 22~55万円 39~40万円
ミドルコスト 45~95万円 44~50万円
ハイコスト 55~150万円 56~63万円

平均的な坪単価を70万円とした場合、坪数ごとの価格相場は以下となります。

部屋数 坪数 想定人数 本体価格
1LDK 18坪 1~2人 1,260万円
2LDK 25坪 2~3人 1,750万円
3LDK 30坪 3~4人 2,100万円
4LDK 40坪 5人以上 2,800万円

関連記事:
平屋の価格はいくら?相場や事例を紹介|住宅展示場のハウジングステージ

平屋の間取り8選

この項では、機能・意匠・楽しさなどにすぐれた平屋の間取り例をご紹介します。

3人家族・機能的なコンパクト平屋

実用的な3LDKの中に、パントリー・玄関クローゼット・ファミリークローゼットほかの機能を満たし、中庭まで備える充実ぶりです。

常ににぎやかなリビングなどの玄関サイドと、静粛性を求められる寝室・書斎サイドにゾーン分けされている点も合理的でしょう。

そして、この間取りの特筆する点は、動線が短くなるように徹底的に考えられていることです。

たとえば、自転車で買い物から帰宅⇒パントリーに食材を収納⇒キッチンに取り出して即調理という無駄のなさが光ります。

「洗う」「乾かす」「しまう」「身に付ける」の洗濯動線も極めてコンパクトにまとめられており、目を惹くポイントでしょう。子どもを寝かしつけながらの食事準備、来客の宿泊など、和室の用途も容易に想像が可能です。

すべての機能がワンフロアに集中できる平屋ならではの間取りです。動線を短くするプランは一人暮らし用の間取りでも意識するとメリットがあります。

広がりのある多機能LDKが新鮮な間取り

前後に明るく開けたリビングスペースの隣は、ダイニングから長く連なる家事コーナーと収納です。調理だけでなく、多目的な家事に利用できるように考えられ、場所移動がありません。

3つの子ども室は戸外で屋根付きのウッドデッキでつながっており、にぎやかな日常を連想させてくれます。どこからでも縁側やウッドデッキに出やすい、戸外とのつながりが色濃い家です。二階建てでは困難な仕様でしょう。

2つの中庭を囲む2つのゾーン

プライベートとパブリックの、2つの中庭を持つ平屋です。それぞれが中庭を中心に回遊動線となっており、公私のゾーンの分かれ目には段差があり、短い階段でつながっています。

低くなっている側にある2つの寝室の上には、スキップフロア状の小屋裏収納があり、季節外のアイテムを収めるのに便利です。

玄関ホールは、帰宅するたびに中庭の眺めが楽しめるでしょう。

ロフトやスキップフロアでスペース効率アップ

細長い間取りで、各居室に明かりが届きやすいように設計したプランです。ロフトやスキップフロアを設け、収納などのスペースに余裕を残しながら、無駄のない居室構成となっています。

現在は二人暮らしのため、寝室もセカンドリビング使いにして、就寝前に充実した時間を過ごすことが可能です。

平屋もロフトや小屋裏収納、スキップフロアなど縦の空間利用が可能なので、暮らしのニーズに応じて検討しましょう。

庭を囲むL字の間取りでプライバシーに配慮

玄関からトイレのある場所まで、L字型の廊下でつながる間取りです。キッチンから下のエリアは空調費をかけないゾーンとして切り離されており、脱衣スペースさえ暖めておけば、ヒートショックの心配もありません。

家に囲まれた庭は、平屋で懸念される周囲からの視線を建物で遮られることで、安心してくつろげる空間となっています。

長く使い勝手が変わらない平屋

シンプルな外形ながら、家事効率に必要なスペースをしっかりとった間取りです。

個室はコンパクトに収めて、対照的にリビングダイニングと和室を含む空間は、かなりゆったりした広さが魅力となっています。

平屋の利点として、長く住み続ける際の用途変化に、柔軟に適応できる点が挙げられます。この間取りも将来的に子どもが増える、高齢化、介護を要することになるなどしても、部屋使いを変えたり、多少のリフォームをしたりすることで対応が可能です。

緑の景観を楽しむ・家事性能も高い家

南側の景観が気持ち良く拓けた、庭の景観を楽しめる家です。広さにゆとりのある土地に、ぜいたくな居室配置となっていますが、家事の動線にも注目です。

調理動線と洗濯動線がパントリーでつながっており、無駄の全くない動きが可能でしょう。和室横の書斎は、気持ち良く在宅ワークができそうです。

しっかりゾーン分け・安らぎの平屋

コンパクトな面積でしっかりゾーン分けして、居室間も独立性の高い間取りです。リビング・ダイニングで遅くまで音がしても、就寝中の人はあまり気にならないでしょう。

脱衣洗濯室が4.4畳と広くとられており、下着類やリネンまでここに収納できれば、洗濯家事はとても楽です。

2つの洋室は子どもの成長に合わせて仕切り壁を想定、引き戸の出入り口でトイレや玄関にも近いため、老後の寝室はこちらに移る想定でしょう。

まとめ

平屋の家の特徴や選び方・間取り例をご紹介しました。

魅力的な平屋の間取り例を見ていると、自由度が高くておしゃれな意匠も豊富なため、惹かれるものがあります。

一方平屋は機能に徹し、低コストで無理のない家づくりも可能なので、老後を考えてそのような家づくりの対象にすることも可能です。

コロナ禍以降もリモートワークの実施率が2割強 あることを考えれば、平屋をつくるために、職場から離れた郊外に広い土地を購入するという選択肢も、良いのではないでしょうか。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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